連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第247回「政府の役割の再定義ー地方創生が進まない要因」が発行されました。人口減少と活力低下という地方の一番の問題に対して、政府や地方自治体が取り組んできた政策について議論しています。
地方の活力低下と東京一極集中の問題に関して、新聞社の取材を受け、私の考えを述べたことがあります(2025年6月8日付読売新聞「あすへの考」「人口減 令和の処方箋 地方創生 本気で 大胆に」)。
ふるさと創生事業に始まる地域おこし政策は、全国各地で活発になり、各地で自らの地域について考える引き金になったと思います。その点だけでも、大きな成果がありました。ただし、地域の魅力の発見だけでなく、経済面を含めた活力向上や人口増加については、幾つかの特徴ある小規模自治体を除いて、目に見えるような成果は挙がっていないようです。一部の地域で人口が増えても、日本全体の人口が減少する中では、地域間の奪い合いでしかありません。
2024年6月10日に内閣府地方創生推進事務局などが公表した「地方創生10年の取組と今後の推進方向」では、この10年間の取り組みについて一定の成果があったと評価しつつ、「国全体で見たときに人口減少や東京圏への一極集中などの大きな流れを変えるには至っておらず、地方が厳しい状況にあることを重く受け止める必要がある」と、政府の機関としては珍しく十分でないことを認めています。
私は、次の三つが大きな原因だと考えています。
一つ目は、地方自治体の力不足と、自治体の政策でできることの限界です。二つ目は、産業・経済の事情です。三つ目は、国民の意識です。
三つ目の点に関して、幸福度調査で常に上位に来る富山県でも、若い女性が戻って来ません。その理由を聞くと、意外なことに、「暮らしにくさ」を挙げるのです。それは、家庭や地域に残る「古風な意識」が原因です。夫の親との同居や、家事と育児を当然のように妻の仕事とするといった意識と生活です。昭和時代の標準とされた「夫は働きに出て妻が家庭を守る」という偏った性別役割分担が、共働きが多くなった現在にも残っていると感じているようです。地域のしきたりも変わらず、女性にとって不自由な社会だという認識があるのです。