月別アーカイブ:2026年7月

「日本版DOGE」の成果?

2026年7月29日   岡本全勝

7月9日の朝日新聞が「税優遇「廃止」、120件中1件どまり 無駄見直す「日本版DOGE」、省庁点検」を伝えていました。日経新聞「日本版DOGE「税優遇廃止」1件のみ 13府省庁120件、財源捻出見通せず」、読売新聞「消費税減税の代替財源「租特」見直し難航、省庁自己点検で「廃止」は120項目中1件のみ」。

・・・十分な効果が見込めない減税措置や補助金を見直す「日本版DOGE(ドージ)」をめぐり、企業などへの特例的な減税である「租税特別措置(租特)」の成果を検証する各省庁の自己点検結果が出そろった。無駄を洗い出し、消費減税の財源確保につなげる狙いだが、対象の約120件のうち廃止の方針が示されたのは1件にとどまった。
今回の点検対象は、来年度以降の継続が決まっていないものが中心で、国税(約50件)と地方税(約70件)で、減税額は計1兆円規模にのぼる。担当大臣の片山さつき財務相の要請により各省庁が今月8日までに公表した点検資料を、朝日新聞が集計した。

廃止方針が示されたのは、企業の事業再編にかかる登録免許税の軽減の1件だけ。2024年度の開始から申請実績がなく、経済産業省は「制度の終了が相当」と認めた。
一方、実績に乏しくても廃止に後ろ向きな租特も目立つ。シェアサイクルの普及を目的としたポート(置き場)の設備の固定資産税軽減措置は、21年度の開始から24年度まで適用件数は計4件だけ。国土交通省は、この措置が市区町村の自転車施策促進の契機になるなど「一定の政策効果が認められる」などと評価。ロボットや通信技術を活用する「スマート農業」を手がける会社の設立時などに登録免許税を軽減する措置は、24年度の開始から実績は3件にとどまるが、農林水産省は「一層の周知を行う」とした。

財源確保とはほど遠い結果に、不満を隠さないのが片山財務相だ。7日にあった閣議後会見では「現時点で満足のいくものではない。1件1件きちっと見させていただく」と強調した。今回の点検結果を踏まえ、年末に向け、財務省と各省庁との協議が本格化する。
日本版DOGEの取り組みは、米実業家イーロン・マスク氏が率いた米政府効率化省(DOGE)になぞらえたもので、今回の租特のほか補助金・基金の削減も掲げている。熱心なのが、日本維新の会だ。昨年10月の自民と維新の連立合意書にも施策の推進が盛り込まれた。今年6月には租特は「ゼロベースで要否を判断する」ことを求める要望書を片山氏に渡した・・・

本家アメリカの政府効率化省も、腰砕けで終わったようですが。
このような見直しで、大きな廃止や縮小がでてくるとは思えません。それぞれの租税特別措置あるいは予算は、それなりの理由があってつくられています。その事情が変わらない限り、廃止する理屈はでてきません。査定をすると言っている財務省も、それらの政策を認めたのですから、「自ら止めます」とは言いにくいでしょう。それ以上に、それぞれの政策には利害関係者がいて、それを応援する議員がいます。その人たちを説得しない限り、官僚だけでは廃止できないのです。
もし、大幅に削減しようとするなら、考えられる方法は次のようなものでしょう。
1 国会で廃止対象を洗い出してもらう。あるいは与党で洗い出してもらう。政治家には「役人にはできないだろうから、私たちがやる」と言って欲しいです。租税特別措置や予算廃止に反対する議員を、説得してください。
2 削減に熱心な政党もあるようですが、総論はよいので、どの項目を廃止するか、いくつか例を挙げてください。
3 もう一つは、必要性などの理屈を超えた方針で、廃止することです。例えば5年経ったものとか。その際に、「一律縮小」は止めてください。項目が減らない限り、役所の仕事量は減らないのです。

古典を並べただけでは文学史ではない

2026年7月28日   岡本全勝

間違っていたら、ごめんなさい。
「文学史」とか「××文学入門」と銘打っているのですが、中身は古典や有名な小説の羅列だと思うことはありませんか。「思想史」「哲学史」も同様です。哲学者や思想家の著作を並べただけ、というものが多いと思います。それはそれで意味があるのでしょうが、それでは「文学全集(簡略版)」、「思想家著作(概要)一覧」ですよね。

歴史学だと、各年の事実を羅列した年表や年代記です。それも歴史学の一つでしょうが、読んでも面白くないです。そして何より、「一枚に簡潔にまとめよ」と言われても、羅列ではそれを要約できません。
何が起きたか、何をしたかではなく、思想家や小説家が、置かれた条件の中で何をやったか、何をしようとしたのかを知りたいです。さらに、社会にどのような影響を与えたかです。

もう一つは、支配者の行動を記録しただけでは、歴史や政治史になりません。哲学者の著作を紹介しても、その時代の思想史とは言えないでしょう。庶民が何を考えていたかを無視しては、思想史にならないと思います。

