6月15日の朝日新聞に、「救急の時短・効率化、ICTでめざす 容体をタブレット入力→各病院に受け入れ一括要請」が載っていました。
・・・高齢化の急速な進行に伴い、搬送患者が増える救急医療現場で新たな情報通信技術(ICT)の導入を進める取り組みが本格化している。救急隊が患者を搬送する間、タブレット端末で病院と容体などの情報を共有し、病院到着後に迅速に治療を始められるようにする。急病の判別に活用するAI(人工知能)や、高速大容量回線を利用した検査画像の遠隔配信技術の開発も進み始めている。
119番通報で現場に到着した救急車の隊員が、患者の脈拍や血中の酸素濃度などの情報を手元のタブレット端末に音声入力していく。患者の情報やけがをした患部の写真をもとに、受け入れ可能と判断された救急病院がタブレット上に表示され、搬送先の医療機関が短時間で決まった。
千葉市消防局が2020年7月、本格的な運用を始めたのが、ICT(情報通信技術)を活用した新たな救急医療支援システムだ。
開発した「スマート119」(千葉市)が目指したのは、救急患者の搬送先がなかなか決まらない「たらい回し」の解決だ。119番通報による救急車の要請や指令の内容、患者の心肺情報、救急病院の受け入れ体制を、救急隊と医療機関、消防指令センターが端末を通じて共有。救急隊は患者の受け入れを各病院に一括要請できる。
従来、指令センターを通じた出動要請や、救急隊から各病院への受け入れ要請は、電話や無線を使った「アナログ・リレー方式」だった。搬送先が決まるまで救急隊が1件ずつ電話で呼吸や心拍などの情報を伝えて受け入れを求めていた。「電話では伝言ゲームのようになって全部の情報が病院に伝わらず、情報が制限されていた」と同社の最高経営責任者で千葉大大学院の中田孝明教授(救急集中治療医学)は話す。
病院にとっては患者の到着前により正確な情報を把握でき、事前に治療の準備を始めることで医療の質の向上にもつながる。山梨県東山梨消防本部で行ったシミュレーションでは、電話連絡に比べて搬送先が決まるまでにかかる時間が4分7秒短縮できたという・・・