月別アーカイブ:2026年3月

復興の現状の評価

2026年3月9日   岡本全勝

NHKウェブサイトに「震災15年アンケート 復興“思い描いたより悪い” 3割近く」(3月8日)が載っています。

・・・東日本大震災の発生から15年となるのにあわせて、NHKが被災地に暮らす人にまちの復興の現状を尋ねたところ、3割近くの人が「思い描いていたより悪い」と答えました。まちのにぎわいや商業施設の充実度などを理由に挙げていて、専門家は「経済や暮らしの面での復興は時間がかかり、ニーズの変化も把握しながら支援を続ける必要がある」と指摘しています。
NHKはことし1月下旬から先月上旬にかけて、岩手・宮城・福島の沿岸と原発事故による避難指示が出された地域などに住む18歳以上の人を対象に、インターネットでアンケートを行い1000人から回答を得ました。
このなかで、まちの復興の現状について、思い描いていた姿と比べるとどうか尋ねたところ
▽「思い描いていたより悪い」が最も多く27.3%
次いで
▽「思い描いていたとおりだ」が25.1%
▽「思い描いていたより良い」が19.4%
▽「わからない」が28.2%でした。

どのような点が思い描いたより悪いか複数回答で尋ねたところ
▽にぎわいが44%ちょうど
▽商業施設の充実が36.6%
▽暮らしやすさが33.3%
▽医療・福祉が33%ちょうどなどと、
経済や暮らしの課題が挙げられました・・・

私はこの結果を見て、少し満足しました。「「悪い」が多いのに、満足している」という意味ではないので、誤解しないでください。
東日本大震災までの政府の災害復旧事業は、インフラや公共施設の復旧に限られていました。しかし、過疎地域では、それだけではまちのにぎわいは戻らないことに気がつき、私たちは産業と生業やコミュニティーの再開まで支援を広げました。
この住民意向調査では、にぎわい、商業施設、暮らしやすさなどが評価の対象となり、それらについての評価が低いのです。インフラ復旧だけでは、暮らしが戻らないことが認識されたことを、私は喜んだのです。課題がわかれば、対策も打つことができます。もちろん、すべてを政府が引き受けることはできませんが。(この項続く)。

中学校の同窓会

2026年3月8日   岡本全勝

今日3月8日は、中学校の同窓会に出席してきました。橿原市立八木中学校を卒業したのは、昭和45年(1970年)、大阪万博が開かれた年です。

私は明日香村に住んでいたのですが、住民票を橿原市に移して、越境入学していました。当時はそれが珍しいことではなく、近所の兄さんたちも多くが通っていました。その後は厳しくなって、私の弟は村の中学校に通いました。
当時の八木中は、近鉄八木駅の隣にありました。現在、近鉄デパートのあるところです。バスで30分の通学でした。木造2階建ての校舎、一学年8組ありました。学校はその後、耳成山の麓に移転しました。

同窓会は3年前から始まったそうです。同級生が私のことを覚えていてくれて、連絡をくれました。一度は顔を出そうと思い、出席しました。
会場は橿原市のホテルで、約30人が出席しました。ほとどが、56年ぶりに会う人です。15歳で別れて、今は71歳です。顔かたちがすっかり変わっていて、しばらく話さないと、名札を見ても思い出せない人もいました。目元には、面影が残っていました。

私は当時から目立つ生徒で、生徒会の役員もしたので、みんなが覚えていてくれました。私が忘れていた出来事なども。恥ずかしいですね。幹事が配慮してくれて、経験談を話せとのことで、総理秘書官の経験を少し話しました。みんな、喜んでくれました。ありがとうございました。

前日に実家に泊まり、弟の車で故郷を見てきました。本家の再活用は、さらに整備が進んでいました。8日は、飛鳥ハーフマラソンで、村内に車が入ることができませんでした。

人は信頼で動く

2026年3月8日   岡本全勝

2月19日の日経新聞夕刊、「私のリーダー論」、木村皓一・ミキハウス社の「人は恐怖より信頼で動く」から。

・・・「ミキハウス」ブランドで子供服を製造・販売する三起商行。創業者の木村皓一社長(80)は一代で国内外に200店舗を構える高級ブランドを育て上げた。6月には1971年(昭和46年)の創業以来初となる社長交代を控えるなど、世代交代を進める・・・

―社長を竹田欣克取締役に譲り、自身は会長に就任します。竹田氏に何か伝えたいことはありますか。
「経営者の役割ですね。野球の監督と一緒で、選手(社員)の技量をどれだけ引き出すかということです。大谷翔平さんみたいにホームランを打って投げるといった選手の立場から、皆が力を出すように気を配るコーチの方に徐々に仕事が変わってくるということでしょうか」

―「上に立つ者はコミュニケーション能力がないといけない」と普段から話されています。
「やっぱりコミュニケーションを取って、信頼し合わんと何にも進みません。上から命令するだけでは、そんなんだめですよ。部下は信頼されていると感じたときに初めて、気持ちを込めて仕事に取り組むのです」
「今でも月1〜2回、大阪府八尾市の本社のホールに社員を集めて『木村ラウンジ』という交流会を開いてます。上の者からコミュニケーションを取っていかないとあきません。隣り合って語り、本音を出し合うことで、信頼関係を築くきっかけができます」

