年別アーカイブ:2025年

去年の今頃

2025年11月15日   岡本全勝

去年の今頃、何をしていたか覚えていますか。仕事は、ある程度思い出せるのではないでしょうか。職場が変わっても、変わらなくても、ほぼ年間計画通りに進みますから。
覚えていないのが、仕事以外のことです。休日や放課後の過ごし方、家族との行動などです。どんな本を読んでいたかとかも。

先週のことすら覚えていないことが多いのですから、1年も前のことはねえ。
私は時々、手帳を見て先週何をしたのかを確認したり、去年の手帳を出して何をしていたかを思い出します。

まあ、覚えていないものですわ。そんなことを全部覚えていたら、頭がいくつあっても足りません。でも、読んだ本を忘れていたり、途中まで読んで放ってある本の多いのは、どうにかなりませんかね。

フリーランスから正社員へ

2025年11月14日   岡本全勝

10月27日の朝日新聞「フリーランス→会社員、逆流する人々 AI時代生き残るため・キャリアや成長求め…」から。

・・・働き方の多様化などを背景に増えてきたフリーランスですが、企業に雇用されて正社員に戻る人が目立つようになってきています。その理由は何なのか。正社員を選んだフリーランス経験者らに取材しました。

AI(人工知能)人材を派遣する「AIタレントフォース」(東京都渋谷区)で最高AI責任者を務める村田大(まさる)さん(47)は今年6月、8年半のフリーランス生活を経て正社員になった。きっかけは、ChatGPT(チャットGPT)などAIの急速な進歩だった。
「フリーはプログラミングができれば第一線で働けた。AI開発では企業が持つデータにアクセスできないと、ただのお手伝いになってしまう」
AIは蓄積したデータをもとに結論を導き出す。ところが、企業が持つデータは機密性が高かったり個人情報が含まれたりするので、情報セキュリティーの体制が重視される。そのため、フリーが直接契約することが難しくなったという。
ITの世界の変化は早く、ある技術を身につけても安心はできない。「自分の領域を固定化する人は取り残される。AIで生き残るには社員になるか、チームで仕事をするフリーになるかでしょう」

フリーから会社員に戻る理由は様々だが、フリーになって感じるキャリアの「停滞感」も主な動機の一つだ。
昨年10月、フリーエンジニアから人材サービスの「エン・ジャパン」(東京都新宿区、今年10月1日に「エン」に社名変更)のプロダクト開発室で開発チームのリーダーに転身した大江貴己(たかき)さん(36)は、2020年にIT企業を辞めた。「やりたい仕事を選んで会社員時代より高い報酬で働けた」と話す。
一方、仕事をするうちに、組織を作り、大きくするマネジメントにも関心がでてきた。しかし、「フリーは与えられた仕事の範囲でしか動けない。マネジメントの道には限界を感じるようになった」と話す・・・

・・・フリーランスとして働く人はコロナ禍で急増した。仲介サイト大手の「ランサーズ」(東京都渋谷区)の推計によると、社員として働きながら、副業などで働く人も含んだ人数では、2021年には約1600万人にのぼった。
同社では、約500万人がコロナ禍の影響で増えたと推定している。急増した理由として、テレワークが一気に普及して副業がしやすくなった一方で、失業者が増えたことも影響したとみる。
その後、テレワークから出社に戻るなどの反動で、当時に比べれば人数は減った。しかし、コロナ禍前に比べると増えており、昨年では約1300万人。フリー人口はこの10年で約4割増えたという。同社では社員化を希望するフリーを企業につなぐサービスを提供している。
フリーを含めた人材仲介の「Hajimari(ハジマリ)」(東京都渋谷区)でも、23年度にフリーから正社員への転職もサービスに加えた。昨年度は22人を紹介した・・・

連載「公共を創る」目次10

2025年11月13日   岡本全勝

目次9」から続く。「全体の構成」「執筆の趣旨」『地方行政』「日誌のページへ

(5)新自由主義的改革の代償
11月13日 240政府の役割の再定義ー新自由主義的改革の功罪
11月20日 241政府の役割の再定義ー行革の成功に伴う負の遺産
12月11日 242政府の役割の再定義ー反転攻勢に必要な縮小思考からの転換
12月18日 243政府の役割の再定義ー「役所の経営」を超えた「地域の経営」
12月25日 244政府の役割の再定義ー地方自治体の「内包と外延」
(2026年)
1月8日 245政府の役割の再定義ー地域の活力低下と地方創生
1月15日 246政府の役割の再定義ー「自ら考え自ら行う」自治体への転換
1月22日 247政府の役割の再定義ー地方創生が進まない要因
2月5日 248政府の役割の再定義ー「生活者中心の社会と暮らし」への変化を
2月19日 249政府の役割の再定義ー国民の意識で変化する「この国のかたち」
2月26日 250政府の役割の再定義ー気付きにくい経済と社会の実態的な変化
3月5日 251政府の役割の再定義ー求められる働き方と暮らし方の改革
3月12日 252政府の役割の再定義ー求められる将来の日本を考えた政策議論
3月26日 253政府の役割の再定義ー官僚に仕事をさせるために
目次11に続く

連載「公共を創る」第240回

2025年11月13日   岡本全勝

11月13日に、連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第240回「政府の役割の再定義ー新自由主義的改革の功罪」が発行されました。1990年代に行われた政治改革の限界について述べています。

