若い調理人が働き方改革でやめていく

7月30日の朝日新聞「売られた「なだ万」中」は「「働き方改革」若手が離れた」でした。

・・・午後9時ごろ、料理長が若い料理人に声をかけて回る。「帰って、帰って」。若手は帰宅を始める。残業時間の規制が比較的ゆるい管理職の料理長らと、アルバイトが残り、調理や片付けを続ける――。
なだ万の元総料理長で、顧問の上村哲也(63)は、この10年の変化をそう表現する。

昔は違った。店の営業時間が終わってから、だし巻き卵の練習をし、大根のかつらむきをした。「ひと昔前は修業、修業だった」
だが、アサヒビールの傘下に入ると、「昭和の会社」で、徒弟文化だったなだ万にも「働き方改革」の波が押し寄せた。1日の労働時間を原則、8時間とする労働基準法の順守が厨房に広がった。
それ自体は、従業員を守るために必要なことだ。ただ、予期せぬ余波も起きた。若手がひとり、またひとりとなだ万を辞め、個人経営の割烹や料理店に移っていった。
「もっと時間に縛られずに修業がしたい」。多くの若手から迫られても、現場の料理長らにできることはなかった。
労働時間が減り、残業代の分だけ給料が下がったことも、若手離れに影響したとみられる。

和食料理人のなり手不足も深刻になった。10年以上前は料理人の募集をかければ、すぐに全国から集まった。だが、専門学校で求人を出しても次第に「簡単には集まらなくなった」(上村)。600人ほどいた料理人が300人ほどに減り、慢性的な人手不足に悩むようになった・・・