―上司が部下に「あれやれ。これやれ」と一方的に命令する会社もたくさんある気がしますが。
「それだとやらへんと思います。僕が部下だったらそんなん言われたら働きませんもん。北風よりも太陽という見方もありますが、まさにその通りです。うちは昔からそうでして、風でビュンビュン吹き飛ばすより、あったかい太陽で包む感じですな」
「怒られないから環境に甘えて『このままでいいや』と思う人もいるかもしれません。でもそんなんおって当たり前です。それは仕方がないし、普通です」
「だいたいみんな向き、不向きがあって、自分が得意な部署にパッとはまったらとてもよく働くと思いますよ。だけど運悪く不得手な部署に入ってしまうと、一生懸命頑張ってても結果が出えへんから、見た目は下がっているように見えてしまいます。これはもうしょうがないです。社員全員それぞれにぴったり合ったポストを用意するなんてことはできないのですから」

―恐怖では人は動かせないと。
「恐怖心を与えるとか良くないですよね。それよりも信頼したり、尊敬したりしている人からの言葉だと『あの人のためにやりたい』となります。その方が仕事の成功率は高くなると思います。リーダーは絶対に信頼されることが必要です。『あの人といたら安心』とか、そういうのがすごい大事なんです。裏切られたりしたことはありますかって? いやいや、なんぼでもありますよ。別にそれはそれでいいと思います」

―若いころから自然にそう思っていましたか。何かきっかけは。
「僕はかつて小児まひで足が思うように動かんかったんですよ。この経験が大きいと思います。小学校の行き帰りはずっと車椅子だったんです。途中には坂もありました。同級生も含めてみんなが車椅子を押してくれないと学校なんか通えません。コミュニケーションとか信頼関係とか大事にせんとやっぱり1人では生きていけんのです。小さいときから自然に教えられたというか、学んだというか」

―「人間関係は相手が8で自分は2でいい」というのが信条だそうですね。
「僕は小さいときに8以上の恩恵を受けてきましたが、何も返せていません。9対1か10対0くらいでみんなやってくれました。借りた側は、なんかお返しせんとあかんと思っているわけです。そういう心の部分って大事やな、と。5対5なら、その後の人間関係の発展もないかもしれません。コンビニに行って買い物するのと同じです」
「だけど、取り分で自分が2で相手が8だったら『ちょっと木村に世話になったな。あいつええやっちゃな』となります。まずトラブルにはなりません。相手に付け込まれるかもしれませんが、それでいいんです。欲張る必要はないんです」

政府の大規模財政支出を伴う産業政策

2026年3月7日   岡本全勝

2月20日に行われた、高市首相の施政方針演説、「2 経済力(1)国内投資促進のための「責任ある積極財政」」の中に、次のような文章があります。

「世界を見渡せば、政府が一歩前に出て、官民が手を取り合って重要な社会課題の解決を目指す新たな産業政策が大きな潮流となり、各国政府は、大規模かつ長期的な財政支出を伴う産業政策を展開しています。
世界が産業政策の大競争時代にある中、我が国として、経済成長を実現するために必要な財政出動をためらうべきではありません。」

若者の報道不信に応える

2026年3月7日   岡本全勝

2月20日の朝日新聞オピニオン欄、藤村厚夫さんの「若者に信頼される報道スタイルを」から。

・・・若者にニュースがどう見えているかを、米国の10代を対象にして探った衝撃的な調査結果がある(「ニュースリテラシープロジェクト」2025年11月)。報告書によれば、10代(13~18歳・756人を対象)の8割以上がニュース(メディア)に否定的な感情をいだいている(前年の調査では7割近くが「意図的な偏向を加えている」とも見ている)。さらに、報道機関やジャーナリストらの振る舞いを「文脈を外れて写真や動画を切りとっている」(60%)、「情報提供に対価や便宜を与える」(51%)、「引用などの細部を粉飾する」(50%)などと見ていることもわかった。若者のニュースへの不信感はこのように深いのだ。

海の向こうの話だと思っていてはいけない。電通が24年に実施した調査で、高校生・大学生にとって「信頼できる情報源は、ほとんどない(信頼できる情報源だと思っている割合は、SNSを含めたほぼすべてのメディアが10%前後)」との結果が出た(電通マクロミルインサイト・若者まるわかり調査)。
内訳では、テレビ番組(ニュース)への信頼は31・1%と格別に高いものの、X、ユーチューブ、インスタグラムの情報より「新聞記事」は信頼が低く、11・1%にとどまる。国内でもニュース不信は深いと見るべきだ。

ニュースを報ずる側にできることはなにか。先にあげた米国の調査で、10代の若者が「改善すべき点」を回答している。「正直であること/事実を正しく伝えること」(283人)、「偏向の最小化/バランスの改善」(138人)が1位と2位にあがっている。続く「ポジティブ(前向き)な報道」と「重要な出来事の発信」がいずれも19人と大差があることから、ファクト(事実)への希求と偏向への危惧という対をなす命題が飛び抜けて大きい。
この現状を知れば、「報道をこれまで以上に正確に行っていく」では済まされない。若者の求めに応えるニュースの「創り方」と「語り方」が必要だし、そんな報道スタイルの実践を若者が見えるようにしなければならない。

「事実を伝える」「偏向の排除」を明示する報道スタイルの開発では、米国での試みが参考になる。まず、新興メディア・セマフォーの事例を紹介しよう。セマフォーでは、客観情報に絞って伝える「ニュース」、記者の視点や意見を伝える「ビュー」、注目すべきポイントなど、小見出しを付したセクションを設けて見せる。ニュースの読解を手助けするという意義もあるだろうが、「事実」と「意見」の違いを読者が理解して読み取れる効果が期待できる。執筆する側にも、「ニュース=事実」セクションでは事実に徹した記述を促されるはずだ。「だれが(述べたのか)」も明示せずに「との指摘もある」などとしたり、匿名コメントを乱発したりするような主観の押しつけにつながるスタイルは消滅を迫られる・・・