投稿者アーカイブ:岡本全勝

完璧を求めない社会

2025年4月13日   岡本全勝

4月13日から、大阪・関西万博が開催されます。報道機関が大きく報道しています。私は、準備の遅れについてが、興味深かったです。

NHKウェッブ「大阪・関西万博 きょう開会式 あす開幕 準備の遅れなど課題も」(4月12日)が次のように伝えています。
・・・海外パビリオンについては、参加国がみずから建設する42のパビリオンのうち、ネパールは、内装工事などが進んでおらず、開幕に間に合わない見通しであることが関係者への取材で分かっています。協会が建設するなどしたそのほかのタイプの海外パビリオンについても、数か国で準備が遅れていると見られています・・・

関係者は困っているでしょう。
かつてなら、少しでも遅れれば、あるいは欠陥があると、上司は部下を叱責し、自らの責任を重く感じました。社会も大騒ぎしました。「準備で遅れが出たら、徹夜をしてでも、期日までには間に合わせる」。これを、日本の長所だと、自慢にもしていました。
しかし今回は、かつてのように大騒ぎせず、淡々と受け止めているのではないでしょうか。労働者や資材の不足は、いくら徹夜してもどうにもなりません。
もちろん期日に間に合うこと、完璧に準備ができることが望ましいです。でも、展覧会で少々遅れが出ても、世の中にそんなに悪影響を与えませんよね。

日本社会にあった「過度に完璧を求めること」「間に合わせるために、精神主義で頑張ること」が緩和されるのはよいことです。
日本が成熟社会に入ったことの現れかもしれません。ただし、命に関わることについては、こんな悠長なことを言ってはこまります。しかし、新型コロナウイルス感染拡大で見られたように、全ての患者に完全な医療を提供することも不可能です。どこかで折り合いをつける必要があります。

男女格差解消、社会の体質改善が必要

2025年4月13日   岡本全勝

3月21日の日経新聞経済教室は、相澤美智子・一橋大学教授の「男女格差解消、社会の体質改善が必要」でした。

・・・以上の方針は、いずれも歓迎されるべきものだ。しかし女性活躍を冠した法律の改正という「対症療法」で、女性活躍社会を真に実現できるかといえば疑問である。女性の活躍不全という形で現れる現代日本社会の病根は深く、その克服には根本治療が必要である。
私見では、現代日本社会の病名は「日本版アンシャンレジーム(旧体制)の未清算」である。日本人がそこから解放され、日本国憲法が想定する人権意識を真に獲得できるよう、国家・社会があらゆる努力をすることが根本治療となる。
日本版アンシャンレジームと筆者が呼ぶのは、次のような状況である・・・

・・・戦後の日本国憲法は、人々が水平的(ヨコ)に結合する社会を創出すべく家制度を廃止し、両性の平等を定めた。しかし日本版アンシャンレジームないし身分制的タテ社会の伝統は、なお克服されていない。
法律に規定される夫婦同氏強制は、日本版アンシャンレジームの名残をもっとも分かりやすく示す例である。また労働契約は、労働力と賃金の交換という取引契約の外観を呈しているが、人々の意識においては身分契約(企業という団体に所属する身分を獲得する契約)のように観念されている。ここにも日本版アンシャンレジームを認めることができる。
企業における身分制的タテ社会は年功序列的人事や、人の能力を格付けする職能給制度などに認められ、正規・非正規労働者の著しい格差としても現れている。そこに、男女格差が複合的に重なる。

このように人を年齢、性別、雇用形態などによって身分制的に組織し評価するという日本企業特有の雇用のあり方を、最近では「メンバーシップ型雇用」と称することが多くなった。
メンバーシップ型雇用が確立したのは高度成長期の1960年代といわれている。この見方に従えば、この型の雇用は、成立からまだ60年程度しかたっていない。
しかし、メンバーシップ型雇用の本質が企業における身分制的タテ社会であるとの認識に基づけば、そうした社会編成の歴史は1300年に及ぶ。女性が活躍できない社会の基層に岩盤のごとく存在する、身分制的タテ社会の伝統克服が根本的課題である・・・

春の花、ホトケノザ、ヒメオドリコソウ

2025年4月12日   岡本全勝

春になって、道ばたの草むらも、葉が伸びて花が咲いています。
春の野草といえば、タンポポやスミレですが、ほかにもかわいい花を咲かせています。

紫色の小さな花がたくさん咲いているのは、ホトケノザヒメオドリコソウでしょう。ムラサキケマンは、背が高いです。カラスノエンドウは、赤紫の小さな花をつけています。
困ったことに、ナガミヒナゲシも勢力範囲を広げています。

如月の望月に桜は咲いたか

2025年4月12日   岡本全勝

4月7日の朝日新聞「月刊データジャーナリズム」「京の花見1200年、地球が分かる」が載っていました。
・・・古文書や日記には「桜が満開」「花見をした」といった記録が残り、京都の桜は満開日が1200年余にわたって断続的に確認できる世界で最も長い花のデータとされます・・・
・・・大阪公立大の青野靖之准教授(農業気象学)は、京都でヤマザクラがいつ満開になったのかのデータを1990年ごろから集めている。史書や日記から日付がわかる記録を探し、812年から今年まで1200年余りのうち、837年分の満開日を特定した・・・
・・・青野さんがまとめたデータを分析すると、満開日は4月中旬が多く、最も遅かったのは1323年の5月4日だった。それが、1820年代ごろからどんどん早くなり、近年は毎年のように記録を更新。これまでに最も早かったのは2023年3月25日で、次が21年3月26日だった・・・

ついている図表を見ると、江戸時代までは、平均では元日から100日以降に咲いています。もちろん、早い年も遅い年もありますが。
西行法師が、「願わくは花の下にて春死なむ その如月の望月の頃」と読んだ如月の望月は、旧暦の2月15日の満月、新暦だと3月半ばから下旬ですよね。これだと、如月の望月のころは、桜は咲いてないのでは。
「弥生の望月のころ」では、駄目だったのかなあ。

国立西洋美術館、梶光夫さんの西洋七宝展

2025年4月11日   岡本全勝

先日の休日に、上野の博物館をハシゴしてきました。桜も見頃で、大変な人出でした。

一つは、国立西洋美術館です。サンディエゴ美術館所蔵の西洋絵画展です。なかなかよいものを、集めています。元をたどると、中世・近世の西洋の寺院や金持ちが持っていたものが、売りに出されたり取られたりして流失した後、美術館に入ったのでしょう。

別に、「梶コレクション展―色彩の宝石、エマーユの美」もやっていたので、どんなものか見ました。エマーユとは、西洋の七宝です。きれいな、細かく手の込んだ作品が、たくさん並んでいました。梶光夫さんが一人で集められたとのこと。

ん? 梶光夫さんとは、聞いたことがある名前だなあ。「青春の城下町」の梶光夫さんと同名。若い人はこの歌を知らないでしょうが、私が子どもの頃に流行った歌です。昭和39年、東京オリンピックの年です。
私の好きな歌の一つです。♪流れる雲よ城山に 登れば見える君の家 灯りが窓にともるまで 見つめていたっけ会いたくて~。歌詞も旋律もよいですねえ。
梶さんは歌手をやめて、宝石商を継がれたと聞いていました。家に帰ってインターネットで調べたら、やはり同じ人でした。

と書いていたら、11日付けの日経新聞文化欄にご本人が書いておられました。
東京芸術大学美術館の「相国寺展」もよいですよ。