カテゴリーアーカイブ:行政

国民に響かない政治家の言葉「安全安心」「緊急事態」

2021年9月30日   岡本全勝

朝日新聞デジタル記事「いつも緊急、信じられない安全 金田一秀穂さんが感じた言葉の無力さ」(9月24日掲載)、金田一先生の発言から。

・・・「クラスター」や「ウィズコロナ」など、本当はもう少し時間をおいて、わかりやすい言葉にしたほうが良かったけれど、コロナの蔓延に社会が追いついていないのでしょう。「ステイホーム」なんて、犬に命令しているようですよね。

コロナという、えたいの知れないウイルスがあることは、もうどうしようもない。現状をどう言えば良いかわからないから、「コロナ禍」と名づけることで私たちは整理がついて、少し安心できるわけです。「コロナ禍」とまず認めて、ではどうしたらいいだろう、と次に進むことができる。それが言葉の働きなのでとても重要です。でも、実際のひどいコロナ禍というのは言葉では言い尽くせない。

政治家は言葉を乱発する。必死になって「安心安全」と言う。でも、実は本人がそれを信じていないですよね。実際は安心安全ではないですものね。いま、言葉がぞんざいでありすぎると感じます。政治家が言っているはしから、「本当じゃないでしょ」と人々はすぐわかってしまう。いい加減なんだな、とはっきりわかっていますよね。

だから、「緊急事態」はちっとも効果がないわけでしょう。いつも「緊急」なので。毎年毎年、「異常気象」と言っているようなものですよね。緊急事態という言葉自体が、実質的に意味をなくしている。言葉が消費されて、私たちに響いてこない。そういう言葉にうんざりしてきていて、素通りしてしまう・・・

生徒指導の手引き

2021年9月29日   岡本全勝

9月22日の読売新聞解説欄は「スマホ・自殺対応 生徒指導の要 「手引書」改定へ」でした。
・・・小中学校、高校の教員らが生徒指導を行う際の手引書となる「生徒指導提要」が約10年ぶりに改定される。文部科学省の有識者会議で現在、議論を進めている。いじめや自殺の増加、スマートフォンの普及など、子供を取り巻く環境は大きく変化しており、「今」に対応した改定が求められる・・・

・・・指導提要の基となるものは、1965年に作成された「生徒指導の手びき」だ。81年に改定され、2010年に「生徒指導提要」という名称でまとめられた。今回が3回目の大きな改定作業で、22年度中に学校現場で使われる見通しだ。
小学校から高校までを対象に生徒指導の理論や考え方を示し、喫煙・飲酒、いじめ、自殺、不登校、家出といった個別の事案への指導方法を約240ページにわたって紹介している。生徒指導の解説本で、教育委員会や各学校の指導を拘束するものではない。
現在、学校では発達障害や家庭の経済的状況など、多様な背景を抱える児童生徒への指導が増えている。急速に進むデジタル化やそれに伴うSNS上のトラブル、LGBT(性的少数者)への対応などにも追われている。
現行版もネットトラブルなどには触れてはいるが、より時代に見合った内容とすることが課題だ・・・

・・・学校現場を取り巻く環境はこの10年余りで激変している。
例えば、いじめの認知件数は、10年度の7万7630件から19年度の61万2496件と約8倍に増加した。大津市の中学2年の男子生徒(当時13歳)が11年10月に自殺した問題を受け、「いじめ防止対策推進法」が13年に施行され、いじめを積極的に認知するようになったという理由もある。
現在の指導提要にも、いじめについては、「小さなサインを見逃すことのないよう早期発見に努めることが大切。内面の感情に思いをはせ、違和感を敏感に感じ取る必要がある」と書かれ、早期に組織的な対応をとることの重要性が明記されている。
今回の改定では、問題発生後の対応だけでなく、発生を未然に防ぐ「積極的な生徒指導」という考え方も盛り込まれる見通しだ。授業などを通じて自ら課題を解決し、成長を促す教育を行うことも検討されている。
いじめや自殺の問題であれば、児童生徒に対して周囲の大人に相談する方法を教える「SOSの出し方教育」も積極的な生徒指導にあたる・・・

学校では、知徳体が教えられることになっていますが、このような社会で生きていく力を教えることも重要です。連載「公共を創る」では、それを指摘しています。生きていく力を教えることは、どのように位置づけられているのでしょうか。

 

非正規公務員

2021年9月26日   岡本全勝

9月20日の日経新聞女性欄は「非正規公務員 遠い処遇改善」でした。
・・・新型コロナウイルスが全国で猛威を振るう中、行政サービスにあたる地方公務員。窓口など最前線で対応する職員の多くは非正規で、4分の3を女性が占める。2020年4月に非正規公務員の処遇改善を目的に「会計年度任用職員」制度が導入された。約1年半がたった今、彼女らの労働環境は変わっているのだろうか・・・

