投稿者アーカイブ:岡本全勝

社長の謝罪

2020年12月24日   岡本全勝

日経ビジネス2020年12月21日号は、特集「謝罪の流儀」です。毎年年末に特集しているとのことです。記事の「経営の神様・松下幸之助 その奥の手は謝罪だった」を、日経新聞のネットニュースで読むことができます。

・・・いざ会議が始まると、議論はもめた。販売側は「松下の社員は相手の立場になって考えることを忘れている」などと批判を重ね、松下側も「売る方の経営姿勢に甘えがないのか」と迫る。幸之助氏は事前に「共存共栄」と書いた色紙を参加人数分用意していたが、対話はお互いの主張をぶつけ合う形で平行線をたどった。
そして、最終日に飛び出したのが、幸之助氏の謝罪だった。「原因は私どもにある。松下電器の体たらくは申し訳ない不始末だ。報恩の念に燃えて、経営の一切の立て直しをしなくてはならない」。時折ハンカチで目頭を拭い、途切れ途切れに語る「経営の神様」の姿。会場が粛然とした空気に包まれた、と参加者らの声も集めて作成した同社の百年史は伝えている・・・

・・・過去の企業トップの謝罪で真っ先に浮かぶのは何だろうか。「かつては当局が挙げた案件に対して企業が会見で謝るという流れが一般的だった」と電通PRの黒田明彦・企業広報戦略研究所フェローは振り返る。その流れを変えたのが、2000年の雪印乳業(現雪印メグミルク)の集団食中毒事件だった。記者会見後のエレベーターホールで時間延長を求めた記者に対し、当時の社長が「私は寝てないんだ!」と口走ってしまった一件だ。
この言葉が翌日の新聞紙面に踊り、1万5000人近い食中毒被害者を出した惨事に対する企業トップの認識不足が白日の下にさらされた。「あれ以降、企業の不祥事会見が数字の取れるコンテンツとして、メディアで取り扱われるようになった」(危機管理コンサルタント)
2000年代半ばには期限切れ原材料の使用など食品偽装が次々と発覚。そして07年、料理の使い回しなど不適切な運営で窮地に立った高級料亭、船場吉兆の記者会見で「劇場化」はピークを迎えた。女将の湯木佐知子氏が隣に座る息子の湯木喜久郎取締役に「頭が真っ白になったと(言いなさい)」などと小声で話すシーンがテレビで繰り返し放送され、「ささやき女将」が時の言葉となった・・・

記事で「かつて在籍した吉本興業において同社のリスク管理を一手に引き受け「謝罪マスター」の異名を取る竹中功氏」が出ておられますが、このホームページでも紹介したことがあります。

本を読む人と読まない人の分化

2020年12月23日   岡本全勝

12月12日の朝日新聞オピニオン欄「読書離れと言うけれど」、井上慎平さん(NewsPicksパブリッシング編集長)の発言から。

・・・いま30~40代のビジネスパーソンでは、「本を読む人」と「読まない人」との分化が進んでいます。ビジネス競争の激しさのなかで、「論理的思考」を少し学んだところで出世なんてできないし、そもそも変化が早すぎて何が正解か分からない。シンプルなスキルを扱ったビジネス本は売れづらくなったと感じます。
象徴的なのは、外資系金融のトレーダー。国際政治に精通している方も多かったのですが、コンピューターによる自動的な取引が主流になると実務の上で教養の重要性が下がった。経済的なステータスと教養的なステータスが乖離してしまったと感じます。

かつては、無条件に「教養はいいものだ」という思想がありました。立派なビジネスパーソンなら古代中国の歴史ぐらい知っていないと恥ずかしい、という空気感です。それが「何の役にも立たないものを読むのは、むしろ頭が悪い」というような、実用主義ともいえる風潮に変わった。
勝間和代さんの「年収10倍アップ勉強法」がヒットした十数年前が実用主義ブームのピークだったでしょうか。ただ、スキルを磨く努力をすればキャリアアップできる「希望ある時代」の終焉と共に、ブームも落ち着きました。

