カテゴリーアーカイブ:行政

経済対策の多義性?

2025年9月24日   岡本全勝

自民党総裁選が告示され、候補者が政策を訴えています。特に目立つのが、「経済対策」です。
・・・自民党総裁選挙は、立候補した5人が記者会見に臨み、いずれも物価高に対応するため速やかな経済対策の策定が必要だという認識を示し、具体策をめぐって主張を展開しました・・・NHK「自民総裁選 5人が共同会見 いずれも“経済対策の策定が必要”

ところで、かつては経済対策と言えば、景気の落ち込みに対し需要を拡大して景気回復を目指す政策(景気変動対策)でした。ところが、今回話題になっているのは、景気は回復しつつあるのですが、物価が上昇しているのでその対策を打つということのようです。物価上昇が急激なときには、景気を冷やす対策(景気引き締め)が打たれました。しかし、今回はそうではありません。物価の上昇に比べ賃金の上昇が低いので、生活に苦しい貧困層に対して対策を打つことのようです。それは福祉政策であって、経済産業省の所管ではないと思われます。

これって、経済対策なのでしょうか。経済に働きかけるのが経済対策で、経済の結果に手当するのは経済対策とは言わないでしょう。経済学の教科書に出てくるのでしょうか。専門家の意見を聞きたいところです。
このホームページでは、先日、経済対策と産業政策の違いを提起しました。「経済対策と産業政策の違い」「経済対策と産業政策の違い2

男女平等まで300年以上

2025年9月22日   岡本全勝

9月9日の朝日新聞「データでみる男女平等の現在地」1に、「平等まで「300年以上」、女性進出進まぬ日本」が載っていました。

・・・世界経済フォーラム(WEF)がまとめた2025年版「ジェンダーギャップ報告書」で、日本は148カ国中118位で前年と同じ順位だった。男女平等の達成に向けて、多くの国から後れをとっているという評価だ。なぜこのような順位になったのか、公開された指標を詳しくみていこう。
報告書で示されるジェンダーギャップ指数は、国ごとの男女平等に向けた達成度をWEFが設けた項目で数値化したものだ。男女が完全に平等な状態になれば、達成率は100%となる。
今年のトップは16年連続でアイスランドで、達成率は92・6%だった。一方で、日本の達成率は66・6%にとどまり、主要7カ国(G7)のなかでも唯一、上位100カ国に入ることができなかった。

報告書はジェンダーギャップを「経済」「教育」「健康」「政治」の4分野に分けて評価している。このうち、日本の順位を下げている要因は「政治」と「経済」の二つだ。
分野ごとに日本の達成率をみていくと、「教育」と「健康」では世界平均を上回っているが、「政治」の分野で下位に沈んでいることがわかる。また、「経済」では世界平均と並んでいるが、先進国からは後れをとっている。

日本の課題は、20年近くにわたって達成率がほぼ伸びていない点だ。
ジェンダーギャップ報告書の作成が始まった2006年を振り返ると、日本の達成率は64・5%だった。今年は66・6%で、19年間で2・1ポイントしか改善していない。
今年の報告書では、日本は「改善のスピードが遅い国」として分類された。06年から調査が続く100カ国をみると、19年間で平均6ポイントの改善があり、日本は改善速度でも後れをとっている。
世界各国がいまのペースで改善を続ければ「完全な平等実現には123年かかる」と報告書は指摘する。だが日本だけをみれば、達成率を100%にするのに300年以上かかる計算だ・・・

健常者だけで議論する共生社会?

2025年9月17日   岡本全勝

9月12日の朝日新聞オピニオン欄に、市川沙央さんの「共生の未来 誰とともに」が載っていました。

・・・ 「対話でさぐる 共生の未来」
昨年秋に東京ミッドタウン八重洲カンファレンスで開催された朝日新聞社主催の一大イベント「朝日地球会議2024」のテーマです。SNSでフォローする作家さんの登壇告知ポストから興味を持ち、イベント内容を公式サイトでチェックした私は、とても驚いてしまいました。〔誰ひとり取り残さず、すべての人が暮らしやすい持続可能な地球と社会について、みなさまとともに考えていく「朝日地球会議」〕。輝かしい理念に続いて紹介される70人近い登壇者は、すべて元気そうな人ばかり。障害当事者や家族あるいは支援者の立場の人すら、一人もいないのです。高校生・大学生ゲストの10人を含めれば、登壇者合計76人中のゼロ。20以上を数えるプログラム(セッション)のテーマにも、障害者に関するものは一つもないようです。では会場参加者のアクセシビリティはどうなっているのかと、事務局に問い合わせてみたところ、各セッションに手話通訳も同時字幕も用意されていない旨のお返事をいただきました。
均質的な知性および移動や会話に困難のない健常な身体を持った人だけを76人も集めて、聴衆に聞こえや認知のアクセシビリティを保障する意志も感じられない「対話でさぐる 共生の未来」。朝日新聞は、いったい誰と、何と共生するつもりなんだろう・・・

