投稿者アーカイブ:岡本全勝

合理的バブルが終わるとき

2021年1月27日   岡本全勝

1月22日の日経新聞「エコノミスト360°視点」、中空麻奈・BNPパリバ証券グローバルマーケット統括本部副会長の「合理的バブルが終わるとき」から。

・・・足元で起きている資産価格と実体経済がかけ離れる「バブル」は、世界の中央銀行による金融緩和で生じたため「合理的」らしい。1990年代の米国が「根拠なき熱狂」に沸いたのとは異なるということだ。合理的に生じたものは合理的に終わると期待され、妙な安堵感も広がる。

しかし、合理的か非合理的かにかかわらず、バブルはいつかはじける。
良く引き合いに出されることだが、電気自動車世界最大手、米テスラ株の時価総額が日本車メーカー9社合計を上回った事実一つをとっても、資産価格の上昇はすでに説明がつかない。警戒感を持ってバブルの波から早く降りれば崩壊に備えられる。とはいえ、まだ株価が上昇するとすれば、指をくわえて見ていられないのが投資家の宿命だ。

問題は合理的か非合理的かではなく、①このバブルは何をトリガーにして②いつ終わるのか――という2点だ。
効率的市場仮説に基づいて価格が決まっているのだとすれば、そこから生じたバブルの限界は、「その価格では転売できなくなった時」か、現実世界の資源の有限性がネックになって「その価格が成立しなくなった時」である。

しかし、前者については、中央銀行が最後の買い手となると市場は理解している。中央銀行の出口戦略がきっかけになるとの声は多いが、極端な政策を取るとは思えない。そうなると、今回のバブルは現実世界の「崩れ」が原因で終わる公算が大きいのではないか。トリガーとなり得るポイントを3つ指摘する・・・
原文をお読みください。

復興事業の教訓、人口の減少

2021年1月26日   岡本全勝

大震災復興に長く携わったので、取材や講演、執筆の依頼がよく来ます。これまでの主題は、復興の現状と課題が多かったのですが、10年を迎えるに当たって、また津波被災地では工事がほぼ終了したので、主題が反省と教訓に移ってきています。
これまでは、問題の指摘や批判があれば、それにどのように答えるか、改善するかが対応でした。ここに来て事業が終わったので、次回への教訓をまとめることが必要になりました。1月21日の「シンポジウム 東日本大震災から10年」でもこの点に触れましたが、改めて説明しておきます。今回は、津波被災地復興について述べます。

いくつか批判と反省がありますが、主なものとして、次のようなものがあります。
・住民が戻っていない。町のにぎわいが戻っていない。
・巨大な防潮堤はムダだったのではないか。町づくり計画が過大だったのではないか。
これらについて、関係者と議論し、また講演会などで話をして、私の考えを整理してみました。
まず、住民が戻っていない。町のにぎわいが戻っていないことについてです。

次の図表は、津波被害に遭った岩手県沿岸部12市町村の人口の推移です。被災の約10年前(平成12年10月)、被災直前(平成22年10月)、被災10年後(令和2年11月)を並べてあります。右の表は、平成12年を100とした指標です。
岩手県全体では、100、94、86という減少ですが、沿岸部合計では100、88、74です。沿岸部は既に人口減少傾向にあり、かつて「10年で10%減る」と聞いたことがあります。その減少傾向がさらに加速したのです。この項続く

社会問題、大きな物語と個別の物語

2021年1月26日   岡本全勝

1月15日の朝日新聞オピニオン欄、山本太郎・長崎大熱帯医学研究所教授の「感染症と生きるには 新型コロナ」から。

4千人以上が国内でも亡くなっている現状をどうみますか。
「二つの物語が進んでいます。一つはウイルスとの共生、社会経済との両立、集団免疫の獲得という大きな物語。もう一つは個別の物語。たとえば『祖母が感染して亡くなった』というものです。社会全体からみれば10万人に1人の死でも、家族にとれば大切な一人。医師としては、個別の物語に寄り添いたいとの思いをもちつつ、大きな物語を意識せざるをえない。中長期的に、あるいは公衆衛生学上、ウイルスとの共生が望ましいとしても、そのために命が失われてかまわないということではありません。個別の物語に寄り添い、葛藤を乗り越え進んでいかなくてはならないと思うのです」

