岡本全勝 のすべての投稿

法律ができるまで12

(2006年)
国会が、20日から開かれることが決まりました。総務省は17年度の補正交付税法案、18年度の地方税改正法案・地方交付税法案など、今回も多くの法案を予定しています。総務課長は、早速、国会議員への「提出法案」説明に走っています。国会開会まであと9日、通常国会閉会まであと159日です。
今日は、その途中で、ある国会議員から「ホームページ見てるよ。わかりやすくていいね」と、お褒めの言葉をいただきました。うれしいですね。(1月11日)
(国会開会)
今日、第164国会が開会しました。6月18日までの150日間です。総務省は直ちに、「17年度交付税総額特例法」を提出しました。私は、午後、記者クラブで恒例の「提出法案説明」をしました。(1月20日)
今日、衆議院総務委員会で、「17年度地方交付税総額特例法」が審議されました。採決は、30日になります。第164国会が始まって1週間です。すでにいくつかのトラブルやこれまでにない事態が発生し、「総務課長の仕事」をしています。
(3つの「お」)
3年目に入っても、あまり進歩がありません。でも、少々のことには驚かなくなります。世の中には、こんな仕事もあるのですね。基本はたった3つです。「お願い」「お詫び」「お礼」。でも、これって大学では習ってこなかったことなんです。
(3回転)
何人もの人が、「岡本さん、何回目の国会ですか」と聞いてくださいます。「3回目です」と答えると、「まだ3回転か。安藤美姫ちゃんは3回転半だから、まだまだだね」とのこと。うーん、ジャンプだと3回転(実際は2回転とちょっと)では、採点対象外ですか。(1月27日)
と書いたら、早速職員から投書が来ました。「特別国会と臨時国会を入れると6回転目ですよ」。そういう数え方もあるね。(1月28日)
今日、予定では、衆議院予算委員会の採決後、総務委員会で補正交付税法を採決し、本会議で採決する予定でした。しかし、予算委員会での農水大臣の答弁を巡って、予算委員会が何度か休憩になりました。
新聞にも載っているように、アメリカ牛肉輸入再開に際しては、係官をアメリカに派遣すると、閣議決定に書かれていたにもかかわらず、それをしていなかったと、農水大臣が答えたからです。この閣議決定は、国会議員からの質問主意書に対する答弁書です。予算委員会は12時前までかかって採決しましたが、総務委員会は31日に採決が持ち越されました。(1月30日)
今日、衆議院総務委員会と本会議で補正交付税法が可決され、参議院に送られました。(1月31日)
補正交付税法案は、今日、参議院総務委員会で質疑の後、採決され、本会議で可決されました。国会での審議は、来週から衆議院予算委員会に舞台を移します。総務省は、18年度の地方財政計画・交付税法・地方税法などの与党審査を終え、7日に閣議決定して国会に提出する予定です。次は、総務委員会で大臣の所信と質疑、本会議で交付税法の質疑を急ぎます。(2月3日)
9日のお昼に、予算委員会の合間を縫って、衆議院総務委員会で大臣所信を読みました。総務省のHPに載せてあるので、関心のある方はお読みください。総務省の現在の課題が、簡潔に整理されてます(自画自賛ですかね)。質疑は来週になります。(2月10日)
明日14日に予定されていた総務委員会での所信に対する質疑は、延期になりました。議院運営委員会がもめた余波のようです。予算委員会では、引き続き審議が行われています。(2月13日)
今日16日は、衆議院総務委員会で、大臣所信に対する質疑が行われました。予算委員会が開かれているので、大臣が予算委員会に呼ばれない時間にです。続きは、21日に行われる予定です。明日17日には、衆議院本会議で、地方財政計画・地方税法改正案・地方交付税法改正案について、趣旨説明質疑が行われます。(2月16日)
今日、衆議院総務委員会で、大臣所信に対する質疑(その2)を行いました。予算委員会の合間を縫ってです。23日には、地方財政計画・地方税法・地方交付税法の提案理由を読み、24日から質疑することが決まりました。(2月21日)
今日は、衆議院総務委員会で、地方財政計画・地方税法・地方交付税法の質疑が行われました。金曜日は定例日ではなく予備日なのですが、期限が迫っていること、予算委員会は公聴会で大臣が出席しなくて良いので、質疑が行われました。質疑時間は、4.5時間です。大臣答弁は、通告だけで77問でした。三位一体改革、分権、地方交付税改革など多岐にわたる質問が出ました。
今日は金曜日なので閣議もあり、大臣答弁レクは早朝からでした。で、荒川選手の金メダルは、みんなで国会控え室で見ました。残りの質疑は、来週に行われます。(2月24日)
今日は、衆議院総務委員会で、地方財政計画・地方税法・地方交付税法の質疑その2が行われました。明日は、その3と予算委員会分科会、さらには本会議での質疑が予定されています。(2月27日)
28日に地方交付税法などの質疑が終局し、2日に委員会・本会議で採決される予定です。1日は、予算委員会分科会2日目が行われました。(3月1日)
今日、衆議院本会議で、予算とともに交付税法・地方税法が可決されました。また、総務委員会では、総務省所管の独立行政法人2つの改正法案の提案理由説明をしました。年度末までに可決する必要がある「日切れ法案」です。このほかにあと2件あります。明日は、参議院で決算委員会が開かれ、月曜日からは予算委員会です。(3月2日)
今日9日のお昼に、参議院予算委員会の合間を縫って、総務委員会で大臣所信を読みました。質疑は来週になります。明日10日は、参議院本会議で交付税法などが質疑されます。その後、これらも総務委員会にかかります。
一方、衆議院総務委員会では、放送通信に関して参考人質疑が行われます(大臣出席はないので同時に開催できます)。そして、来週は時間がとれれば、独立行政法人一部改正法、NHK予算などの審議を行います。新年度までに成立させるために、日程調整が大変です。与野党の理事さんが汗をかいてくださいます。(3月9日)
3月10日が、政府からの法案提出の締め切り日でした。通常国会では、与党と政府で法案提出の期限を決める慣例になっています。今年の場合は、予算関連法案は2月10日、その他の法案は3月10日でした。それに間に合うように、各省は法制局審査や与党審査を急ぎます。もちろん、補正予算関連法案のように、それより早く開会日に提出したものもあります。また、事情によりこの締め切りを越えて提出される法案もあります。
総務省では、予定していた法案をすべて提出し、また検討中だった法案も1本追加して提出しました。(3月11日)
今日は、参議院総務委員会で大臣所信に対する質疑と地方財政計画・地方税法・交付税法の趣旨説明がありました。質疑はあさってになります。あすは、参議院で予算委員会、その合間を縫って衆議院総務委員会で独立行政法人2法の質疑があります。(3月14日)
今日は、参議院総務委員会で、地方財政計画・地方税法・交付税法の質疑がありました。今回の三位一体改革、税制改革についてなので、盛りだくさんの質疑でした。採決は、予算と同時(27日予定)になります。今日も、途中で衆議院本会議質疑(街作り法)に大臣が呼ばれ、綱渡りの日程でした。明日は、衆議院総務委員会でNHK予算の審議、参議院では引き続き予算委員会が開かれます。閣議のある日なので、朝の日程が大変です。
昨日は、参議院予算委員会理事懇談会に呼ばれ、説明をする機会がありました。先週の委員会で、大臣答弁が十分でないとのことで、「後刻理事会で協議します」となった案件がありました。その説明に呼ばれたのです。「分かる職員が説明せよ」ということで、私が行きました。
後で聞くと、普通、理事が着かれる丸テーブルに、課長が座ることはないとのことです。私の説明で、ご納得いただき、一件落着となりました。いろんな経験をさせてもらいます。はい。(3月16日)