地方公務員法などの改正を受け、2020年4月から自治体の臨時・非常勤職員の多くは会計年度任用職員に移行しました。ところが、処遇は大きくは変わらず、同じような仕事をしているのに、正規職員と賃金など処遇の差は大きいようです。同一労働同一賃金は、まだ途上のようです。
年収200万円未満の人も多いようです。その仕事を片手間にやっているなら理解もできますが、それで生計を立てているなら問題でしょう。

多くの自治体で、歳出削減のために、業務を外注したり、非正規職員に置き換えました。歳出削減自体は良いことですが、同じ仕事をしていながら処遇が悪いままにしておくことは、許されることではないでしょう。これは、自治体だけでなく、国の組織も同様です。
格差是正を掲げながら、非正規職員を増やしている、その処遇を改善しないことは、矛盾しています。

予算を増やして、正規職員と同等の処遇にするのか。正規職員の給料を下げて、非正規職員と同等にするのか。
ところで、記事にでも取り上げられているように、労働組合は何をしているのでしょうか。「正規職員保護組合だ」と批評した人がいました。

若者と政治をつなぐには

2021年9月21日   岡本全勝

9月20日の朝日新聞オピニオン欄記者解説は、秋山訓子・編集委員の「若者と政治、つなぐには」でした。

・・・若者の政治参加が進まない。18歳選挙権は2016年から実現したが、若年層の投票率は低いままだ。
若年層の投票率はほぼ一貫して低い。年代別でみると衆院選は1969年以来、20代の投票率が最低だ。2017年の衆院選では10代の投票率は20代に次いで低かった。
他国と比べても日本の若者の政治への関心は低い。内閣府が18年度に実施した日本を含む7カ国の13~29歳の若者の調査によると、今の自国の政治に「非常に関心がある」「どちらかといえば関心がある」と答えた割合は日本が最低だ。「社会をよりよくするため、私は社会における問題の解決に関与したい」に「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えた割合も日本が一番低い。
とはいえ、無関心一辺倒でもない。同じ調査で「社会のことは複雑で、私は関与したくない」に、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えたのは、日本は6位。つまり、社会に関心がないわけではなく、潜在力があることをうかがわせる。

日本の若者の政治への関心が低いのは、国内がそれなりに安定していることに加え、国や社会の問題を自分のこととして考え行動することを学ぶ主権者教育が活発でなかったことも理由に挙げられるだろう。
欧米では主権者教育は盛んに行われている。7カ国の調査で政治への関心が最も高いドイツは、ナチス台頭への反省から主権者教育に重点が置かれ、総選挙の候補者による小学生向けの公開討論会が開かれることもある。
スウェーデンでも授業で模擬選挙や地域の政治家を招いた討論会が行われてきた。若者・市民社会庁が出した主権者教育の指南書「政治について話そう!」もある。政治がごく身近で日常のことと扱われている。一方、日本で主権者教育が注目されるようになったのは18歳選挙権の導入時から。しかも高校生が中心だ・・・

記事には、各国比較の図も載っています。わかりやすいです。この問題は、連載「公共を創る」でも取り上げています。
学校では、政治制度は教えられますが、政治の運用は教えません。完成形の民主主義と三権分立を教え、それが議論の末にできたものであることを教えません。手本を輸入する日本型教育の典型です。
正解がないこと、議論の過程が重要なことは、日本の学校教育では避けられるのです。そして今、国政と自治体でどのような政策が議論され、政党が競っているかも教えません。それで突然、選挙権が与えられます。

肝冷斎に学ぶ、権力争いと部下の道

2021年9月18日   岡本全勝

中国古典の名詩や歴史を取り上げ、解説してくれる「肝冷斎日誌」。専門的で、門外漢には難解なことも多いのですが。9月17日の宋の宰相・秦檜の最後の場面は、わかりやすく勉強になります。

この話を深く理解するには、南宋と金との戦い、秦檜と岳飛との抗争を知らなければならないのですが。この場面だけでも、勉強になります。
政治は、政策(の提示と実現)と権力(の追求と争い)の二つの要素から成り立っていますが、権力(争い)が前面に出てくると、このようになるのですね。
シェークスピアをはじめ小説や劇としては権力争いが面白いのですが、国民にとっては政策実現が重要です。

あなたなら、どうしますか。
第3案、一度は辞退して、再度勧められた受け取る。日本でのお勧め。
第4案、「では、ひとまずお預かりして、秦檜さまがお元気になられたらお返しします」と言う。
第5案、それくらい親しくなっていたら、2人も秦檜のやり口や考えはわかっていただろう。また、秦檜の方も部下の気質を知っていただろう。よって、こんな方法で2人の部下を試すことはない。

ところで、肝冷斎は落とし穴にはまりつつ、元気がないと言いながら、元気よく野球観戦も続けています。