12月19日の読売新聞、松本順・みちのりHDグループCEOの「バスもデジタル化 地域交通再生」から。詳しくは記事をお読みください。
松本さんには、内閣府時代、復興庁時代にお世話になりました。
・・・みちのりホールディングス(HD)は、東日本各地のバス会社などの経営再建を手がけてきた。地域公共交通の「再生請負人」、松本順グループCEO(最高経営責任者)に聞いた。
バス会社は自治体から受け取った補助金を特別利益に計上するのが一般的な会計処理でした。しかし、そうすると本業のもうけを示す営業利益は赤字で、特別利益に補助金が入ってやっと黒字という会社になり、金融機関や市場から信用されにくいのです。
考えてみれば、地域住民の足を維持するための補助金は、公共交通事業委託料ともみることができます。そこで再生を担当したバス会社では補助金を売上高に計上することとしました。
公共交通を維持して補助金をいただくことは恥ずかしいことではありません。事業の委託料として受領して、堂々と路線を維持していこうと。社員の意識改革にもつながりました。
機構はバス会社3社の再生支援をし、このうち九州と関東の2社の事業再生を主担当でやりました。機構のチームの仲間や大企業から火中に飛び込んで来てくれた新たな常駐の経営者、そして現場の社員たちの頑張りに支えられて、交通インフラであり、観光とも深くつながるバス会社の事業再生に一定の成果を上げることができました。社会に必要とされる事業の経営はやりよう次第で立て直せることに確信を持ちました。
機構時代はバス会社を個社単位で再生支援しましたが、持ち株会社であるみちのりHD設立後は一つに集約し、横串を通して最適な経営手法を共有し、個社と全体の組織能力の向上を図ってきました。その効果で短期間のうちに各社の採算は改善し、社員の待遇も向上させることができるようになりました。
地方の中小、中堅企業では、社員が正当に評価、処遇されていない場合があります。みちのりグループでは能力や成果に基づく人事評価制度を導入し、フェアな評価を徹底してきました。そうすると、社員の目の色が変わります。幹部職にも自分たちの仕事は従来の仕組みを守ることではなく、よりよい仕組みに変えることだと。そういう意識の持ち方を促してきました・・・