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青柳光昌さん、インパクト投資

2022年11月27日   岡本全勝

11月25日の朝日新聞夕刊「いま聞く」は、青柳光昌・社会変革推進財団専務理事の「インパクト、新興企業どう支援」でした。
詳しくは原文を読んでいただくとして。青柳さんも、東日本大震災復興の際に、復興庁が知恵を借り助けを借りた恩人です。現在は、このような新しい仕事に挑戦しておられます。

・・・「インパクト投資」や「インパクトスタートアップ」という言葉を聞いたことがあるだろうか。前者は収益と共に社会課題の解決をめざす企業への投資で、後者はそういう経営を行う新興企業をさす。規模は小さいが、確実に芽吹いている。
社会変革推進財団(Japan Social Innovation and Investment Foundation、以下SIIF)ではインパクト投資、なかでもインパクトスタートアップへの投資に力を入れている。

「インパクトはそもそも『影響を与える』という意味の英語ですが、ここでは特に『社会に良い影響を及ぼす』という意味で使っています。もともとは社会的インパクトと言っていましたが、最近では『インパクト』だけで表現することも多くなりました。インパクトスタートアップとは社会課題解決をめざす新興企業。私たちSIIFは、そのようなインパクトスタートアップに年間1億円規模で投資や助成、あるいは他の出資者とファンドをつくって、投資をしています。このようなインパクト投資も注目されていて、岸田文雄首相も施政方針演説で言及しました」
SIIF専務理事の青柳光昌さん(55)はこう話す。金銭的利益と共に社会課題の解決をめざす会社のことを「社会的企業」ともいう。どう違うのだろうか。
「ほぼ同じ意味ですが、インパクトスタートアップのほうが、より成長に焦点をあてていると言っていいでしょう」

インパクト投資は、投資全体からみれば微々たる額だ。しかし急増している。
「SIIFの調べでは2021年は1兆3204億円。20年は3287億円で、1年で4倍に伸びています。21年11月には、金融機関が合同で『インパクト志向金融宣言』を出しました。現在、メガバンク、地銀、生損保、投信会社、ベンチャーキャピタルまで42機関が分野横断的に参加しており、それだけインパクト投資が注目されているということでしょう」

環境に配慮した経営をしている企業に投資をする「エコファンド」など、同種の「社会に良いとされることをしている企業」への投資はいくつも存在した。インパクト投資はどこが違うのか。
「先ほどの『宣言』には各金融機関のトップが自ら名を連ねており、インパクト投資に向き合う本気度がより高いといえるのでは。経済的な成功だけが人生の成功ではない、社会をより良く変えることも生きがいだという若い人が増えています。私たちの投資先の一つに、保育の質の向上や保育士の負担軽減をめざし、保育施設向けICT(情報通信技術)サービスを提供する『ユニファ』があります。13年の設立で、CEO(最高経営責任者)は住友商事、CFO(最高財務責任者)は外資系金融の出身です。30代で創業あるいは転身しています。彼らは、自分たちが社会課題を解決していることに誇りを持ち、明確な成長志向があって日本発で世界進出もしたいと、夢と戦略を描いています」・・・

備える危機の3種類

2022年11月26日   岡本全勝

災害をはじめとして、組織にはさまざまな危機が起きます。それらに、どのように備えるか。3つに分けて考えると、わかりやすいです。

その1は、経験したことがある危機です。人は一度経験すると、二度目は上手に対応できます。組織も同じですが、時間が経つと経験者がいなくなるので、その経験をどのように引き継ぐかが課題となります。

その2は、同業他社が経験した危機です。その際の対応が役に立ちます。というか「私たちには初めての経験なので・・」という言い訳は通用しません。その1の危機もその2の危機も、手順書やそれを基にした訓練が、いざというときに効果を発揮します。

その3は、まだ誰も経験したことのない危機です。いろいろと想定をしておきますが、未曾有の危機では想定外のことが起きます。その際にどれだけ想像力を働かすことができるか。ここに、力量が現れます。

沖縄の女性の困窮に立ち向かう

2022年11月26日   岡本全勝

日経新聞夕刊連載「人間発見」、おきなわ子ども未来ネットワーク代表理事・山内優子さんの「母になる女性に寄り添う」は、沖縄の女性の貧困と子どもへの虐待、そしてその連鎖へ挑んでおられる報告です。11月16日の記事から。

11年8月、衆議院の沖縄・北方問題特別委に参考人として出席。米軍統治を「空白の27年」と指摘、子どもの貧困解消に向けた予算確保の必要性を訴えた。

招致されたのは、当時の沖縄県知事の仲井真弘多氏を含めた4人。特別委のメンバーには現首相の岸田文雄氏や現知事の玉城デニー氏がいました。仲井真氏は県が自由に使途を決められる3000億円規模の一括交付金の創設を求めましたが、私はその1%、30億円を恵まれない子どものために使ってほしいとお願いしました。
太平洋戦争で地上戦があった沖縄では4人に1人が犠牲になったといわれています。戦後は27年間にわたる米国統治です。米軍は基地拡大に突き進みましたが、学校や保育所、母子生活支援施設の整備には消極的。本土で保育所などが続々と整備されたのとは対照的で、まさに失われた27年でした。
復帰して50年間に投入された沖縄振興予算は総額で13兆円を超えますが、福祉に目を向けると施設整備を含め遅れたままです。観光がリーディング産業の沖縄では夜に働くニーズが多いのは誰もがわかっていたはずですが、行政は夜間保育所などの受け皿を満足に整えませんでした。
離婚した親の場合、子どもを自宅に残して働きに出ざるを得ません。その子は寂しさと好奇心から夜の街をうろつくようになります。そこで出会った相手と交際し、一部は経済力がないまま若くして妊娠、出産に至ります。沖縄ではこのような循環が断ち切れず、結果として何世代にもわたって貧困の連鎖が生じているのです。

