カテゴリーアーカイブ:著作

連載「公共を創る」執筆状況報告

2021年8月25日   岡本全勝

恒例の、連載「公共を創る 新たな行政の役割」の執筆状況報告です。
第4章1(3)個人の責任と政府の責任を書きあげました。右筆たちに手を入れてもらい、それを反映して、編集長に提出しました。4回分くらいには、なりますかね。これで、9月は乗り切れるでしょう。

いや~、今回も難渋しました。集中力が続かないことと、議論している内容が難しいことによります。
孤独・孤立対策や社会的包摂にあっては、近代市民社会が前提としたこと、それによって作られた近代憲法が限界にあることを主張しています。みんながみんな、自立した市民ではありません。そして、孤立対策や社会的包摂は、従来の社会保障制度では救済できないのです。
話が大きいのと、法律学などを踏まえた議論をしなければならないので、ええ加減なことは書けません。とはいえ、私はその分野の専門家ではなく、また適当な書物もないので、四苦八苦しました。

こんな時は一人で悩まず、専門家に聞くのが早道です。ということで、今回は右筆を増やし、たくさんの人に見てもらい、意見をもらいました。ありがたいことに、いくつも鋭い意見をもらいました。それらを反映したので、これで安心して活字にすることができます。
400字詰め原稿用紙で、60枚近くの分量です。ワープロと右筆たちがいないと、とても書き上げることはできなかったでしょう。

この猛暑にも負けず、早起きして、頭がさえている時間帯に書きました。夜の異業種交流会ができないので、時間と体力は余っているはずなのですが。集中力は、そんなに長くは続きませんね。
今回も、締めきりを守りました。ホッとしましたが、ゆっくりはしておられません。その続きの原稿に、取りかからなければなりません。
第4章政府の役割再考 1社会の課題の変化を書き上げたので、次は、2社会と政府です。徐々に完結に近づいています。

連載「公共を創る」第90回

2021年8月20日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第90回「社会の課題の変化―顔の見える関係を基に手を差し伸べる」が、発行されました。前回に引き続き、孤立問題に対する安心提供手法の変化を説明しています。

人生につまずいた際にどうするかという知識と知恵を教えること、孤立に陥る前の「手すり」が必要です。そして陥った際に、どのような支援をするか。
例えば、ニートやホームレスの若者にも、次のような違いがあります。
・自ら就職先を見つけられない若者で、「きめ細かな情報提供」が必要な場合
・人間関係が苦手な若者で、「社会力をつけること」が必要な場合
・生きていくことに喜びを見いだせない若者で、「生きていく力を身に付けること」が必要な場合
すると、それぞれの場合で支援内容が異なります。
また社会生活での自立には、本人の意欲が必要です。周囲からの支援だけでは達成できません。ここにも、難しさがあります。

そして、新たに発見された社会的排除は、本人側より、周囲の側に原因があります。社会的包摂には、社会の側の意識の転換が必要です。

読売新聞に出ました「首相に直言 秘書官の役割」

2021年8月10日   岡本全勝

8月10日の読売新聞政治面の連載「語る 霞が関」の第3回に、私の発言「首相に直言 秘書官の役割」が載りました。

・・・首相秘書官として心がけたのは、首相に「違う意見がある」ということを伝えることだった。首相は孤独な権力者だ。とてつもなく忙しく、一つの案件に長い時間をかけることはできない。判断を誤れば取り返しがつかない。官僚や議員は首相の意向に反することは言いにくく、情報が偏る。身近にいる首相秘書官が情報を整理し、耳の痛い話を伝えることが重要な役割だと思って務めた・・・

・・・かつては省庁間の縄張り争いや、複数省庁にまたがる課題が置き去りにされることがあった。これが解消されてきたのは省庁改革の一定の成果と言える。
ただ、政治主導はまだ道半ばだ。国民から選ばれた政治家が目指すべき社会像を掲げ、国民を説得しながら政策を前に進めることが政治主導の肝だ。個別の案件の政治判断は、政治主導とは違う・・・

・・・平成の時代以降、官僚に対する国民の評価が落ちたのは、社会環境の変化に適応できなかったからだ。
東日本大震災後、復興庁の前身である被災者生活支援チームのメンバーとして復興に携わった。司令塔として各省庁に仕事を割り振ったが、省庁は生産者やサービス提供者を相手にしていて、被災者と直接向き合うことがほとんどなかった。
被災地だけの問題ではない。子供の貧困や孤立、引きこもりなどの社会問題は行政機関よりも非営利団体の活躍のほうが目立つ。
効率よく公共サービスを提供する行政は一定の役割を終えた。今後は生活に困っている人たちに寄り添うことが大きな課題だ。各府省に分かれている関係部局をまとめ、生活者の暮らしを支援する「生活者省」を設置すべきではないかとの思いをますます強めている。
現役の後輩たちには、目先の課題も重要だが、10年後の国民に、「あのときなぜ取り組まなかったのか」と批判されないような仕事をしてもらいたい・・・

盛りだくさんの内容を、阿部記者がうまく整理してくれました。
なお、紙面では白黒写真ですが、インターネットではカラーでかつ大きい写真です。仕事の時は、こんな顔をしているのですね。

連載「公共を創る」第89回

2021年8月6日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第89回「社会の課題の変化―仕組みを変えれば国民の意識も変わる」が、発行されました。

前号(7月29日)に引き続き、安心提供手法の変化を説明しています。大量の非正規労働者を生む日本の雇用慣行をどのように変えるか。これは、諸外国に手本があります。
孤立問題は、そのような状況を生み、追い詰める社会の仕組みと意識にも問題があります。複線型社会をどのようにつくるか。そして、つまずいた際にどのように対処するか。
これまでの公共サービス提供手法では、限界があります。社会の仕組みや国民の意識を変える必要があるのです。では、それはどのようにすればよいのか。働き方改革などの仕組みの変更と、教育に期待します。

連載「公共を創る」第88回

2021年7月30日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第88回「社会の課題の変化―格差と孤立問題解消に向けた新しい手法」が、発行されました。

連載第71回から、「社会の課題の変化」を説明しています。成熟社会となった日本では、発展途上時代とは違った社会のリスクが生まれました。第80回から前回まで、それらを格差と孤立の二つの視点で説明してきました。今回から、これらの不安に対し、私たちがどのように対応すればよいかを考えます。
新しい形態のリスクには、これまでの手法では支援が届かないなど効果が少なく、手法を変える必要があります。そしてそれは、手法の工夫にとどまらず、行政の在り方も根本的に変える必要があると、私は考えています。
もっとも、日本にとってこれらはこれまでにない問題ですが、その多くは先進諸国に共通した問題です。彼らもまた、試行錯誤しながら取り組んでいます。
あわせて、私がこのような問題に関心を持った経緯をお話します。