官僚は優秀か

14日の東京新聞「即興政治論」に、外務省参事官を辞め家業を継いだ、宮家邦彦さんのインタビューが載っていました。「霞ヶ関を離れたからこそ見えてきたものは」という問に対して、「一番おもしろかったのは、役人は頭がいいと役人自身が錯覚していること。ところが、おっとどっこい。企業の取締役以上くらいの人は、役人よりも上。競争がなく、止まり木のある鳥よりも、全速力で飛び続けないといけない鳥の方が体力も知力もあります。お恥ずかしいけど、難しい試験に通った官僚は賢いんだと思っていたけど、22、3歳の時にたった一回の試験で受かったからといって『それがどうした』なんですよ」
後輩へのメッセージは、「優秀な人もいっぱいる。自信を持ってやってください。その代わり、逃げないでください。役人は期待された役割を果たさないで逃げることが多い。そして責任を取らない。普通の会社で経営者が逃げたら、会社がつぶれるけど、役人は逃げた人が偉くなる。そりゃそうですよ。役人の世界は減点ゲーム。いくら儲けましたということはない。チョンボしませんでした。はいすばらしい人ですねと・・」

NO TITLE

明日香村で、また新しい発見が続いています。「飛鳥浄御原(きよみはらの)宮・天武天皇宮殿跡」「石舞台古墳・蘇我馬子の墓工事宿舎跡」「679年の観音経木簡」。浄御原宮は、私の町内(大字岡)の田んぼのなかで、子供のころは「板葺宮(いたぶきのみや)」と言ってました。発掘された井戸跡でカエルを捕っていました。今は、井戸はレプリカで復元されています。今回の宮殿は、その隣だと思います。そして、石舞台古墳の下にあった小学校に通っていました。40年前の話です。

