投稿者アーカイブ:岡本全勝

嘆く前に、リーダーを育てる

2021年11月16日   岡本全勝

11月9日の読売新聞文化欄「リーダー論 上」「作る、育てる。「日本人は…」と嘆く前に」から。
・・・日本には、華のある魅力的な「リーダー」がいないと言われる。でも、それは本当か。優れたリーダーを生むには、何が必要なのか。岸田首相が率いる自民党が、議席数を減らしながらも絶対安定多数を得た衆議院選から1週間余り過ぎたのを機に、考えてみたい・・・

・・・そもそも日本は、優れたリーダーを生む取り組みをしてきたのか。各種の調査は、若い世代が指導的な立場につくことを拒む内向きな傾向を示す。内閣府が13歳から29歳の男女を対象に行った「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査(2018年度)」によると、「将来の国や地域の担い手として積極的に政策決定に参加したい」の問いに対し、「そう思う」などと肯定的に答えたのは33・2%。米国の69・6%や韓国の60・0%より極めて低い。
40歳くらいの頃、「世界で活躍している」と思うかの問いに、日本で「そう思う」などと答えたのは14・1%。米国59・5%、スウェーデン56・0%だった。

これに対し、立教大の中原淳教授は、企業や組織の人材開発を研究する立場から、調査に対して日本人は謙虚に回答しがちだとしたうえで、「日本はリーダーを育てる訓練の機会が少ない」と指摘する。「学校でクラブ活動や合唱大会などの行事があるのに、体験を振り返ってリーダーが組織をどう運営するか深く考える場がない」
折に触れてリーダーに必要なものを具体的に考える機会を与えてこそ、「リーダーはカリスマ性が必要」など、漠然とした思い込みから脱却できるという・・・
・・・リーダーは作り、育てるもの。その意識が社会に大きく広がったとき、日本を牽引するリーダーは現れるのかもしれない・・・

原文をお読みください。

東芝、経営陣が不正の全容を把握していない

2021年11月16日   岡本全勝

11月8日の日経新聞に「東芝の不正会計が時効 刑事責任問えず」が載っていました。
・・・2015年に発覚した東芝の不正会計問題が、刑事事件として公訴時効を迎えたことが関係者への取材で分かった。現在も続く経営混乱の発端となったが、当時の経営陣らの刑事責任は問われずに終結した。問題を調査した当局関係者からは「膿(うみ)を出し切れなかった」と悔やむ声も上がる・・・

詳しくは記事を読んでいただくとして、次のような指摘があります。
・・・当時の東芝の社内調査や監視委の調査などでは、東芝が会社ぐるみで見かけ上の利益をかさ上げしていた実態などが次々に明らかになった。不正は幅広い事業分野に及んでいたが、監視委は特にパソコン事業に注目。同事業では「バイセル」と呼ばれる取引を使い、利益を実態よりも多くみせかける手法が使われていた。バイセルとは、パソコンの製造委託先に、東芝が購入した(buy)部品を有償で販売する(sell)仕組みを使い、利益をコントロールする手法だった。
行政処分が先行した。15年末、監視委の勧告を受けて、金融庁が東芝に金融商品取引法違反(有価証券報告書などの虚偽記載)で約73億円の課徴金納付命令を出した。会計監査を担当した新日本監査法人にも3カ月の新規業務の停止を命じ、監査法人へは初となる約21億円の課徴金も命じた。

その後、焦点は刑事事件として立件できるかに移った。監視委は西田厚聡(故人)、佐々木則夫、田中久雄の歴代3社長らを任意聴取し、東京地検特捜部に刑事告発できるか検討した。
ところが監視委の調べでは、経営トップから「チャレンジ」などと呼ばれる過度な収益改善の圧力があったものの、利益水増しなどの具体的な手法はほとんど現場で発案、実行されたとみられることが判明した。経営陣は、不正の全容を把握すらしていなかった。
具体策も示さず現場に無理なプレッシャーをかけ続けた経営陣の振る舞いは無責任にみえた。だがこの構図が逆に刑事事件化を困難にした。有報の虚偽記載で個人の刑事責任を問うには、投資家の判断を誤らせるようなうその記載を、故意に行ったことなどが要件になるためだ・・・