ジェニファー・ラトナー=ローゼンハーゲン著「アメリカを作った思想 ――500年の歴史」(2021年、ちくま学芸文庫)を読みながら、考えました。この本については、別途紹介したいと思います(いろいろ忙しくて・・・)。

電子書籍より紙で読む方が記憶に残る

2026年7月28日   岡本全勝

7月14日の朝日新聞「紙で読むと、脳のコスパ良い? 東大グループ、漫画で電子版と比較実験」から。

・・・同じ漫画の作品でも電子書籍で読むより、紙で読む方が脳の余計な活動をおさえられる「省エネ化」に役立つようだ。東京大の酒井邦嘉教授(言語脳科学)らの研究グループが、脳活動を調べられるfMRIという機器を使い確かめた。グループは「社会的に文書の電子化が進み、デジタル教科書の導入などが検討されているが、知的活動や教育における紙の価値を再認識してほしい」としている。
同じ文章を読むにも、紙とパソコン画面で記憶や理解に違いが生じ、紙で読んだ方が読解テストや内容要約の成績がよかったという海外の報告がある。デジタルの文書は画面が瞬時に切り替わるなど、視覚的にも触覚的にも空間的な手がかりが欠け、記憶に残りにくいと考えられるが、脳で実際にどう働いているかはわかっていなかった。

研究グループは、首都圏の大学生・大学院生25人に、読んだことがない漫画を紙とデジタルで読んでもらう実験を試みた。
漫画の内容は男女2人が主人公のラブコメディーで、1話の前半と後半を男女別の視点で描く「ザッピングストーリー」と呼ばれる形式の作品。実験の参加者は、前半を紙かタブレット端末で、後半はすべてfMRI内でゴーグル型の装置で読んでもらう。その後、漫画の内容に関する問題の答えを4択から選んでもらい、反応時間や脳の活動を分析した。
問題は、前半だけ読んで答えられる「問題A群」と、前半と後半を両方読まないと答えられない「問題B群」がある。前半と後半は基本的には同じストーリーだが、主人公2人の視点が違うため、B群の解答には前半と後半の情報をうまく重ね合わせる必要があり、脳への負担が大きい。

実験の結果、前半をタブレットで読んだ場合にB群の解答時間は、A群の解答時間より1秒以上長く、統計上明確な差が出た。前半を紙で読んだ場合の解答時間は、A群とB群の間で差はなかった。
fMRIで脳活動を見ると、漫画の後半を読んでいるとき、前半をタブレットで読んだ場合は左脳の言語機能にかかわる領域(言語野)が強く活動しているが、前半を紙で読んだ場合はほとんど活動していなかった。つまり、前半を紙で読むと内容を理解しやすく、後半に脳の活動を節約できたとみられるという。

酒井さんは「タブレットだとタップ1回で画面が一瞬で変わり、すぐに次の情報が来るのに対し、紙を自然な動作でめくるわずか1秒ほどの間に、前の情報を咀嚼(そしゃく)して次のページに向かうことが内容の理解に大切ではないか」と指摘。「紙の本だとどのあたりを読んでいるかが感覚的につかみやすく、全体の長い文脈の中で主人公の発言などがどう位置づけられるかを頭の中で再構成しやすいことも考えられる」と話す・・・

日本の役所と郵便の素晴らしさ

2026年7月27日   岡本全勝

先日、アメリカの郵便事情を書きました。
戸籍関係の書類が必要なので、明日香村役場に郵便で申請しました。速達にしようかと思いましたが、レターパックライトが同じ早さ、インターネットで追跡できるとのことで、返信用も同封して、送りました。その追跡結果です。こんなに早いのです。経済指標には現れませんが、日本の貴重な財産ですね。

高円寺から明日香まで
7月21日11:16 杉並局引き受け
7月22日9:30 役場に配達

役場はすぐに処理してくれたらしく

明日香から高円寺まで
7月23日18:31 橿原局引き受け
7月24日11:58 我が家に配達

会社員のeラーニング受講完了4割、ながら受講は8割

2026年7月27日   岡本全勝

7月25日の日経新聞夕刊に「会社員のeラーニング受講完了4割、ながら受講は8割」が載っていました。みなさんも、思い当たる節があるのではありませんか。

・・・音声コンテンツのオトバンク(東京・文京)が発表した「eラーニング受講の実態調査」によると、正社員のeラーニングの受講完了率は4割にとどまった。他業務をしながらの「ながら受講」については8割以上が経験があると答えた。
6月12日、過去1年間にeラーニングの受講を求められた20〜69歳の正社員を対象にインターネットで調査した。400人から回答を得た。eラーニングについて、完了したと答えたのは42.5%だった。

受講できなかった理由(複数回答)について聞くと、「内容に興味を持てなかった」が最も多く、33.5%を占めた。「長時間の動画を見るのが負担だった」(30.4%)、「受講に対するモチベーションがわかなかった」(29.6%)が続いた。
メール確認など、他のことをしながらのeラーニング受講をした経験があるかについて、34.0%が「よくある」、46.5%が「たまにある」と答えた。合わせて80.5%が「ながら受講」を経験していた・・・