投稿者アーカイブ:岡本全勝

科学技術と政治決定

2011年6月1日   岡本全勝

日経新聞経済教室は、5月30日から「科学技術の役割ー原発事故に学ぶ」を連載しています。30日は、失敗学の畑村洋太郎先生でした。
・・東日本大震災で津波被害や福島第1原発事故を拡大させた背景として共通するのは、自然や原子力という本来制御しきれない対象物を「完全に制御できる」と人間が考えたことではないか。人間には、見たくない物は見ない、考えたくないことは考えない、都合の悪い事柄はなかったことにするという習性がある。
・・宮古市田老地区では、新しい防潮堤は津波で破壊されたが、昭和8年の大津波直後に設計された防潮堤は原形をとどめている。新しい堤防は湾口に対して直角に、真正面を向いて建設されている。だから津波の勢いをまともに受けて破壊された。これに対し、古い堤防は湾口に対して斜めを向いている。津波の圧力を真正面から受け止めるのではなく、山の方へ逃がす設計になっている。先人は、どれだけ巨大な防潮堤を建設したところで、津波を完全に押し返すことはできないと悟ったのだろう。水が入ってきたとしても、退避のための時間稼ぎができればいいという発想だ・・
・・かつて訪ねた時に、田老地区の古い防潮堤の水門を、手動で開閉していた。「なぜ手動なのか」と問うと、「電動では、電気が来なくなると閉められないでしょう」。案内人は答えた。福島第1原発ではほとんどの電源が失われたことで、原子炉を冷却できなくなり、過酷事故につながった。この水門の事例は、外部との関係が遮断されて電気が来なくなるような最悪の事態を想定することがいかに重要かを示している・・
・・「想定外」との見方について思うのは、人間はあらかじめ想定の及ぶ範囲を決めないと考えられず、範囲の確定でようやく考えられるということだ。しかし範囲を決める線引きの際に「欲・得・便利さ」が入り込む・・(要約してあります)。

5月31日は、松本紘京都大学総長でした。今回の大震災と原発事故が、科学への不信を生んだことに関して、次のように述べておられます。
・・筆者は、科学そのものに対する不信というより、科学情報が正確に伝わらない、言い換えれば、科学情報の活用に関する不信が今問題なのだという点を強調したい。
原発事故を例に取ろう。「想定外」という言葉が流行になった。だが科学的な知見として、マグニチュード9以上の地震が起こらないと科学者が言っていたわけではない。地震学者は、明らかにそうした巨大地震が過去にも起きたことを知っていた。反論があることを承知で言えば、「想定」したのは、政府であり事業者であり、科学的知見を基に確率や利益などを勘案し、社会的、経済的な観点から設定されたものが想定値であった。大本の科学の知識が間違っていたわけではない。
科学とは、何ができるか、なぜ起こるか、どうなっているのかを明らかにするためにある。一方、政治は、何をするかという意思を実現するのが役割であろう。What we can doをつかさどる科学と、What we will doを担う政治を混同してはいけない・・

災害時、インターネットの効果

2011年5月31日   岡本全勝

5月31日の日経新聞「大震災と企業」に、ヤフーの井上雅博社長のインタビューが載っていました。
それによると、5月下旬までの2か月半で、ヤフーがネットを通じて集めた募金は、90万人で14億円です。社長自身が、金額の大きさに、間違いではないかと思われたそうです。
また、インターネットは、被災状況や安否確認、支援物資集めにも、大きな力を発揮しました。3月14日のヤフー・ジャパンの総閲覧件数は、23億件。災害時には、平時の15倍にもアクセス件数が跳ね上がるそうです。情報を知りたい人にとって、重要な手段になりました。もちろん、被災地では電気や通信が通じないので、利用できません。また、信用できない情報が出回ったという欠点もありました。

いずれ、今回の大災害についての評価がされるでしょうが、ITはその新しい要素でしょう。阪神淡路大震災は、ボランティア元年と呼ばれました。今回の大災害では、それを教訓に、ボランティア活動がさらに進化しました。それ以外でも、自衛隊や消防の活動も進みました。そして、阪神淡路大震災の時には大きくなかったITの効果、さらには物流やコンビニの役割、企業の社会的貢献が認識されました。

科学者と政策決定の関係

2011年5月31日   岡本全勝

読売新聞は、5月31日から政治面で、「政策決定と科学」を始めました。そこに、イギリスの「政府への科学的助言に関する原則」(2010年3月)が紹介されています。
そのポイントは、政府にあっては、科学的助言者の学問の自由を尊重し、評価する。政策決定が助言に反する場合は、決定理由を公式に説明する。科学的助言者にあっては、科学は政府が政策決定で考慮すべき根拠の一部にすぎないと認識する。助言は、国家安全保障や犯罪助長などの理由がある場合を除き、公開する。そして、双方とも相互信頼を損なう行為をしないことです。
イギリスでこのルールが作られたのは、1990年代BSE(牛海綿状脳症)に関する科学的助言が過小評価されたとして、政府と科学者双方への不信が増したことがきっかけでした。アメリカやドイツにも、同じようなルールがあるそうです。
科学者は助言内容を自由に公表できる、しかし政策決定の際に考慮する一部でしかないことを双方が認識することです。日本でも、今回の原発事故対策や、今後の津波対策に際し、有用でしょう。

学校の保健室の役割変化

2011年5月30日   岡本全勝

古くなって恐縮です。5月5日の読売新聞「くらし・教育欄」に、高橋香代岡山大学教授のインタビューが載っていました。養護教諭の役割変化についてです。
・・以前は病気やけがの処置が仕事の中心だったが、悩みや不安を抱えている子どもに対応する割合が大きくなってきた。アレルギーや感染症、いじめや発達障害などの子どもの健康問題が多様化し、家庭の問題を抱えた子供は増えている。理由もなくふらっと保健室に来る子の数も増えており、養護教諭の役割は重要だ・・

被災者支援説明会延期

2011年5月30日   岡本全勝

今日30日は、仙台で、被災者支援の各種制度説明会を予定していました。しかし、宮城県地方が暴風雨になる予測だったので、県庁と相談して延期しました。対象者が、各市町村の防災担当者です。この人たちには、各地域の警戒に当たってもらわなければならないのです。
地盤沈下した地域も多く、豪雨は心配です。がれきを積み上げてあるので、強風も心配です。また、弱くなった傾斜地や堤防もです。