投稿者アーカイブ:岡本全勝

津波被災地での農業復興実績

2021年5月17日   岡本全勝

東北農政局が、「みやぎの地域農業復興事例20 ~ふるさとを次世代につなぐ。挑戦し続けた10年の軌跡~」を作ってくれました。
大津波で、たくさんの農地が被災しました。がれきに覆われ、海水(塩水)に浸かり、地盤が沈下し、用水路が壊れたりしました。そして、従事者も減りました。

資料を見ていただくとわかりますが、次のような事例が紹介されています。
・法人化を通じた大規模土地利用型農業の実現
・最先端技術を駆使した施設園芸の展開
・多様な主体の活躍による地域農業の再生
単に元に戻すのではなく、被災を機に、新しい農業に取り組みました。兼業の米農家では、未来はないのです。
私も、この事例のいくつかを見に行きました。感じたのは、国の助成金も必要ですが、それ以上に必要なものがあります。
やる気のある従事者がいるかどうか、家業でなく事業として成り立つか、最先端の技術で日本いえ世界と勝負できるか、です。

準有事の仕組みがない日本

2021年5月17日   岡本全勝

5月11日の日経新聞オピニオン欄、秋田浩之・コメンテーターの「80年間なぜ変わらない コロナに苦戦、戦前の教訓」から。

・・・人口千人当たりの病床数は先進国で最多なのに、日本の医療は逼迫している。ワクチン接種率でも先進国中、最下位のレベルだ。
コロナが世界を襲ってから約1年間。このありさまは医療や衛生体制にとどまらず、日本の国家体制に欠点があるということだ。
その欠点とは平時を前提にした体制しかなく、準有事になってもスイッチを切り替えられないことである。日本という列車は単線であり、複線になっていない。
米国や英国は当初、対応が鈍く、多くの死者を出した。だが、その後は緊急時の体制をとり、ワクチン接種で先をいく。
日ごろから準有事にあるイスラエルでは、ワクチンの確保に軍が動いた。同様の台湾では、携帯電話の情報から感染者の行動を追跡するシステムもある。

一方、日本の仕組みはあらゆる面で準有事の立て付けが乏しい。法的な強制力はなく、外出自粛や休業を行政が国民に「お願い」するしかない現状は、その象徴だ。
日本は戦後、米軍に守られていることもあって平和が続き、平時体制でやってこられた。先の戦争への強い反省から、国家が権力を持ちすぎないよう努めてきた。
今後もこれで乗り切れるなら、それに越したことはない。だが、残念ながら、コロナ危機は日本モデルのもろさを映している・・・

・・・第1は、戦略の優先順位をはっきりさせず、泥縄式に対応してしまう体質だ・・・
優先順位が定まらない一因が、言われて久しい縦割り組織の弊害だ。これが第2の問題点である・・・
そして第3の欠点が、「何とかなる」という根拠なき楽観思考である。日本はなぜか、最悪の備えに弱い・・・

経済同友会、復興委員会報告書

2021年5月16日   岡本全勝

経済同友会が、震災10年を期に、復興を検証し、今後の災害対応の課題を整理してくださいました。「防災・震災復興委員会報告書~東日本大震災の発災から10 年を迎えて~
このホームページでも紹介してきましたが、経済同友会は発災直後から、さまざまな支援をしてくださいました。また、毎年、現地視察やシンポジウムなどを開催し、経済界や社会に向けて、復興への関心を高めていただきました。社会の有識者や指導者に関心を持ってもらうことは、ありがたいことです。

経済界から見た復興、経済同友会の復興支援実績、これからの課題が簡潔に整理されています。ご覧ください。

統治機構改革20年の課題

2021年5月16日   岡本全勝

5月4日の日経新聞経済教室、亀井善太郎・立教大学特任教授の「独立財政機関を通じ可視化 将来世代の負担を考える」から。

・・・多様性を有する一人ひとりにより構成される社会は、個人の自由や尊厳をその基盤に置くが、その一方で国家や社会として一つの意思決定に至らねばならない時がある。主権者であるそれぞれの国民の考えを踏まえて、いかなる方法で実現するか、これこそが統治機構のデザインである。
昭和の終わりから平成にかけての選挙制度改革や橋本行革をはじめとする一連の統治機構改革は、その後の政治を形作った。外交や安全保障では成果もみられたが、当初意図された政治への信頼回復、さらには成熟化社会や厳しさを増す国際情勢に対応できる存在感ある政治に至るには、まだ多くの課題を抱えている。
課題の一つが将来世代、すなわちまだ生まれていない人々の視点の欠如だ。彼らは当然、投票権もないし、発言もできない。予算の決定といった現在の選択は、将来世代が背負う債務に影響を及ぼし、その返済を担う彼らにとっての選択肢を狭める。だがこうした懸念について、世論からも政治からも問題提起がなされない状態が続いている・・・

・・・平成期以降の政治を振り返れば、長期の課題を直視せず、先送りする短期志向の政策決定もしばしばみられた。また政府による事前予測がその後実績とかい離しても、エビデンス(証拠)に基づく十分な検証と説明がされてこなかった。これも統治機構改革に残された課題と無縁ではあるまい。
平成の統治機構改革では、従来の各省庁・官僚主導によるボトムアップ・コンセンサス(合意)型の統治機構からの脱却が進んだ。そして主権者である国民の選択を駆動力にして内閣を統治機構の主体とし、「国務を総理する」内閣の高度の統治・政治の作用を重視した、いわゆるウエストミンスター型議院内閣制への転換がなされた。
その成否については様々な議論があるが、日本を取り巻く状況を考えれば、国民の選択を駆動力にした内閣主導の統治機構という大きな方向性の転換はあり得ない。むしろこの間に見えてきた課題を踏まえ、さらなる改革に挑む「統治機構改革2.0」が求められる。その主眼は、内閣では統治機構の中核を担うチーム確立の安定化、官僚機構では専門性の回復となる・・・

次世代の視点を統治機構に組み込む主張については、原文をお読みください。

連載「公共を創る」第79回

2021年5月15日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第79回「社会の課題の変化―成熟社会で模索する生き方」が、発行されました。

第77回から、「人間らしい生き方への被害」について、対策が取られたものを説明しています。今回は、うつ病など心の悩みと過労死についてです。
今回も「出世」して、掲載誌の2ページ目からの掲載です。