10月20日の読売新聞夕刊「フランス大規模デモ、発端は教育環境の改善求める高校生の抗議活動」から。
・・・フランス各地で広がった大規模デモの流れを作ったのは、教育環境の改善を求める高校生が起こした抗議活動だった。
パリ市東部にあるエレーヌ・ブシェ高校。15日午前8時頃、生徒たちが学校の入り口をゴミ箱で塞ぎ、その前にソファを置いて陣取った。学校を封鎖して抗議の意思を表明するためだ。
集まった生徒たちはゾンビや魔女などに仮装していた。暴力的な意図がないことを示す狙いがあるといい、3年生のファニー・ウグさん(17)は「教室は過密状態で、先生が休職してもなかなか代理の先生が派遣されない」と訴えた。
高校生らが求めているのが、教員不足や校舎の老朽化への対応だ。仏教育省によると、公立の中高では授業時間全体のうち10%で教員が確保できていないという。全国の学校の10~20%が著しく劣化した状態にあるとの指摘もある。
エレーヌ・ブシェ高校も例外ではない。1930年代に建設された校舎は老朽化し、ひさしや外壁が崩れる危険から防護ネットが張られている。早期の改修が必要だが、地元自治体の財政難で進んでいない。ウグさんは「窓が薄いせいで、夏は暑くて冬は寒い。とても勉強に集中できる環境ではない」と訴える。
経済協力開発機構(OECD)が9月に発表した国際学習到達度調査(PISA)では、フランスの平均得点は過去最低水準となるなど学力低下も進む。2年生のナエル・ベヒリさん(16)は「PISAの結果は、教育制度が不十分な証しだ。先生も低水準の給与しかもらえず苦しんでいる。政府は生徒や先生の窮状に長らく目を背けてきた」と力を込めた・・・