カテゴリーアーカイブ:行政

なぜ「正しい」政策ができないのか

2026年6月3日   岡本全勝

5月15日の日経新聞オピニオン欄、門間一夫・みずほ総合研究所エグゼクティブエコノミストの「なぜ「正しい」政策ができないのか」から。

・・・政府は補助金を出して燃料油価格を抑えている。これに対しては①富裕層ドライバーも得をする不公平②財政負担の増大③需要抑制に逆行④脱炭素化とも矛盾――など多くの批判がある。
日経本紙が4月に実施した経済学者50人のアンケートでは、「ガソリン価格を抑えるための補助金支給は、縮小または撤廃するのが望ましい」という考えに、43人が「強くそう思う」「そう思う」と回答している。「そう思わない」は1人だけだった。
経済政策を巡り経済学者の意見がこれほど一致するのは珍しい。この政策の是非はもはや論点ではないということだ。論ずべきは、経済学者がそろって批判する政策がなぜ実施されているのかであり、その理由と対応策を示すのが経済論壇の役割である・・・

・・・コロナ禍に見舞われた2020年に、10万円の特別定額給付金が一律支給された。経済的な損害が大きい人に絞って30万円を支給する案もあったが、迅速に実行できないことが大きな壁となった。
その反省もあり、マイナンバーカードなど行政のデジタル基盤は、ある程度整備されてきた。しかしリアルタイムの所得把握などは進んでおらず、6年たったいまも、30万円支給案を実行できるかどうかは甚だ疑問である・・・

鳥インフルエンザ処理、自衛隊から民間へ

2026年6月1日   岡本全勝

5月18日の日経新聞夕刊に「鳥インフルエンザ、今季は自衛隊派遣ゼロ 殺処分など民間委託進む」が載っていました。

・・・高病原性鳥インフルエンザの防疫作業の担い手に変化が生じている。都道府県の要請に応じて自衛隊員が派遣されてきたが、今シーズンはゼロ。国が要請基準を厳しくしたことが背景にある。都道府県は殺処分などの民間委託を進めており、人材の確保や育成が課題となる・・・

・・・鳥インフルエンザは例年秋から春にかけて発生する。防疫作業は短期で終える必要があり、人手がかかる。都道府県は自衛隊に災害派遣を要請して確保してきた。防衛省によると、派遣は04年から始まり、20年に最多の20件、前シーズンの25年は9件だった。
農林水産省によると今シーズンは25年10月に初めて感染が確認され、これまでに16道府県で発生した(4月30日時点)。殺処分数は過去4番目に多い約576万羽に上るが、自衛隊が派遣されたケースはない。
背景には農水省が25年5月、都道府県に自ら対応可能な防疫体制づくりを改めて求めたことがある。自衛隊の主任務も踏まえ、安易に頼らないように「行政機能の維持が困難となり、やむを得ないと判断した場合」に災害派遣の要請を検討するよう示した。
家畜伝染病予防法は、養鶏場の所有者の責任で防疫措置を実施しなければならないと規定する。近年は畜産業の大規模化によって所有者だけでは殺処分が追いつかず、都道府県が主体となって対応している。

自前の防疫体制を強化するため、民間との連携を進める自治体が目立つ。人員の手配や防護服の輸送などにあたる旅行会社や運送会社と協定を結んだり、発生に備えて民間団体に消毒作業などの研修を実施したりしている。
今シーズンに5事例の感染が発生している北海道は、殺処分や消毒など一部の作業を初めて民間企業に委託した。担当者は「当初は軽微なけがや体調不良の報告もあったが、回数を重ねて徐々に作業のスピードも上がってきた」と話す・・・

