岡本全勝 のすべての投稿

これからの見通し

日経新聞「経済教室」は、12月15日から20日まで「日本の統治改革、小泉後に向けて」を連載していました。青木昌彦教授は「首相主導、流れは戻らず」「社会の変化と連動。促進へ野党の役割重要に」、岡崎哲二教授は「首相・無任所相で新機関を」「基本政策に決定権。明治以降の縦割りと決別」、朝比奈一郎補佐と木村伸吾補佐は「霞ヶ関、構造改革が急務」「官邸に統括本部を。キャリア廃止で人事も刷新」、北坂真一教授は「官の調査機能、国会に移せ」「政の政策立案促進。審議会は内閣に集約を」を主張しておられました。
こうして、政治改革、特に政治主導のあり方が、具体的に議論されることは喜ばしいことです。これまでは、幅広いが抽象的な議論や、逆に個別だが一貫性のない議論が目立ちました。「どうせ実現しないだろう」という、無力感もありました。そして議論はかみ合わず、建設的な蓄積もなされませんでした。現に、適当な教科書がないのです。
官僚主導・旧来型自民党政治が行き詰まり、国民多くがそれを実感したこと、そして小泉政治を見て「変えれば変えられるんだ」と思えるようになったからでしょう。おかしいと思っていても、社会がそれなりにうまく回っているときには改革はできず、改革とは危機の時代にしかできないのでしょうね。

今年は読売新聞

このHPでは、毎年この時期に、勉強不足あるいは説明不足の記事を批判しています。今年は忘れていたのですが、ある人から指摘を受けました。以下に、その要旨を転記します。
「今年は、読売新聞でした。23日朝刊に、しかも大きく見出しで『警官3000人増員3億4500万』と出ています。一人あたり11万円です。お手軽警察官ですね。いろんな事情もあるのかなと思って本文を読むと、『全国の警察官を3000人増員する予算として、3億4500万円が復活折衝で認められた』と詳しく書いてあります」
この記事を書いた記者さん、それを載せたデスクは、どう思っていたのでしょうか。これが事実としても、それなら解説が必要ですよね。

新しい仕事32

再チャレンジ寄付金優遇税制を、創設することになりました。再チャレンジ支援の事業を実施する民間企業に対する寄附(直接型)と、再チャレンジ支援の事業を実施する民間企業等に対して、助成を行う公益法人に対する寄付(間接型)の2種類です。このうち、公益法人への寄付についての優遇税制の仕組みは今でもありますが、直接型は初めてです。
「日本には寄付文化がないので、そんな寄付をする人がいるのかね」という指摘もあります。その通りだと思いますが、この税制はそれを変えるために=日本に寄付文化を広めるための口火になることを願っています。
初めてのことなので、ここにこぎ着けるまでには、多くの人の協力を得ました。ありがとうございました。まだ、政府での方針と与党の了解を得た段階で、これから法律改正が必要です。西脇君、ご苦労さん。(12月22日)
このHPで、22日に再チャレンジ寄付金優遇税制を書きました。早速、指摘を受けました。もっと他にも、苦労している職員がいる。その人達にも、感謝せよと。すみません。内閣官房構造改革特区推進室・地域再生推進室の小林補佐、飯島君、白垣君、ありがとう。これでいいかな、井上君。

2006.12.23

23日の朝日新聞では、坪井ゆづる論説委員が「分権改革へ再出発」を大きく解説しておられました。分権推進委員の顔ぶれが、注目されること。諸井委員会は第一次分権を進めたが、西室会議は分権より財政再建を重視し混乱したこと。道州制特区では、権限移譲がほとんどなかったことなどを紹介し、次のように書いています。
「分権改革は霞ヶ関全体の猛反発にあってきた。旧法での推進委員会は、橋本政権時代、首相から『実行可能な勧告』を求められ、税源移譲を封印された。そこには政治家が官僚機構と戦う姿勢がなかった。この構図を変えたのが小泉首相だ。三位一体改革で3兆円の税源移譲が実現したのは、首相が経済財政諮問会議の結論を閣議決定したからだ。政治の力業が官僚を押さえ込めることを示した」
「いま首相に求められるのは、分権によって自治体を強化した先に道州制への展望が開けてくる、という大きな構図を描くことだ」

新しい仕事31

22日の日経新聞は「進化する北欧モデル」として、高福祉・高負担のスウェーデンが、一方で規制改革で競争を促していることを紹介していました。企業が解雇しやすい代わりに採用もしやすく、転職が自由だとのことです。会社に職業訓練を義務づけ、職業紹介を民間に開放したりしています。