「日経ビジネス」2023年12月8日の「シリコンバレーはなぜ技術クラスターとして成功したのか」が興味深かったです。詳しくは、原文を読んでいただくとして。
米国のIT技術集積地といえば、西海岸のシリコンバレーが浮かびますが、戦後間もないころは東海岸マサチューセッツ州の128号線沿い地域の方がイノベーションでは注目されていました。なぜシリコンバレーはテクノロジークラスターとして成長したのに、東海岸は衰退したのか。その比較が表になって載っています。
東海岸の特徴は、各企業内部が強い絆で結ばれていることです。また、規模が大きい企業が多く、組織構造はヒエラルキーで官僚的なので、情報の流れは垂直になります。企業内では情報交換がありますが、企業間の情報交換は少ないのです。企業内では忠誠心が重んじられ、企業間の人の移動は少なく、労働市場の流動性は低い。服装も背広・フォーマルといった厳しいドレスコードが保たれています。
これに対し西海岸の特徴は、企業間の壁が薄くて開放的なネットワークであることです。企業内は強い絆で結ばれているが、企業間は弱い絆で結ばれていて、企業の壁を乗り越えて水平な情報交換ができます。シリコンバレーは起業家が新しいベンチャーを立ち上げやすい環境で、スタートアップ企業の生態系(エコシステム)として知られています。老舗企業もありますが、大企業を象徴するヒエラルキーや官僚主義を極端に嫌うカルチャーでもあります。服装はカジュアルで背広は敬遠されます。企業間の情報交換も盛んなことから、企業間の人の移動も激しく、労働市場の流動性は高いのです。
同質性の強みと弱みは、第二次世界大戦での日本軍とアメリカ軍との違いでも指摘されています。「社会学者が斬る「失敗の本質」日本はなぜ戦争に負けたのか」(日経ビジネス12月15日)