公文書の電子化が進まない霞ヶ関

7月28日の日経新聞「押印廃止でも残る紙文化 公文書電子化阻む霞が関の「仕事の流儀」」から。
・・改ざんや隠蔽などの不祥事をきっかけに政府が打ち出した公文書(行政文書)の電子化が進んでいない。方針を掲げてから7年が経過したが、今なお新規に作成・取得した文書の6割を紙が占める。民間への人材流出が止まらない霞が関にとって非効率さの代名詞とも言える「紙文化」の脱却は喫緊の課題だが、熱は一向に高まらない。

「政府全体の電子化率を引き下げているとの批判を受けかねない極めて深刻な状況にあると認識している」
法務省公文書監理官は2024年11月、同省幹部宛てに電子化の推進を求める通知を出した。通知には部署別の電子化率も記載し、「電子媒体で作成・取得したものを紙決裁しており、電子決裁システムの活用も図られていない」と苦言を呈した・・・

・・・政府が公文書電子化に本格的に乗り出したのは18年だ。南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報隠蔽問題や学校法人「森友学園」を巡る決裁文書改ざん問題が相次ぎ発覚し、公文書管理の適正化の一環として打ち出した。
22年度には公文書の管理に関するガイドラインに「電子媒体による作成・保存等を基本とする」と明記。全省庁共通の新たな文書管理システムの整備も進む。
にもかかわらず、電子化は滞っている。内閣府の公表資料によると、23年度に新たに作成・取得した文書の電子化率は36.2%。保有文書全体では19%にとどまる。
省庁間の格差も大きい。デジタル庁や消費者庁などは保有する公文書の8割以上が電子媒体だが、法務省や厚生労働省は5%を割り込む。23年度に新規作成・取得した公文書で比較してもデジタル庁97.8%、消費者庁89.7%に対し、法務省10.6%、厚労省14.6%と差は歴然だ・・・

次のような指摘もあります。
・・・そもそも日本は国民共有の財産であるはずの公文書の存在を軽視する姿勢が目立つ。9割以上の文書は国立公文書館に移管されず廃棄される・・・