投稿者アーカイブ:岡本全勝

間近で見た平成の政権交代

2019年8月12日   岡本全勝

古い話で恐縮です。
平成時代に、2度政権交代がありました。正確には、2度自民党が下野し、それぞれ自民党に戻ったので、4度(往復2度)というのが正しいのかもしれません。私は、その2回を、間近に見ることができました。

平成5年(1993年)7月、自民党が選挙に負け(それでも第1党だったのですが)、8月に細川連立内閣が成立しました。私は、宮沢(改造)内閣の村田敬次郎自治大臣の秘書官をしていました。
大臣の(政治家としての)選挙活動にも、ついて行きました。大臣秘書官(正確には秘書官事務取扱)は一般職なので、政治活動はできません。しかし、連絡要員として、大臣にお供するのです。

内閣が替わり大臣も替わるので、私は秘書官をお役御免になりました。久しぶりに休みをもらい、奈良の実家で昼からビールを飲んでいました。すると、本省から電話がかかってきました。「早く戻ってこい。大臣が2人になるので、もう一度秘書官をしろ」との指示でした。
自治省が、山花選挙制度改革担当大臣と、佐藤観樹自治大臣の、お二人を支えることになったのです。私は、佐藤自治大臣の秘書官になりました。自民党の大臣に続き、社会党の大臣にお仕えすることになったのです。

国会内で、社会党の大臣について歩いているときに、自民党の前大臣にすれ違うこともよくありました。これも仕事だと、自分に言い聞かせました。お二人はともに愛知県選出、仲が良かったので困りませんでした。
もう26年前のこと、私は38歳でした。続く

偉人たち、人生の快楽

2019年8月11日   岡本全勝

島地勝彦著『そして怪物たちは旅立った』(2019年、CCCメディアハウス)を本屋で見つけて、読みました。島地さんは1941年生まれ、『週刊プレイボーイ』編集者として有名です。近年は、バーテンダー、エッセイストとして活躍しておられます。

この本は、雑誌に連載された文章を、一冊の本にまとめたものです。作者が興味のある歴史上の人物100人を選んで、その人の葬式に出席して読む弔辞という形を取っています。「寝る前に2、3人ずつ読むと良い」と書かれています。

もちろん、歴史上の偉人を、公式の活躍ぶり、正面からは取り上げません。島地さんの物差しで、切り込みます。酒と女とたばこ、とおっしゃいます。
人生の楽しみは、このほかに、名誉とお金、美食でしょうか。へえ、と思うことがたくさん載っています。かなりの読書をなさったのでしょうね。また、それを覚えておられる。すごいことです。
短いコラム、本の形にしても一人3ページの短いものです。できればこの2倍の分量があれば、さらに面白いものになったと思うのですが。
近年は、英雄の伝記ははやらなくなったのですが、人生の道しるべとしては、意義があります。凡人は、そのようなまねはできないと思いつつ、夢を持ったり、少しまねてみたり・・・。

官僚という職業を選んだので、私は、そんな面白いことを楽しめませんでした。キョーコさんからは、「お酒を飲んだじゃないの、飲み過ぎ」とおしかりをうけていますが。
「仕事で楽しんだじゃないか」と、ヤジが飛んできそうです。

連載「公共を創る」第13回

2019年8月10日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第13回「哲学が変わったー成長から成熟へ 発展の暴走に制御が必要」が、発行されました。

前回から、大震災の経験を基に、日本社会の変化や行政の役割の変化を議論しています。今回は、「安全神話」の背景にあったものを取り上げました。
それは、近代社会から続く、「人間は事前と社会を理解でき制御できる」「科学と社会は発展する」という思想です。それに基づき、「科学技術、市場経済、民主主義」が発展し、私たち、はめざましい成果を得ることができました。
しかも、神様や指導者の指示でなく、各人が自由に行動することで、自動的に発展するのです。「見えざる手」と呼ばれました。

