法律を守る

「憲法9条を守れ」と主張があります。ところで、この「9条を守れ」と「法律を守れ」とは、内容が違う場合がありますよね。

「法律を守れ」は、例えば「未成年者は飲酒してはいけない」とか、「自動車は制限速度を守れ」という意味であって、法律の規定を遵守しろです。
他方、「9条を守れ」は、
A「9条を履行して、戦力を持つな」という意味のほか、
B「9条を改正するな」という意味で主張する人がいます。

憲法第99条に、次のような規定があります。
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

これについて、衆議院議員からの質問主意書に対する、内閣の答弁書があります(H18.10.10内閣衆質165-27対辻元清美議員答弁書)。
問九 日本国憲法第九九条の憲法尊重擁護義務により、安倍首相は日本国憲法を尊重し擁護する義務があると考えるが、安倍首相の見解はどうか。
答弁 政府としては、憲法第九十九条は、日本国憲法が最高法規であることにかんがみ、国務大臣その他の公務員は、憲法の規定を遵守するとともに、その完全な実施に努力しなければならない趣旨を定めたものであって、憲法の定める改正手続による憲法改正について検討し、あるいは主張することを禁止する趣旨のものではないと考えている。

尊重するとか擁護するということが「改正するな」という意味なら、第96条の国会が憲法改正の発議をする定めが意味をもたなくなります。
第96条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

もちろん、9条を改正しようとする立場と、改正しないでおこうという立場があります。