そして、いま。読む人と読まない人の分化が進む中、例えばユヴァル・ノア・ハラリ氏の「サピエンス全史」といった骨太な書籍は好調です。未来が見えなくなるほど大局観を求め、歴史や人文知へのニーズが高まる。読者は断定的な正解を求めるより「どんな経済や社会が良いのか」という価値観のレベルまで踏み込んで考え始めています・・・

ボーゲルさん

2020年12月23日   岡本全勝

エズラ・ボーゲルさんがお亡くなりになりました。12月22日の朝日新聞天声人語が、次のように書いています。

・・・ハーバード大教授として79年に刊行した『ジャパン・アズ・ナンバーワン』はベストセラーに。経済発展を遂げた要因を解説し、日本人の自国観にも多大な影響を与えた
組閣時に側近ばかりを厚遇せず、派閥均衡に努める首相。社員を社宅に住まわせ、社歌や運動会で忠誠心を育てる経営者。列挙された日本の「強み」は、いま読むと「そんなことまで褒められていたのか」と気恥ずかしい

「この本は日本では発売禁止にした方がいい」。元駐日大使のライシャワー氏の評だ。日本が思い上がることを懸念したという。ボーゲルさん自身は刊行の狙いをこう説明する。「停滞した米国にとって日本こそ最善の鏡。米国の人々に目を覚ましてほしかった」
その後の日本は、バブル崩壊で失速し、「失われた20年」の間に低迷した。世界1位どころか、経済力はいずれ8位に落ちると予測される。民主主義の度合いは24位、男女格差では121位との指標も。残念ながら、どれもいまの実相だろう
知日派のボーゲルさんが亡くなった。改めて著書を読むと、日本の弱みや将来への懸念も随所に論じられている。人口も経済も縮みゆくわが国に向けた警告の「鏡」でもあった・・・

私も日本の絶頂期を示すものとして、『ジャパン・アズ・ナンバーワン』を引き合いに出しています。当時のアメリカへの警告であり、その後の日本への警告でもあったのですね。

村井宮城県知事「震災10年の復興政策」

2020年12月22日   岡本全勝

12月22日の朝日新聞オピニオン欄は、村井嘉浩・宮城県知事のインタビュー「震災10年の復興政策」でした。

―来年3月で震災から10年になります。復興政策をどう総括しますか。
「阪神・淡路大震災(1995年)と比較したら、びっくりするくらい特別な支援をしてもらいました。ただ、立場によって見方は変わると思います。被災者の立場からは『まだまだやってほしかった』、私の立場からは『非常によくやってくれた』、国の立場からは『税金を使いすぎた』、となると思います」

―税金の使いすぎ、ですか?
「国から見たら、やはり非常にぜいたくに見えるんじゃないですか。三陸縦貫自動車道を、一気に岩手まで引っぱってくれました。私が生きている間に行くなんて思っていませんでした。それが9年、10年で。防潮堤もそうです。国の財務省の目線で見ると、非常にぜいたくに見えるかもしれません。ただ、我々からすると、必要な財源で、必要なものをやりました」

―残された課題は何ですか。
「ソフト面の支援です。心のケアが必要な人には個人差があり、個別の対応が求められます。災害公営住宅でのコミュニティーづくり、人材の確保や販路開拓、子どもの不登校率の高止まりなど、課題が積み残っています。市町村やNPOと一緒に、一つ一つ取り組んでいくしかありません」

原文をお読みください。

杉原千畝紹介動画

2020年12月22日   岡本全勝

杉原千畝さんって、ご存じですよね。第2次世界大戦中に、多くのユダヤ人の命を救った外交官です。詳しくはウィキペディアをご覧ください。
・・・第二次世界大戦中、リトアニアのカウナス領事館に赴任していた杉原は、ドイツの迫害によりポーランドなど欧州各地から逃れてきた難民たちの窮状に同情。1940年7月から8月にかけて、外務省からの訓令に反して大量のビザ(通過査証)を発給し、避難民を救ったことで知られる。その避難民の多くがユダヤ人系であった。「東洋のシンドラー」などとも呼ばれる・・・

あいおいニッセイ同和損保が、10周年記念事業として、「外交官 杉原千畝 命のビザ」の動画を配信しています。元NHKの手嶋龍一さんが、わかりやすく解説しています。お勧めです。
日本語版は終了したのですが、英語字幕版(動画は日本語)などを見ることができます。