国会と内閣

国会での質疑を聞いていて、新聞記者さんから「ああいう答弁しかできないのですか」と、聞かれる場合があります。
その一つが、犯罪に絡むものです。刑事事件にあっては法務省刑事局長、国税の脱税事案にあっては国税庁次長、選挙・政治資金違反にあっては選挙部長が呼ばれます。よくある答弁の型は、「個別事案についてはお答えできませんが、一般論としては・・」です。何度聞かれても、この答弁が繰り返されます。
既に起訴されたようなものであれば事実を答えられるのですが、捜査中であったり、まだ事件になっていないものについては、このような答弁しかできないのですよね。守秘義務があったり捜査に支障が出るので。特に選挙にあっては、総務省は形式審査(書類がつじつまが合っているかどうか)しかできず、捜査権はないのです。
もう一つは、選挙制度・政治資金制度のありかたについてです。選挙活動にはポスター・ビラなど、いくつもの決まりがあります。インターネットを使って良いかとかも、議論になっています。その際に、国会議員が、総務大臣や選挙部長に、選挙制度のあり方について質問することがあります。
たいがいの場合は、「国会議員の選挙に関することは、各党各会派でご議論いただき、結論を出していただきたい」としか、答えられません。
公職選挙法や政治資金規正法は総務省が所管になっていますが、これは他の法律と違って、総務省や内閣が一方的に改正して良いものではありません。なぜなら、国会議員の選出の方法を内閣が決めることは、三権分立から見て避けるべきと考えられるからです。総務省にあり方を聞くのは、国会議員が「内閣に私たちの選出方法を決めてくれ」と言っているようなものなのです。いくつか例外がありますが、選挙制度の改正は、議員立法で行われます。当然のことです。総務省がこれらの法律を所管しているというのは、その実施についてです。(3月1日)
7日の朝日新聞では松田京平記者が、「道州制なぜ必要」を解説していました。「道州制のもとでは、国と地方の役割分担はどう変わるのか。国の仕事は外交や安全保障などに限定される。補助金の配分や陳情受けは、官僚や国会議員の仕事から消える」。だからこそ、この改革に官僚は反対するでしょう。
「かわって都道府県よりも広い圏域をカバーする道州が、それぞれ税金を集め・・。ところが、今回の答申は、都道府県の再編に出発点を置いた・・。中央省庁の再編には触れてもいない」。その通りです。道州制は地方行政改革ではなく、国の改革なのです(このHPでも、「地方行政」に分類したり、「政と官」に分類したり、悩んでいます)。
日本経済新聞は、「分権のデザイン、知事アンケートから」を書いていました。ここでは、道州の区割りについて各知事の思惑が異なる点を強調していました。知事に区割りを任せれば、なかなかまとまらないでしょう。知事の意見を聞きつつも、国として線引きをするのが良いと思います。衆議院小選挙区の区割りも、有識者が地元の意見も聞きつつ審議会で案を作り、国会で決めています。どのように線引きするかも重要ですが、それに議論の重点を置けば、本質を見失います。反対派の思うつぼですね。
また、ある国会議員の意見です。「道州制になれば、参議院は各州代表にすればいいので、各県の一票の格差は問題なくなるね」
6日から、読売新聞「時代の証言者」は「国と地方」というテーマで、石原信雄元官房副長官のインタビューが始まりました。
「官邸にいた7年間、自分は何を問い続けていたのかと考えることがあります。この国のかたち、分権型国家の実現、内閣機能の強化、縦割り官僚支配構造の克服といってもいいかもしれません・・・」
1994年に村山内閣が、地方分権推進大綱を、各省の反対を抑えて決めたことについて、「多くの人には理解しにくいかもしれませんが、日本の内閣では事務次官会議で合意できない案件は閣議に上げないのが慣例でした。なのに次官会議を通過していないものを閣議で確認してしまったのです。地方分権という国のかたちにかかわる問題を、内閣主導で決めたわけです。私にとって、あのような閣議は初めての経験でした」(3月6日)
読売新聞「時代の証言者」、7日は「国と地方、石原信雄」2でした。「国のかたちを決めるのは、内閣であって、霞ヶ関の官僚ではありません」「『国のかたち』を考える時、中央と地方の関係が非常に重要です。今の分権改革の流れは、89年に発足した海部内閣のころに始まっていたと思います・・・。問われたのは官のあり方です。これが一方では規制改革の政策になり、もう一方では中央と地方の関係になって『地方にもっと権限を渡すべきだ』という改革になったのです。国の役割は何か、地方の役割は何かという問題です。国と地方のあり方とは、国家の統治機構そのものなのです」

2006.03.05

5日の朝日新聞は、道州制についての知事アンケート結果を載せていました。27人が賛成、2人が反対です。「実現の最大の障害は、権限や財源移譲に抵抗する中央省庁だと思うか」については、25人がそう思うと答えておられます。