2025年11月26日の朝日新聞「若者が戻りたくなる「寛容な故郷」に」から。
・・・人口減少が進み、現役世代が今の8割に減る2040年の「8がけ社会」。高齢化も進むなかで、地元を出た若者をどう呼び戻すか、各地の自治体が頭を悩ませている。誰もが答えを見つけ出せないなか、「寛容性」が解だとライフルホームズ総研(東京)の島原万丈所長は説く。その真意を聞いた。
―若者が故郷に戻らない理由は、地方に就職先がないからだと聞きます。
そもそも故郷を出た若者に、地元へ帰ろうという発想がない。仕事がないことがUターンの阻害要因になっていることは否定しません。でも働き先が少ない沖縄県はUターンする若者の割合が69・0%と、全国平均(42・4%)を上回り全国トップです。
経済指標が高いとは言えない北海道や宮崎県もUターン率は高い。そこで私たちがたどり着いた答えが「寛容性」です。
――どういうことでしょうか?
まず私の経験も踏まえて「若者の価値観に対して不寛容な気質の地域からは若者は去り、そして戻ってこない」との仮説を立てました。そのうえで、女性の生き方や家族のあり方への寛容性や個人主義を認める度合いなど8分野64項目で47都道府県を点数化してみました。その結果と、東京近郊(東京・埼玉・千葉・神奈川)に住む地方出身の18~39歳の男女のUターン意向の関連性を調べました。
寛容性を横軸に、Uターン意向を縦軸にした場合、沖縄のほか、大阪、兵庫、福岡など大都市を抱えた府県が右上に、山形、秋田、鳥取など人口減少に悩む県が左下に集中している。縦軸と横軸の関連を示す「相関係数」は0・447で、「地域の寛容性はUターン意向と十分な相関関係にある」といえます。
同じ手法で分析したところ、他県から移住してきた人の離脱意向を下げる効果も確認できました。つまり、地域社会の寛容性は住民をその地域にとどめ、よそへ転出した若者を呼び戻す力を持つ。「寛容性」は地域創生戦略を考えるうえで重要な指標として認識されるべきだという結論に至りました。
――寛容性がある地域とは、どんな地域ですか。
寛容性というのは、言い換えれば他の可能性を認めるということ。「こうでなければいけない」と決めつけない。例えば、女性はこうじゃなきゃいけないとか、若者はこうなんだって決めるから社会が不寛容になってくる・・・