15年、当時の沖縄・北方相による沖縄の子どもの貧困に関する懇談会に出席したときのことです。県外の有識者がキャリア教育の重要性を訴えたのには、驚きを通り越して危機感を抱きました。中卒後の進路未決定率が全国の3倍という実情とズレが大きすぎます。沖縄について何もわかっていない。
大臣に直談判し、沖縄のNPOの代表者らと改めて懇談してもらいました。切実な声が届いたか、内閣府から10億円の予算が付いたと聞いたときは天にも昇る心地でした。

連載「公共を創る」執筆状況

2022年11月25日   岡本全勝

恒例の連載「公共を創る」の執筆状況報告です。
12月15日号の原稿がゲラになりました。これで年内発行分は、締め切りを守ることができました。しっかりと目を通し、ずたずたに赤(修正)と青(修正意見)を入れてくれる右筆のおかげです。
「なぜ執筆が進まなかったのだろう」と振り返ると、10月(6回)と11月(5回)は講演も多かったのです。講演は、時間とエネルギーを取られます。

かつてほどの馬力がなくなりました。で、時間があるときに少しずつ書いて、気が向いたときに通して推敲します。気分が乗ると、通勤電車の中でもはかどるのですが。
常に締め切りに追われる生活は、精神衛生によくありませんね。毎回同じことを言っています。ただし、これを書いているときは、締め切りを守ることができて、ほっとしているときです。
原稿は一息つきましたが、12月中に、1月発行分の原稿を提出しなければなりません。12月は、年賀状書きも待っています。

介護福祉士養成、需要増なのに減少

2022年11月25日   岡本全勝

11月17日の朝日新聞に「ケアワーカーがいなくなる?:1」「介護福祉士育む場、相次ぐ閉鎖」が載っていました。

・・・今年の3月、介護福祉科を唯一の学科としていた浦和大学短期大学部(さいたま市)が閉学した。運営法人の久田有・理事長は「学生数の減少に歯止めがかからず、苦渋の決断だった」と振り返る。学生が減っても教員を減らすわけにはいかず、人件費が経営を圧迫していたという。
久田理事長は、学生減少の背景に、少子化で若者が減っていることに加え、「仕事に見合った給与水準になっておらず、社会的評価が低い」こともあると考えている。
介護保険制度では、事業所に支払われるサービスの対価も、必要な職員配置なども公的に定められ、事業所が給与を引き上げる余地は乏しいのが現実だ。厚生労働省の21年調査によると、医療・福祉施設などで働く介護職員の所定内給与は平均で月23万6千円ほど。訪問介護でも約25万8千円で、全産業平均(約30万7千円)を大幅に下回る。

公益社団法人・日本介護福祉士養成施設協会(東京都)によると、会員の専門学校や大学、短大などを対象とする調査では、今年度の入学者は310校あわせて6802人(前年度比381人減)で、調査を始めた14年度(377校、計1万392人)以降最少に。会員の学校数310は前年度より10少なくなった。
協会に記録が残る1988年度以降、入学定員の総数が最多だったのは2006年度(約2万7千人)。調査を始めた14年度から減少が続いた入学者数は、17年に「介護」の在留資格が創設されたことなどで一時は増加に転じたものの、新型コロナウイルスで留学生の数も落ち込んでいる。
介護福祉士の国家試験を受ける人も、ピークの14年(約15万4千人)と比べて近年は5~6割にとどまる。同協会事務局長の山田洋輔さんは「介護福祉士の養成は、介護の質を高めるためにも不可欠。経営維持のための財政的な支援を、国には考えてほしい。このままでは介護の人材不足はさらに深刻になりかねない」と訴える・・・

・・・2000年4月に介護保険制度が始まってから、介護職員は増え続けてきた。しかし、現場を支えてきたベテランが高齢化する一方で、有効求人倍率はホームヘルパーで約15倍(20年度)などと高止まりしており、将来の介護職を育てるはずの養成校にも学生が集まらない。
厚労省によると、40年度に必要な介護サービスをまかなうためには、約280万人の介護職員が必要になる。19年度(約211万人)と比べて約69万人足りない計算だ。
高齢者人口が最多となる40年ごろに向けて増え続ける高齢者に対し、すでに現役世代(20~64歳)の減少は加速している。それでも介護職員を増やさなければ、誰のケアも受けられない人が大量に生まれる事態すら起きかねない・・・