投稿者アーカイブ:岡本全勝

給食の役割

2022年12月24日   岡本全勝

12月14日の朝日新聞「給食の役割は、費用は誰が」、藤原辰史・京都大准教授「公が担う「家族の枠組み出たケアの場」」から。

――無償化に対して「みんなが無関心になって質が下がる」「給食費を払うことで当事者意識が芽生える」などという声もあるようです。
「確かに一理ありますが、税金そのものだって私たちが払っているのですから、給食費を支払うのと同じことですよね。だからその税金を使って、子どもたちにおいしい給食を食べさせてほしい。学校給食法を、子どもの貧困が深刻化した今の時代に沿った形にしていくべきです」

――今に沿った形とは?
「例えば、朝や夏休みの給食の導入を進めてほしい。おにぎりとみそ汁だけでもいいんです。いろいろな事情で、朝ごはんを家で食べてこない子もいます。夏休み明けにガリガリに痩せて登校してくる子もいます。しかし、せめて学校でおなかいっぱい、1食でも食事をすることができれば『地獄の夏休み』を何とかクリアできる。地域の人と食べたり、子ども食堂とつなげたりしてもいいですよね」
「給食に期待される機能も増えています。バランスの良い食事をとる、人と食べる、家庭以外の味を知る……。給食は、子どもをケアするのは家族だけではない、自治体や国や調理師などいろいろな人と協力して一緒に育てようというプロジェクトなんです」

――給食には多様な役割があるのですね。
「もちろん、無償化は進めるべきだと思いますよ。でも、給食を舞台に、子どもの福祉や教育も一緒に整えることが大切なんです。誰からも見守ってもらえているという意識を感じるために給食が必要であるならば、夜も、子どもと保護者が一緒に食卓を囲めるようになればもっと効果があらわれます。そうすると、労働のあり方も見直さなければなりません」

美人にキスしながら 安全運転ができる人間は、 キスに十分集中していない

2022年12月23日   岡本全勝

「美人にキスしながら 安全運転ができる人間は、 キスに十分集中していない」という言葉を思い出しました。アインシュタインの言葉だそうですが、出典は明確ではないようです。私のホームページを検索したら、この話は「同時に2つのことはできない」で書いていました。
この言葉は、「二兎を追う者は一兎をも得ず」という格言より、情景を思い浮かべながら、頭に入ります。もっとも私は自動車を運転しないので、このような状況にはなり得ないのですが。

私は、音楽を聴きながら勉強することができません。人間の頭は、同時に二つのことを考えることができないように、できているようです。
例えば、同時に二人の人の話を聞いて理解することはできません。あなたはできますか?
そして、気が散る場所では、難しい本も読めません。勉強にしろ仕事にしろ、難しいことを考えるには、一つのことに集中すること、その環境をつくることが必要です。また、勉強や仕事以外に難しい問題を抱えていると、頭がそちらの方に向かって、今の課題に集中できないこともあります。
集中力、その1。邪魔する要素、外部要因

発達障害の子8.8%、

2022年12月23日   岡本全勝

文部科学省の調査で小中学校の児童生徒の8.8%に発達障害の可能性があることが分かりました。

12月14日の朝日新聞「「発達障害」の子8.8%、4割は支援受けず」から。
・・・全国の公立小中学校の通常学級に通う児童生徒の8・8%に、発達障害の可能性があることが13日、文部科学省の調査でわかった。35人学級であれば1クラスあたり3人程度いることになる。このうち4割強は、授業中に丁寧な指導を受けられるようにする配慮・支援を受けていなかった。識者は、専門知識がある教員による個々の児童生徒の特性に応じた支援態勢の強化が必要だと指摘する。

調査は10年ごとに行われ今回は今年1〜2月に実施。全国の公立小中高校の児童生徒から約8万9千人を抽出し、学習障害(LD)、注意欠如・多動症(ADHD)、高機能自閉症に関する質問が当てはまるかを担任教員らが回答。回答率は84・6%だった。この調査では、医師による発達障害の診断は行われていない。
調査結果によると、「学習面または行動面で著しい困難を示す」とされた、発達障害の可能性がある小中学生の割合は8・8%(男子12・1%、女子5・4%)だった。今回と前回の調査は一部の質問内容が異なるため単純比較できないが、2012年の前回調査時の6・5%より増えた。今回から調査対象になった高校生は2・2%だった・・・

近年、そのような子どもや人が増えたのでしょうか。昔からいたのですが、隠れていた、隠されていたのでしょうか。
いずれにしろ、「優等生を育てる教育」だけではダメで、「ついて行けない子どもや人を支援する教育と社会」をつくる必要があります。連載「公共を創る」での、私の主張です。

『行政改革の国際比較』

2022年12月22日   岡本全勝

C・ポリット、G・ブカールト著『行政改革の国際比較 NPMを超えて』(2022年、ミネルヴァ書房)を紹介します。監訳者である縣公一郎、稲継裕昭先生からいただきました。

先進12か国の、1980年代以降の公共マネジメント改革を比較分析したものです。定評ある教科書になっているようです。残念ながら、12か国に、日本は入っていません。
民間企業の経営手法を公共部門に導入し、効率化や国民住民への応答性を高める改革です。ニュー・パブリック・マネジメントと呼ばれました。政治経済において、先進諸国の多くが停滞に見舞われ、サッチャー首相、レーガン大統領、中曽根首相による新自由主義的改革に取り組みました。行政改革は、その一環でした。

日本でも、中曽根行革に続き、1990年代と2000年代にさまざまな行政改革に取り組みました。ちょうど、連載「公共を創る」で書いているところです。連載執筆で行政改革を振り返ろうとしているときに合わせて、このような本が出版されます。ありがたいことです。ふだんは出てきていても、見過ごしているとも言えます。

日本もこのような観点からの行政改革はかなり実行され、成功したと思います。問題は、日本社会の変化はもっと進んでいて、行政改革では対応できない課題となっているのです。

物の豊かさより心の豊かさ

2022年12月22日   岡本全勝

12月10日の読売新聞「岐路の資本主義 共感すれば買います ファンが市場動かす」に「モノ消費」から「コト消費」」へ移っていることが書かれています。

・・・経済成長を経てモノが飽和する現代は、生活者の価値観が多様化している。同時に、人々の間に「共感」を抱こうとする姿勢が広がりつつある。他者とのつながりや社会への配慮を意識した行動が、新しい資本主義を考える際のカギになる・・・

内閣府国民生活に関する世論調査が図になって載っています。重視したいのは心の豊かさか物の豊かさかを聞いた調査です。1977年には双方が40%程度と並んでいましたが、その後差が広がり、近年では「物の豊かさ」が30%に対し、「心の豊かさ」が62%です。
もっとも、現実生活でそのような行動が取られているかは、わかりません。格差が広がり低所得で不安定な職業では、心の豊かさを望んでも困難な場合があります。