投稿者アーカイブ:岡本全勝

連載「公共を創る」第37回

2020年3月13日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第37回「社会的共通資本 働き方改革の重要性」が、発行されました。

前回から、この国のかたちを変えるために何をすれば良いか、いくつかの論点を取り上げています。
その一つは、政治参加、社会参加です。日本人は、決められたことには、従います。ところが、不満があっても、それを変えるために動こうとはしないのです。リスクを取ることも避けます。
その二は、働き方改革です。私は、これまでの働き方が、この国のかたちの結節点だと考えています。ここを変えないと、日本社会は変わらない。ここを変えれば、私たちの暮らしと日本社会は大きく変わると思います。

今回は、その続きで、仕事の仕方を変えなければならないことを指摘しました。「明るい公務員講座」での主張とも共通します。
その三は、多様性と変化への覚悟です。昭和の成功体験を忘れることができない。変化を避けているので、指摘されつつ、改革は進んでいません。
これを主張したいがために、この連載を書いています。

大震災を巡る訴訟

2020年3月13日   岡本全勝

3月13日の毎日新聞が「閖上津波訴訟が和解 岩手・宮城の全件終結 仙台高裁」を伝えていました。
・・・東日本大震災の津波で宮城県名取市閖上の家族4人が犠牲になったのは防災行政無線が故障していたためとして、遺族が市に損害賠償を求めた訴訟の控訴審は12日、仙台高裁(山本剛史裁判長)で和解が成立した。これにより、震災での津波の犠牲を巡る岩手、宮城両県の集団訴訟は全て終結した・・・

これも、一つの区切りです。
原発事故関連の訴訟はたくさんあり、まだ続いています。ADR(裁判外紛争解決手続き)も、たくさん継続中です。NHKニュースウエッブ「和解手続きADR今も800件超

被災者意識調査

2020年3月12日   岡本全勝

NHKが、被災3県の被災者を対象にアンケートを行いました。その結果の中から。

「当初、あなたが思い描いていた復興と比べて、今の復興の姿をどう考えますか?」という問には、
① 思い描いていたより良い 21%
② 思い描いた通りだ 20%
③ 思い描いていたより悪い 49%
で、悪いという回答が半分です。思い描いていたより良いが2割もあるのは、うれしいですね。

その内容を聞くと
A.道路や鉄道等の交通インフラ 復興した60%、していない21%
B.役所や病院、学校等の公共施設 復興した52%、していない23%
C. 地域経済 復興した14%、していない49%
D. 地域のつながり 復興した23%、していない44%
E. あなたの住まい 復興した46%、していない23%
F. 暮らし向き 復興した27%、していない32%
(「復興の実感がある」と「やや実感がある」を「復興した」に、「あまり実感がない」と「実感がない」を「していない」と集計しました)

すなわち、インフラ、公共施設、住まいは復興したのですが、地域経済、つながり、暮らし向きが復興していないのです。復興事業ではなく、産業やつながりが戻っていません。行政は「復興事業は終わった」と考えますが、住民にとっては、インフラ復旧や住宅再建が目標ではなく、暮らしの再建が目標です。
これは、難しいところです。産業やつながりが再建しないと、町のにぎわいは戻らないと考え、それらにも手を打ちました。しかし、「産業復興支援の難しさ」にも表示しましたが、これらはお金をつぎ込めばできるものではなく、役所だけでできるものではないのです。

また、この地域の多くは、被災前から人口減少が進んでいたところです。それが、被災を機に、他の地域へ転出することで、急速に進みました。土地のかさ上げや高台移転工事を、待てなかったのです。その中での復興なので、難しさが二重になります。
もちろん、被災地でなくても人口減少が激しいところは、たくさんあります。人口減少、地域の活力低下は、日本の重要課題なのです。

ところで、このアンケートは4000人中、回答は1965人。回答者の内訳は、平均年齢69歳、高齢世帯が41%、年金生活者が42%です。やや、偏りがあるようです。

国による自治体への計画策定義務づけ

2020年3月12日   岡本全勝

全国知事会の地方分権改革の推進に向けた研究会に、興味深い資料があります。国による計画策定の義務づけについてです。資料1の20ページです。
平成4年(1992年)の157件から、令和元年(2019年)の390件まで、230も増えています。

1 どのような分野で、どのような計画づくりが増えたのか。分析が欲しいです。それによって、近年の行政が取り組んでいる分野が分かります。

2 知事会が問題にしているのは、これら増えている計画づくりが義務ではなく、任意だということです。義務づけは、自治体の自由を拘束するとして、問題としました。だから、任意が増えたのでしょう。
では、任意なら良いか。表面的にはそう見えます。ところが、
・計画づくりが、国庫補助金交付などの要件とされているのです。補助金が欲しければ、計画を作らざるを得ません。
・たぶん自治体では、「法律に規定され、他の自治体も作っているのに、我が市では作らないのか」と聞かれると、右にならえで、作らざるを得なくなることもあるのでしょうね。
計画を作ったかどうかは、国のホームページで公表される場合もあるそうです。

3 390件もあると、首長も職員も、全体像を把握できないでしょうね。もちろん、1市町村が、390全ての対象に該当するわけではありませんが。町村役場では、職員数も少なく、一人あたりどれくらいの計画を担当しているのでしょうか。

4 その計画を作るのに、市町村ではどれくらいの労力が費やされているのでしょうか。時に指摘されるのが、コンサルタント会社への委託(丸投げ)です。小さな町村では、こんなにたくさんつくることはできないでしょう。

各府省の役人は、それぞれの分野で「良かれ」と思って、このような法律や計画づくりを考えたのでしょうが、全体をまとめると、とんでもないことになっています。
自治体も、きっぱりと「我が町は、この計画は不要です」と拒否できれば良いのですが。

あの日から9年、3月11日

2020年3月11日   岡本全勝

今日は、3月11日。あの日から9年が経ちます。コロナウイルスを考慮して、政府主催や各地の慰霊祭は、縮小や取りやめになったようです。

新聞各紙が、先週から特集を組んでいます。どこまで復興が進んだか、課題は何かを、大きな紙面を使って報道してくれます。役所が知らないことも、拾って取り上げてくれます。ありがたいことです。

このホームページでも報告しているように、地震津波被災地ではほぼ復興工事は終わり、その面では10年の復興期間に事業は終わります。課題は、産業の再建やコミュニティの再建です。

原発被災地は、状況が全く違います。放射線量が高く、まだ避難指示が解除されていない地域もあります。避難指示解除は順次進んでいますが、住民は戻っていませんし、戻らないと決めた住民も多いです。
世界でも初めての課題に取り組んでいます。この難しい課題に、継続して取り組む必要があります。