そうなんです。私も被災者支援をしたときに、個別の方の事情を聞いて支えたいと思いつつ、私の仕事は個別の被災者相手ではなく47万人が相手だと、自分に言い聞かせました。

そこに至るまで、どれだけ努力したか

2021年1月25日   岡本全勝

1月22日の読売新聞夕刊「言葉のアルバム」、細谷雄一・慶應大学教授の「相手国 歴史含めて理解」から。

・・・気鋭の国際政治学者は、恩師である北岡伸一・国際協力機構(JICA)理事長のこの言葉を大切にしている。
「その時にどのような位置にあるかではなく、その時にどれだけの努力をするかによって評価することが大事」
北岡氏との出会いは1990年、立教大1年生の時に受講したゼミだ・・・
・・・ある日のゼミで、「米国が理想主義を掲げながら、国内に人種差別の問題を抱えるのは偽善的ではないか」と議論になった。北岡氏は、米国の偽善を批判する前に、「米国という国家が人種問題を乗りこえるために、どれだけの努力を払ってきたかにも目を向けるべきだ」と説いた。そして「それは人間を評価する時も同じだ」と付け加えた・・・

・・・恩師の言葉は国際政治の分析にもあてはまる。歴史を含めて相手国を理解する努力が外交の基本であり、国際関係を維持する重要な要素だ。戦争はその不足から生まれる。世界は今、そのことを忘れかけているのではないかと危惧している・・・問題が起きると、どうしても相手国の欠点や問題点を探してしまう。でも、どうしてその国がそういう行動をとるのか、偏見を持たず、もう少し粘り強く理解する。混迷する世界をそうした眼で見つめていきたいと考えている・・・

アルファベット日本語

2021年1月25日   岡本全勝

1月23日の朝日新聞「ことばサプリ」は「SDGs」を取り上げていました。
・・・ここ最近、毎日のように新聞で目にするようになった「SDGs(エスディージーズ)」という言葉。地球環境の改善や社会での共生など、2030年までに達成を目指す17の目標のことですが、少しとっつきにくい印象がぬぐえません。
「どう読んだらいいのか分からないという声を聞きますね。外来語だと身近に感じにくいかな、という思いもありました」。SDGsの研究・紹介に携わる蟹江憲史・慶大大学院教授は、悩みを打ち明けます・・・

この言葉を広げたい人の怠慢だと思います。新聞社も怠慢です。「中学生がわかる言葉で」と言っておきながら、これでは国民に理解してもらえませんわ。わかりにくい業界用語を、一般人にわかるように書き換えることもマスコミの任務だと思います。「持続可能目標」ではダメでしょうかね。
クラスター、ソーシャルディスタンスなども、子どもでもわかる言葉、国語辞典を引けばわかるあるいは想像できる言葉にして下さい。

私のホームページでは、しばしばカタカナ英語、すなわち日本語の中で使われるカタカナの英語らしき日本語を批判しています。SDGsのような単語は、カタカナ英語を通り越して、アルファベット日本とも呼ぶのでしょうか。
会社名でも、アルファベット3文字が増えています。でも、消費者に広く覚えてもらうことを放棄しているとしか思えません。「アルファベットの会社名

ちなみに、朝日新聞のこの欄の名称は「ことばサプリ」で、サプリというわからない言葉を使っています。「この言葉は何を意味しているか」を高校入試に出したら、何が正解でしょうか。「天声人語」氏や「素粒子」氏に聞いてみたいです。