部下に信頼される上司

リスクについて、勉強を続けています。連載の範囲からは少し外れるのですが、安心に関する心理学にも興味を持って、いくつか本を読みました。中谷内一也教授の著作が、勉強になりました。人は何を安全と思うか、報道によっていかにイメージがつくられるかなどです。例えば、『安全。でも、安心できない…―信頼をめぐる心理学』(2008年、ちくま新書)や『リスクのモノサシ―安全・安心生活はありうるか』(2006年、NHKブックス)です。食品偽装事件などを例に、わかりやすく書かれています。
ところで、『安全。でも、安心できない…』は、管理職論、人間関係論として、非常に参考になりました。この本は、リスクに関して関係者(製造業者、商店、厚生労働省)や評価機関が信頼できる場合とできない場合を、心理学の知見から解説しています。いくつも勉強になることが書いてあるのですが、その一つに次のようなことがあります。
人が他人や会社を信頼するのは、その「優れた能力」だけでなく、「まじめな姿勢」と「相手への配慮」によるのだそうです。
なるほど。この3つに要約すれば、わかりやすいです。仕事ができる上司でも、一生懸命さが見えない上司は、尊敬しにくいです。仕事ができ、かつまじめな上司でも、部下である私の話に耳を傾けてくれない上司は、とっつきにくいです(反省)。
今まで、部下に信頼される上司のありかたについて考え、話してきましたが、この整理はわかりやすいです。「何だ、当たり前のことじゃないか」とおっしゃる方もおられるでしょうが、なかなか実践はできないものです。私の経験を加味して、使わせてもらいます。