旧日本軍でも指摘された、日本の組織に内在する責任者が責任を果たしていない状況が、違った観点から浮き彫りになっています。

仕事のリズム

2021年11月15日   岡本全勝

新しい仕事に転職して、約1か月が経ちました。早いものです。
挨拶回りや業務説明を一通り終え、今度は私の疑問を職員に教えてもらっています。若いときに何度か講師として来ていたのですが、全体像を見るのは今回が初めてです。
市町村職員中央研修所の本業である「研修」をどのようにするか、そのための「組織運営」をどうするか。その全体を見るのが、私の任務です。それぞれの業務は担当者がやってくれています。優秀な職員たちなので、心配ありません。
私の役割は、これまでの延長がよいのか、どこをどのように変えるとよりよくなるのかを検討すること。また、職員たちが考えている改善案を聞くことです。

私の生活のリズムも、ほぼできあがりました。家を出る時刻、乗る電車、職場での過ごし方などの「形」ができました。それができるまでの手探りの期間は、何かと気を遣います。慣れることは、ありがたいことです。みなさんも、職場を異動したときに感じるでしょう。
運んできた書物や書類を棚に並べ、使い慣れた文房具類を机に入れ、持ってきた絵を飾りました。東大寺戒壇堂の四天王「広目天」(飛鳥園の写真)も。

想定外は、夜の意見交換会がたくさん入ることです。コロナ対策で行動制限があった時期に中止や延期していた会合が、次々と入ってきます。これは、転職とは関係ないのですが。
早く帰りたいので、17時とか17時半に始めてもらって、早く終わるようにしています。お店も、早い時間から始めてくれるようになりました。まだ勤務時間中の参加者には「時間休を取って出てくるように」とか「必要なら、あんたの上司に「早く出してやってください」と電話するよ」と言いますが、後者は「必要なときは使いますが、大丈夫です」といやがられます(苦笑)。

コロナウィルスが変える仕事の仕方

2021年11月15日   岡本全勝

11月5日の日経新聞1面に「在宅勤務など恒久化 8割 本社経営調査」が載っていました。
・・・日本経済新聞社がまとめた2021年の「スマートワーク経営調査」によると、在宅勤務やウェブ会議など新型コロナウイルス下で本格導入した働き方を「常時運用したい」とする企業が8割に達した。副業を解禁した企業も4割を超え、柔軟な働き方が広がった。企業は、働きやすさを生産性の向上や事業革新に結びつける実行力が問われる・・・

それによると、
在宅勤務を導入している企業は83%。
ウエッブ会議ツールを全社で導入した企業は61%。
働きやすさが向上したは29%、悪化したが10%。
一連の取り組みで、業務効率が向上した企業は21%、悪化した企業が12%。

インド 西洋への遺恨

2021年11月15日   岡本全勝

11月7日の読売新聞言論欄、歴史家のサンジャイ・スブラマニヤムさんの発言「インド 西洋への遺恨と打算」から。

・・・国民会議派は80年代以降、長期政権の腐敗と疲弊、経済政策の失敗などで衰退し、90年代に入ると権力を掌握できなくなります。
権力の空白を埋めたのがポピュリズム(大衆迎合主義)をテコに伸長したインド人民党です。ヒンズー教の栄えた古代インドを理想郷とし、古代インドは飛行機を発明するなど全能だったという虚妄を吹聴している。同党によれば、インドの不幸は11世紀以降の中央アジアからのイスラム勢力の襲来で始まり、15世紀末のポルトガルの航海者バスコ・ダ・ガマ到来後の西欧列強の侵略で不幸が募り、18世紀半ば以降の英国の支配でどん底に落ちたのです。

ヒンズー至上主義には反ムスリム・反西洋という排他性がある。
インドは英国支配で歴史の断絶を被りました。古代インドは歴史をサンスクリット語やペルシャ語で記していた。英国はそれを「神話・空言」と断じ、インド社会に歴史の概念はないと決めつけた。統治を容易にするためでした。

大衆は過去との真のかかわりを失いました。そこから三つの反応が起きます。まず劣等感、その裏腹の過激な民族主義。次に歴史の忘却。そして冒頭で言及した、西洋に対する遺恨。ありもしない理想郷の再生を掲げるインド人民党が支持される社会心理です・・・