・・・アクセシビリティに関して無理な要求はしていません。同時期に東京国際フォーラムで行われていた東京都主催の「だれもが文化でつながる国際会議」では、手話通訳・同時字幕、パンフレットのテキストデータ提供があるだけでなく、それらアクセシビリティサポートの情報が公式サイトのトップに明記されています。ただでさえ障害者はどこへ行こうとしても下調べと事前連絡を課され〈問い合わせ疲れ〉をしています。そもそもドアが開いているかどうか分からない場所に、必要もないのにわざわざ行ってみようとは思わないでしょう。クローズドな健常者ファーストの場を作っておいて、あたかもサポートのニーズが存在しないように見せかける、それのどこが「対話でさぐる 共生の未来」なのでしょうか。重箱の隅をつつくようですが「朝日地球会議」公式Xは、8月末現在で投稿する画像にALT(代替テキスト)を付けてすらいませんね・・・

詳しくは記事をお読みください。朝日新聞社は「市川沙央さんのご批判を踏まえた朝日新聞社の受け止めと取り組みを、社会総合面に掲載しています」と書いています。

中国、官僚主義を批判し指導

2025年9月11日   岡本全勝

8月26日の日経新聞に、「中国・習近平指導部、地方の形式主義にメス 「公文書は5000字以内」」が載っていました。文書作成の手引きや事務の簡素化なら、拙著『明るい公務員講座』を配れば良いと思います。翻訳して出版してくれないかなあ。

・・・中国共産党の習近平指導部が地方政府ではびこる形式主義への警戒を強めている。冗長な公文書の作成や無駄な会議が現場の負担になっているとして、8月に入って是正を指示する通知を出した・・・

・・・特にやり玉に挙げたのが公文書だ。「年間の発行数は前年より減ることはあっても増やしてはならない」と強調し、増やす場合は書面で理由を説明するよう義務付けた。
文書1件あたりの文字数も原則5000字以内に収めるよう求めた。内容は「冒頭から本題に入る」べきだとし、文体についても「簡潔で、実用的でなければならない」と明記した。政策を提案する際は「背景などの説明までは必要ない」と断じた。
会議の開催に関しては「一つの領域で包括的な会合を開くのは原則年1回」「責任者のスピーチは1時間以内に収めるべきだ」と定めた・・・

・・・中国当局は2024年夏にも同じような規定を公表した。改めて「規定を厳格に執行するように」と通知した背景には、形式主義が依然はびこる現実がある。
国営新華社通信によると、東北部・黒竜江省綏化市は7月、市の公安当局が現場の職員に、評価のために大量の参考資料を提出するように要求しており、これが本来業務の妨げになっていると批判を受けた。
必要な資料として要求されたのは、会議を開いた証拠写真や宣伝文書、携帯電話のスクリーンショットなど多岐にわたっていた。評価の結果は毎月ランキング付けして公開されるため職員らも提出しないわけにいかず、大きな負担になっていたという・・・

地方版ハローワーク

2025年9月10日   岡本全勝

8月23日の日経新聞に「地方版ハローワーク、女性や高齢者の働き手発掘 就職率は国を上回る」が載っていました。これまで地方自治体の関与が少なかった(できなかった)分野の一つが労働政策です。

・・・自治体が運営する無料の職業紹介所「地方版ハローワーク」が眠れる働き手を発掘している。5月時点で全国に992カ所あり、島根県は県と全19市町村が設置する。地域課題を解決する自治体の政策と連動した職業紹介で、働く意欲のある高齢者や女性、障害者らの背中を押す。就職率は2019年度以降、国のハローワークを上回る。

地方版ハローワークは、地場産業の振興や介護・福祉の人手不足解消、移住促進といった地域課題を解決する政策の効果を高めるため、自治体が独自に職業紹介する。
地域のニーズをきめ細かく吸い上げて雇用に結びつけ、23年度の就職率は全国で31.3%。民間の職業紹介が存在感を増し、就職件数の減少が続く国のハローワーク(26.8%)より4.5ポイント高い。
都道府県別に自治体の設置割合をみると、島根県が100%で最も高く、鹿児島県の65.9%、大阪府の61.4%が続く。

島根県益田市は介護現場の課題解消をめざし地方版ハローワークを活用する。高齢者福祉課が実施する入門研修やUIターン人材への働きかけと並行し、課内に設置した「無料職業紹介所」が介護の周辺業務の求人と求職者をマッチングする。
施設の部屋の清掃や食事の片付け、利用者の話し相手など、資格が不要な周辺業務を担う人材を多数確保することで、資格のある職員が食事や入浴の介助、専門的な知識の必要な業務に集中できる環境を整えるのが狙いだ。
経験や年齢、勤務時間、資格の制限を設けず「介護お助け隊」として募集したところ、4年間で延べ97人が登録し、43人が職を得た。24年度の就職率は50%だった。
益田市は広報紙やチラシのほか、介護保険や家族の介護の相談で市役所を訪れた高齢者らに地方版ハローワークを紹介して周知してきた。「普段から足を運ぶ市役所の窓口に開設したことで、働きたくても一歩を踏み出せなかった高齢者のニーズを掘り起こせた」(高齢者福祉課)・・・

・・・中央大学の阿部正浩教授は地方版ハローワークについて「地域の課題やニーズをくみ取る自治体の施策に合わせた活用は効果が期待される」と評価する。
そのうえで「高齢者や女性の就職支援は国のハローワークも力を入れ、人材を奪い合う構図もある。地方版の一部は開店休業状態だ。地域の事情を詳しく知る強みをマッチングに生かすことが、地方版にはさらに求められる」と話している・・・