17日の日経新聞教育面は、志水宏吉阪大教授の「学力テスト結果公表、地域内の差こそ問題」でした。
43年ぶりに行われた、全国一斉学力テストの結果です。それによると、家庭学習時間の増加や、朝ご飯を食べる子供の比率が増加していること。都道府県格差が報道されているけれども、40年前に比べ、地域間格差は驚くほど縮小しているのだそうです。
問題は、給食費など就学援助を受けている生徒が多い学校は、学力が低いことだと、教授は指摘しています。校区の経済状況が、子供の学力に大きな影響を及ぼしているということです。一般的に家庭の経済状況が子供の学習態度や学力に影響するでしょうから、これはいわば当たり前のことかも知れません。もちろん、貧しくても勉強ができる子もいます。OECD各国の中では、日本は親の地位と子供の成績が比例する度合いが少ない国だそうです(朝日新聞12月19日経済気象台「勉強しない経済大国」)。
また、教授は、今後の方向を二つ並べておられます。一つは、テストの結果を広く公表することで競争状態を作り出し、学校の自助・経営努力のもとで、子供たちの学力を高めていこうとするもの。もう一つは、「現場の力」を信頼し、テストの結果は内部資料として使うものです。そして後者を薦めておられます。私は、前者を取ります。
教師だけでなく、保護者・地域住民・行政関係者が情報を共有し、課題に取り組む必要があること。情報を一部の関係者だけで秘匿するのは、情報公開の流れに沿っていません。みんなが課題を認識することで、予算や人員を投入し、対策を打つことができるのです。情報を隠して「予算を欲しい」と言っても、周りの人は納得しません。
次に、競争のないところに、向上と改善は望めません。学校関係者に努力を促す意味で、競争は必要なのです。ここでの競争は、生徒の競争でなく、教員の競争なのです。また、「学力テスト結果は一人歩きを始める」と指摘しておられます。私もそれを否定しませんが、それを恐れていては、次の行動を取ることができません。大学入試・高校入試において、学力の序列化は公然と行われています。