役所にあっても企業にあっても、経費削減は永遠の課題です。組織の責任者は、費用を抑えるために、職員数や事務費、事業費を削減します。
本来は、無駄を削減すること、必要性の薄れた事業や部門を縮小廃止することです。責任者が自ら取り組めば、どこを削減するか合理的な判断ができるでしょう。そして、その結果に責任を持つことができます。
しかし多くの場合は、部下にそれを委ねます。命じられた部下は無駄を対象としようとしますが、それぞれに担当職員や関係者がいて、彼らはそう簡単には自らやっていることを無駄とは認めません。すると、個別事業や部門を削減するのではなく、「みんな平等に痛みを分かち合うことにしよう」となります。
その結果は、無駄の削減や不要な事業を判断して廃止するのではなく、全部門で一律の「縮小」になってしまいます。当初の目的とは違ったものになります。ある事業や部門を廃止すれば効果は明らかです。しかし、一律に削減すると、予算額は減っても、各担当の業務は減らないのです。
さらに職員たちは、通常業務のほかに、この「削減作業」に時間を取られます。新しい仕事に取り組む余裕もなくなり、組織に活力がなくなります。こちらの影響は数値化できないのですが、この悪影響は大きいでしょう。
他方で、必要なところに資源を投入することも、されません。
その判断ができる責任者が指揮を執らず、部下や組織に任せると、このようなことが起きます。役所に限らず企業でも「官僚制の欠点」です。