当時の改革は政治過程で見るなら、入り口(選挙制度)の改革と、出口(内閣による統治)の改革であって、その間にある最も重要な「あんこ」(国会での政策議論)は手付かずだったのです。当時の私たちは、改革が制度だけの問題ではないということに、気が付きませんでした。選挙制度改革と内閣改革を行えば、政治主導が実現すると思い込んでいたのです。記事では、図をつけて解説しました。
内閣と官僚機構に議論が集中していますが、現在の日本政治の機能不全は、政治家が政治家の役割を果たしていない、政党が本来の役割を果たしていないという問題なのです。問題は、内閣ではなく、国会にあるというべきでしょう。

振り返ってみると、20世紀第4四半期の言論空間にも、その原因を求めることができます。国民の思考や言動が世間の通念に縛られるように、政治改革論も「流行の言説」に目を奪われ、議論が制約されていたのではないでしょうか。この時期の政治議論は、新自由主義的改革が中心となり、政府の機能向上に集中しました。
先進諸国では経済が行き詰まり、政府の財政赤字が拡大し、その対策として新自由主義的改革が流行しました。「小さな政府論」です。併せて、行政サービスの質の向上という方向にも進みました。その際には、「新公共経営論」(ニュー・パブリック・マネジメント)が理論的支柱となりました。民間企業における手法を導入することで、効率的で質の高い行政サービスを提供しようという考え方です。
政治については、それまでの考察が政府(ガバメント)を対象としていたのに対して、統治(ガバナンス)という概念に広がりました。行政については、役所(アドミニストレーション)に、経営(マネジメント)という概念が入ってきました。

しかし、企業統治においてガバナンス論が変化をもたらし定着したことに比べ、政府論においての影響は明確ではありません。もう一つの問題は、当時の社会がこの流行の言説に目を奪われてしまい、何のために公共や行政が使われるのかという議論を隠してしまったことではないかと思います。政治の議論が政府の効率化に集中し、その範囲を出ませんでした

変容する政治と宗教の関係

2025年11月13日   岡本全勝

10月21日の読売新聞「公明連立離脱 変容する政治と宗教の関係 水島治郎・千葉大教授に聞く」から。

・・・水島教授は、労働組合や業界組織などの団体が個人をまとめて政党を支える仕組みが、20世紀後半の政治の構図だったと指摘する。各団体は、都会に出てきた地方出身者など、旧来のつながりから切り離された人々を包摂し、仲間を提供する場となり、政治参加の道を開いた。「戦後の新宗教も同じような機能を果たしていた。創価学会が支持する公明党だけでなく、自民党も様々な宗教団体を支持基盤としていた」
この構図は、西欧諸国でも同様だった。信徒が属する教会系団体に支えられ、キリスト教民主主義政党が政治を担った。「宗教を一つのベースとし、反共産主義の旗印の下に結集していた。教会やキリスト教団体は、信仰を共有するだけではなく、友人を作る場であり、市民が政治にかかわる経路ともなっていた」。水島教授は、宗教系の団体が、戦後の日欧政治における隠れた主役の一つだったと説く。

自公連立が20世紀の最終盤に実現したのは、両党の支持基盤に先細りが見えたためだが、そうした政治の到達点と見ることもできる。だが21世紀に入ると、中間的な団体は急速に力を弱めた。宗教団体の場合、親からの信仰の継承を拒む人や、私生活を優先する人が増えた。インターネットの発達で仲間作りも容易になった。「個人と団体との関わり方が根本的に変わり、両者の力関係が逆転した」
個人が政党支持に至る過程も、政治家の動画を見て判断するなど流動的になった。団体は縮小し、残った構成員は高齢化し、政治活動の熱も下がった。「個人―団体―政党」という安定した構図は一部のものとなった。「構成員をフル稼働させても選挙で勝てるとは限らなくなった。負ければ団体の存在意義に関わり、内部分裂にもつながる」とし、宗教団体にとって選挙がリスクになっていると指摘する。

一方で水島教授は「宗教団体の力は弱まり、団体に依存する政治のあり方は変わってきたが、宗教そのものの影響力は弱まっていない」と強調する。例えば欧州では、反イスラムで保守勢力を結集させる際、キリスト教が重要な旗印になっているという。「外部者を排除し、人々をまとめるために、自国の宗教的アイデンティティーが使われている」
実際、米大統領のトランプ氏や露大統領のプーチン氏、イスラエル首相のベンヤミン・ネタニヤフ氏ら、世界を揺るがせている政治指導者は一様に、宗教的アイデンティティーを前面に出している。「自分が信じているかは別として、宗教に訴えることが、政治家の戦略として効果的だとの感覚は持っているはず。宗教とナショナリズムは、人が命をささげるに値する究極の価値として意識される点で共通するものがある」・・・

・・・各国で共通するのは、宗教的アイデンティティーを前面に出し、人々をまとめる役回りを、急進的な右派勢力が担っている点だ。従来の宗教団体に支えられた中道保守勢力は弱体化している。今後について水島教授は、その傾向がさらに強まる可能性があるとする。
「社会は変わり目にあるが、宗教の役割は形を変えつつも衰えておらず、陰に陽に政治と結びついている。北欧など先進的とされる民主主義国でさえ、宗教と結びつく形で君主制も維持されている。日本でも、お祭りなど宗教的な行事への関わりは薄れておらず、皇室への関心は高い。現実の展開は、教科書的な近代化・世俗化とかなりずれているのではないか」・・・