続上司の仕事:状況対応型と予測準備型・戦略実行型

昨日に続き、上司の仕事(戦略を立てること)を、書きます。
問題が起きたり指摘を受けてから、考えて対応するのが、「状況対応型」です。受け身の姿勢、待ちの姿勢です。追い込まれてから、あわてて動きます。しばしば、その場しのぎの対応になります。「状況対応型」などと、きれいな名前をつけましたが、簡単に言うと、「な~んも考えていない上司」「出たとこ勝負の組織」です。
これと反対なのが、「予測準備型」です。事前に、これからどのようなことが起きるか、どのように行動すると良いかを予測し、対応方針を決めておきます。達成するべき目標に向かって準備する場合は、「戦略実行型」になります。
予測準備型と戦略実行型において、上司の能力が問われます。どのような事態を予測するか、どのような目標を立てるかは、上司の責任です。これは、部下に任すことはできないのです。

さて、各課の目標による管理は、多くの場合、毎年の定例業務であり、すでに方針の決まった仕事です。これは、部下の行動を管理しておればすみます。ボトム・アップで、定期的に報告を求めればよいのです。
予測準備と戦略実行は、上司が考え、部下に指示を出す必要があります。これは、トップ・ダウンで行う必要があります。
なお、想定問答を用意することは、形式的には「予測準備型」に分類されます。しかし、必ずしもそうとは言えません。結論が「できません」というような想定問答は、意味をなしません。また、答えにくい問いを作っていない場合も、無意味です。さらに、360度にわたって、考え得る限りの想定をして答を作らせると、部下が過労死します。
予測準備型でも、的確な予測を立て、無駄な作業をさせずに目標を達成するのが、良い上司です。起こりそうにもないケースまで考え、部下に「完璧な」準備をさせるのが、悪い上司です。
打球が右寄りに来ることを予測して構え、なんなくさばくのが、良い野手。予測してなくて飛びつくのが、次によい野手。な~んにも考えずに構え、球が飛んできてから、あわてて球をそらすのが下手な野手。