経済停滞30年の原因私見3

経済停滞30年の原因私見2」の続きです。
この間に、政府は需要拡大のため、毎年のように巨額の財政出動をしました。しかし、日本の経営者が戦っているのは、従来型の公共事業などではなく、新しい産業です。各国が、新しい産業育成のために、なりふり構わず補助金を出したり、規制改革をしたのに対し、日本は出遅れたようです。

もう一つ問題だと思うことを挙げておきます。それは、公務員の削減と給与の据え置き、最低賃金を引き上げなかったことです。
この30年間にわたって公務員数を削減し、給与を引き上げませんでした。小さな政府を目指す方向は正しいのですが、これが長期間続くと日本社会と経済に悪影響を及ぼしました。
景気回復を目指しつつ、給与を引き上げないのです。給与が上がらないと、消費は伸びません。デフレ政策を続けたのです。国家公務員と地方公務員の総数は300万人あまりですが、その家族だけでなく、公務員給与を指標に使っている企業や民間組織もあります。その影響は大きいのです。
これにあわせ、正規職員を非正規職員に置き換えることも進めました。日本の雇用全体では、非正規労働者は全体の4割近くになっていますが、役所にあっても同様の傾向にあります。非正規職員は正規職員より給与は低く処遇も悪く、そして身分が不安定です。政府が先頭に立って、労働者の給与を引き下げ、生活を不安にしたのです。
このように、公務員とその家族、さらには国民の生活を不安にしておいて、景気拡大を唱えても、効果はなかったのでしょう。私も、行政改革の旗を振った一人として、反省しています。

また、最低賃金を引き上げなかったことも問題です。インフレ率を2%にする目標も立て、日本銀行を使って、「異次元」という金融緩和を行いました。なのに、同時に労働者の賃金を下げていたのです。これでは、消費は増えません。必要なのは供給拡大施策とともに、需要拡大施策だったのです。