6月24日の日経新聞に「百貨店生誕120年 稼ぎ頭、服から「ヴィトン」に 激変消費、新富裕層をつかむ」が載っていました。
記事には図がついています。1991年まで百貨店と全国スーパーの売上高は右肩上がりで伸びて、それぞれ約10兆円に達します。その後、スーパーは伸びを続け15兆円を超えますが、百貨店は右肩下がりになり、近年は5兆円程度です。そしてコンビニも伸びてきて、10兆円を超えています。
・・・百貨店の稼ぎ頭が変わりつつある。日本の消費拡大の原動力となってきた「中間所得層」が縮み、主力だった中価格の衣料品が鳴りを潜めたからだ。代わって株高などで潤う高所得層やインバウンド(訪日外国人)客を背景に「ルイ・ヴィトン」をはじめ高級ブランドや食料品の重みが増してきた。激変する消費環境へ変革待ったなしだ・・・
・・・2023年9月、セブン&アイ・ホールディングス(HD)は業績不振だったそごう・西武を米投資ファンドに売却した。ファンドから同店の不動産を買ったヨドバシHDの家電量販店が出店するため、百貨店は半分になる。西武池袋は25年の改装開業に向けた工事が着々と進み、これまでに約2割に当たる約200のテナントが閉店した。
西武池袋は中価格帯の衣料品や家具販売から手を引き、代わりにルイ・ヴィトンや「エルメス」などの高級ブランド品や化粧品、デパ地下の食品に特化した百貨店として訪日客や外商客らで潤う高額品に的を絞る・・・
・・・百貨店購買の中心だった中間所得層は縮小している。
労働政策研究・研修機構(東京・練馬)が、世帯1人当たりの可処分所得「等価可処分所得」の中央値から0.75〜2倍の範囲に所得が収まる層を「中間層」と定義して推移を調べたところ、日本の中間所得層は18年に58%まで下がった。1980年代半ばから2010年代半ばで比較した場合6.5ポイントも低い。同機構は高齢化で現役を引退した世帯の割合が高まった影響が大きいと分析する。
2040年以降、人口構成比が高い「団塊ジュニア世代」が65歳以上となり、現役世代の所得が上がらなければ中間層はさらなる縮小が予想される。中国を除く米国やドイツ、英国など主要国は軒並み同じ傾向だ。中国も足元で景気不安が高まり先行きは不透明になった。
百貨店は長年、衣料品が稼ぎ頭だった。日本百貨店協会(百協)によると百貨店市場は1991年の9兆7130億円をピークに23年は半分の5兆4211億円まで縮小した。衣料品は同時期に4兆円弱から約1兆4600億円まで減った。中間層は「ユニクロ」などの値ごろ感のある衣料専門店やショッピングセンター(SC)、アウトレット施設などに流れた。新型コロナウイルス禍で外出が減ったことも響き、百貨店衣料品は20年には食料品との逆転を許した。
中価格帯以上の衣料品をそろえてきた、国内の衣料ブランドである百貨店アパレル各社も百貨店への依存度は低下した。代表格、オンワード樫山の百貨店売上高構成比は24年2月期に38%と15年で半減。一方、SCや電子商取引(EC)がそれぞれ約3割と百貨店に迫る・・・