会読の持つ社会的、政治的意義

江戸時代の授業方法」の続きです。
会読が、政治問題討論の場と、変わっていくのです。「図録」p17。

会読では参加者の身分にとらわれず、平等な関係に立ちます。従来、政治には関与できなかった低い身分の者でも、発言が可能になるのです。そして、主義主張が共通する者たちは、(政治)集団を形成します。学校を経由して藩の要職に就くと、派閥を形成します。
公家の学校だった学習院で学んだ公家たちも、政治化し、幕末の政局に関与します。さらには、尊攘過激派も出入りします。

会読が、参加者が自発的に集会をするという結社の性格を持ち、幕末の言論の場を作り、同士を育てたのです。それは、藩を超え、広いつながりを作ります。
幕末維新の言論空間、人材登用の素地をつくったのです。政治が、制度や為政者によってのみつくられるのではないことが、わかります。