カテゴリーアーカイブ:生き様

幸福論的倫理学と義務論的倫理学

2022年5月12日   岡本全勝

悩んでいた疑問に、「納得」と思える説明に出会いました。
山本芳久著『アリストテレス『ニコマコス倫理学』』(2022年、NHK出版)を読みました。そこに、アリストテレスの倫理学は「幸福論的倫理学」であり、カントの倫理学は「義務論的倫理学」であると説明されています(14ページ)。

幸福論的倫理学は、人間の行為や存在の究極目的は幸福にあると考える倫理学で、それをどのように実現していくかを考えます。幸福という目的が焦点になっているので「目的論的倫理学」とも呼ばれます。
他方、義務論的倫理学は、人間は義務に基づいた行為をする必要があり、道徳法則に対する尊敬が重要であると主張します。そして「○○すべきだ」「××してはいけない」という義務や禁止に基づいて倫理を考えます。詳しい方には常識のことなのでしょうが、素人は知らないことでした。

拙稿「公共を創る」で、政府が個人に関与する場合、特に内面に関与する場合の問題を取り上げました。倫理学は私は門外漢で、法学・政治学からの知識で執筆するのに、苦労しました。他者と共存するためにしてはいけないことがあることは分かります。
他方で、どのような生き方がよいかは、各人に任せられていますが、宗教や親の教えが希薄になった現代では、それを一人で考えることは難しいことです。では、学校で教える道徳はどのようにあるべきか。それは、倫理学とはどのような関係にあるのか。それを考えながら書きました。
この幸福論的倫理学と義務論的倫理学の二つがあることを知って、頭がはっきりしました。私の疑問に即して考えれば、前者は個人の善き生き方を考えるものであり、後者は社会で共存するためのものです。倫理といっても、この二つがあるのです。正確ではないでしょうが、私の議論からは、このように理解しましょう。

アリストテレスが古代ギリシャの哲学者で後世の学問に大きな影響を与えたことは知っていますが、ニコマコス倫理学は名前を聞いたことはあっても読んだ人は少ないでしょう。私もそうでした。「NHK100分で名著」シリーズは、難しい古典を易しく解説してくれるので、ありがたいです。

難しい学問分野の本を読んで理解する際に、素人に役に立つのは解説書です。それも、各原典を要約したような紹介でなく、その分野の全体像を一枚の地図にしたような解説がわかりやすいです。その原典や学者がどのような新しい機軸を打ち出したのか、何が従来と異なり、それは後世にどのような影響を及ぼしたのか。そして現在では、各学説はどのような位置にいるのかです。

大型連休が終わりました

2022年5月8日   岡本全勝

春の大型連休が終わりました。皆さんは、楽しむことができましたか。
天気も一部悪かったですが、晴れた日が多かったのではないでしょうか。5月2日と6日を休むと10連休でした。始まる前は「長いなあ」と期待し、終わると「短かったなあ」と思います。
私は、前半はキョーコさんのお供で外出、後半は家族の用件が続きました。原稿執筆を稼ごうと思ったのですが、なかなか進みませんね。それが休みなのでしょう。健康で家族と過ごせたことを、良しとしましょう。楽天イーグルスの調子も良いです。
肝冷斎は、元気に活動していたようです。しかも、休み中にも仕事に出ていたようです。

いつも連休の際には思います。私たちは楽しんでいますが、この期間にも働いている人がたくさんおられます。運輸、医療、警察、消防、そして飲食や商店の人たち。感謝しなければなりません。
別の日に休みを取っておられるのでしょうが。子どもさんたちも、辛抱しているのでしょうね。

ひらめき

2022年5月2日   岡本全勝

ぼんやり考える時間」の続きです。
ある主題に集中しているのでもなく、ぼんやりといろいろなことを連想しているのでもないときに、重要な問題の解決をひらめくことがあります。
ニュートンがリンゴが落ちるのを見て万有引力を発見したとき、アルキメデスがお風呂に入っていて比重を思いついたときです。

その発見のためには、それに関する「問題意識」を持っていることと、そこにたどりつくまでの「基礎知識」が必要です。量子力学の世界は、私たち素人では基礎知識がなく、どんなセレンディピティ(幸運な偶然を手に入れる力)に恵まれても、発見はないでしょう。
しかし、試験や試験勉強のように、その問題を前に紙と鉛筆を持って考え込んでいるのではなく、ぼんやりと考えている時にひらめくのです。なぜでしょうかね。参考「直観サバンナ

少し脱線しますが、「探しものを見つける」場合にも、集中して探す場合と、ぼんやりと探す場合があります。
本屋を考えてください。書名が分かっている本を探す場合、ある分野の棚で良さそうな本を探す場合のほかに、何か面白そうな本はないかと棚を見渡す場合です。3番目の場合は特に主題を決めていないのですが、ぴんとくる本に出会うことがあります。これも、頭の中にぼんやりと関心事項があって、それにはまるのでしょうね。
ぼんやりとでも、アンテナを張っていると、引っかかるものがあるのでしょう。

よい季節になりました

2022年4月28日   岡本全勝

東京では桜が咲き、次に八重桜がきれいです。と言っていると、ツツジがきれいな時期になりました。植えた人や手入れをしている人たちに、感謝しなければなりません。緑や花があるのとないのとでは、町の景色が大きく違います。そして、人の気持ちもよくなります。

明日から、大型連休です。コロナによる行動制限も緩和され、出かける人も多いでしょう。天気が少々心配ですが。

東大教師が新入生にすすめる本2022年

2022年4月13日   岡本全勝

今年も東大出版会の宣伝誌「UP」4月号は、「東大教師が新入生にすすめる本」を特集しています。毎年、出るのを期待しています。

「今はこんなことが研究されているのだ」と勉強になります。
書評欄に取り上げられる新刊だけでなく、先生方が読んだ本やおすすめの本もあって、「こんな本もあるのだ」と知ることもできます。専門でない分野を知ることは、面白いですよね。
このような記事は、インターネットで読むことができるようにしてほしいですね。
東大教師が新入生にすすめる本2019」「東大教師が新入生にすすめる本2017