女系・女性天皇

2026年5月30日   岡本全勝

5月23日の読売新聞「論点 皇位継承(2)」笠原英彦・慶応大学名誉教授の「男系限定 世襲危うく」から。

・・・戦後の1947年に施行された現在の皇室典範も明治の方針を踏襲した。しかし、従来の側室制度を除外したことで、永続的に男系皇族を確保するのが難しくなることは明白になった。それにもかかわらず、明治に採用した男系限定を改めようとしなかった政治の不作為が、皇位継承者の急激な減少を招いた。
この状況を重くみた小泉内閣の有識者会議は、2005年の報告書で「男系による継承を貫こうとすることは、最も基本的な伝統としての世襲そのものを危うくする」とした。議論の核心を突いた指摘だろう。

一方、旧皇族の男系男子を養子として皇室に迎える案は「禁じ手」だ。旧典範で天皇と皇族の養子を禁止した際、伊藤らがまとめた解説書は「宗系の紊乱(血統の乱れ)」を避けるためと記す。現在の養子案では皇室の誰が養親になるかによって皇位継承順位が変わる恐れがある。皇位に恣意が加わる余地を排した歴史の知恵に学んでほしい。
皇位継承者の純潔を保つには、現在の皇室と直系でつながる女系・女性天皇を認めるべきだと考える・・・

国会議員事務所への紙資料配布取りやめ

2026年5月29日   岡本全勝

5月27日の読売新聞に「国会議員事務所への「紙資料」配布取りやめ、小泉防衛相「時代遅れ」…これまではHPの発信内容も届ける」が載っていました。

・・・小泉防衛相は26日の記者会見で、防衛省職員による国会議員の事務所への資料配布を取りやめたことを明らかにした。職員の負担軽減が目的で、小泉氏は省庁の国会対応などの業務について「時代遅れになっている。一つ一つ業務改善につなげたい」と述べた。
これまでは同省のホームページなどで発信した内容についても、職員が東京・市ヶ谷の防衛省から永田町の議員会館に紙の資料を届けていた。休日や祝日に資料を配ることもあったといい、職員から改善を求める声が出ていた。
今月中旬に開かれた小泉氏と職員との意見交換の場で同様の意見が出たため、小泉氏が取りやめを決めた。同省文書課は「議員からの個別の問い合わせなどには、引き続きしっかり対応する」としている・・・

まだ、こんなことをやっていたんですね。ほかの省庁は、どうなっているのでしょうか。
私が現役の時は、分厚い資料、白書などを届けていました。でも、国会議員全員に配っても、ほとんど読まれません。それに目を通していたら、いくら時間があっても足りません。欲しい人だけ、紙資料を請求すれば良いことです。

地方分権、人口増と減少下での違い

2026年5月27日   岡本全勝

戦後の日本では地方分権が一つの課題でした。それが1990年代に大きく進み、2000年には分権改革一括法が施行されました(第一次分権改革)。国から地方自治体に権限を下ろす、市町村を地域の行政主体とするのです。これは大きな成果でした。他方でその後は、自治体が担いにくい事務について、国が行うこととする「調整」も行われています。大規模災害時での国の役割、災害復旧での国の代行事業など。

ところが、過疎地域での人口減少で、小規模自治体が行政事務を処理できなくなる恐れが出てきました。職員数の減少、定員が充足しないことも、問題を現実化しています。ゴミ処理や消防、介護保険など、市町村が共同で行うことも進んだのですが。新型コロナウイルス対策では、各省から大量の指示・依頼文書が自治体に向けて発出されましたが、小さな自治体ではすべてを処理することは不可能でした。

昭和の市町村合併では、中学校を持つことができるように8千人を目標としました。平成の市町村合併ではそのような人口規模目標を持たなかったので、大きな政令市ができる一方で、小規模自治体が残りました。私は地域の総合行政主体としては、例えば10万人の規模は欲しいと思います。
市町村合併ができないとなると、小規模自治体が処理できない、処理しにくい業務は、近隣の市に委託するか、県が補完するのが代案だと思います。県が補完する案は、第一次分権改革後に、西尾勝先生が私案として出されたのですが、当時は反対論が多かったようです。しかし、人口減少が進み、検討が始まったようです。