しかし、この「見えざる手」は限界に来て、科学技術も市場経済も民主主義もしばしば「暴走」することがあるようです。「見えざる手」に任せるだけでなく、「見える手」で介入することが必要なのです。

明日から夏休み

2019年8月9日   岡本全勝

今日は8月9日金曜日、今週も終わりです。暑かったですね。

なにかと、仕事の入る1週間でした。福島と東京で重要な会議と打ち合わせ。その間に、いろいろと相談が入ります。職員からも、電子メールででもです。
うまく行っている、あるいは簡単な話は、私には持ち込まれませんわね。

私が役に立っているなあ、と思うときがいくつかあります。
・「ある人に相談に行ったら、『全勝さんに聞け』と言われました」と、相談に来られる場合。
もちろん、これまでの経験で助言できることはします。しかし、『明るい公務員講座 管理職のオキテ』にも書きましたが、よい案が浮かばないときも、「私にもよい知恵がないわ」と言うと、相手は安心します。

・面識がない二人を紹介する場合。
Aさんの「こんな案件なのですが・・・」という相談に、「だったら、Bさんを紹介しますわ」と、Bさんを紹介します。
最近は、電子メールができて、便利になりました。Bさんに、依頼内容をメールで送ります。その文章の案は、Aさんに書いてもらいます。
私は、Bさんに、Aさんはどのような人であるか、信頼がおけることを付記して、メールを送ります。Bさんの了解が取れたら、Aさんとメールで連絡を取ってもらいます。

先週と今週と、いくつもの案件が、うまく行きました。依頼人やBさんから「うまく行きました」と報告のメールが来ると、うれしいですね。
そのほかに、中長期的課題を、紙に整理することができました。

さて、明日から夏休み、という人も多いのではないでしょうか。
お互い無理をしないで、休息をとりましょう。でも、連載の締めきりは待ってくれません。

官僚論、野口教授「政党政治の劣化が問題」

2019年8月9日   岡本全勝

8月8日の日経新聞経済教室は、野口雅弘・成蹊大学教授の「官僚制の劣化を考える(下) 政党政治の劣化こそ問題」でした。

・・・このようなウェーバーによる官僚制の「理念型」は、日本の現実政治には適合しない、といわれてきた。米国の社会学者、エズラ・ヴォーゲル氏の「ジャパン・アズ・ナンバーワン」や国際政治学者、チャルマーズ・ジョンソン氏の「通産省と日本の奇跡」など、高度経済成長期の日本政治を論じた海外の研究は、こぞって日本の官僚組織の優秀さを讃えた。
しかし、ここでの優秀さは、政策形成における「目的」の設定という、本来であれば政治家が行うべき「仕事」までもが、選挙によって選ばれたわけではない、従って民主的なレジティマシーのない官僚が行っていることを肯定した上での評価であった。こうした官僚制は、いわゆる「ウェーバー的な官僚制」モデルからすると、逸脱した形態ということになる。

行政改革では、以上のような政官関係が是正され、「政治主導」が強化されてきた。この流れは橋本行革から、「官から民へ」を掲げた小泉政権、「脱官僚宣言」を唱えた民主党政権を経て、安倍政権における内閣人事局の創設にまで至った。テクノクラート(高級官僚)の支配はいまや完全に過去のものになったといえるだろう。
しかしながらその結果、政治家が決定し、官僚が中立的かつ効率的に行政を行う、というウェーバー的なモデルに現実が近づいたのかといえば、どうやらそうではなさそうである。官僚制の「劣化」といわれるのは、まさにこの局面にかかわっている・・・

・・・現代の官僚制を測るモノサシは、高度経済成長期のレジェンドとして語られる官僚ではない・・・
・・・政策をめぐる競争が形式だけになり、「忖度」する以外に自己実現の道が閉ざされつつあるなかで、官僚の「忖度」を「劣化」呼ばわりして非難するというのでは、あまりに彼ら・彼女らが気の毒である。問題は官僚組織の側ではなく、競争が名ばかりになっている政党政治の側にある・・・