22日の日経新聞夕刊に、陣内秀信教授のインタビュー、「都市の華やぎ、本物か。街の姿は人の営み」が載っていました。
・・東京では高層ビルの建設が今も続く。都市の活力は健在なのか。陣内さんは懐疑的である・・
「製造業がダメなら次は金融や不動産業だというやり方では、街は魅力的にはなりません。なんだか外国のブランドばかり目立つようになったという印象です」
「日本は明治維新以降、欧米に学び、追い越すことに傾注してきました。戦後はものすごいパワーで復興し、東京オリンピックや大阪万博で都市を改造し、右肩上がりの成長を成し遂げました。しかし今どうしてよいかわからず、右往左往しているのです」
「40年近く付き合ってきて、イタリアはしたたかだなと思いますね。都市の魅力とは何かという概念がローマの時代からあるんです。絶えず危機意識を持って、都市の在り方を着々と変えてきました。戦後、ミラノやトリノなどの大都市を中心に成長しましたが、1973年の石油ショックが転機でした。中規模の都市が見直されて主役になったのです。優れたファッションやデザインによって高付加価値の製品を生む家族経営が各地域でのしてきて、80年代の成長を支えました」
確かに、街の姿が、その国と地域の「生き様」を表しているのでしょうね。日本は、かつての日本の姿を脱ぎ、欧米化することで発展してきました。そして日本らしさは、どんどん消えつつあります。私は「新地方自治入門」で、絵はがきになる街の風景がないことを指摘しました。京都タワーの上から写真を撮っても、もう京都らしい風景はないのです。日本を紹介する写真は、お寺か神社のような点でしかないのです。
先日、中国の経済発展は素晴らしいが、中国らしさはどこにあるのかと書きました(2010年12月27日の記事)。中国でも同じことを感じました。和魂洋才といった言葉も、聞かれなくなりました。畳の暮らしや和食など、日本らしさが残っている分野もありますが。