連載「公共を創る」第170回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第170回「政府の役割の再定義ー官僚の人事政策─その現状」が、発行されました。

日本社会の変化を背景に、第157回から官僚の役割について議論してきました。根底には、発展期から成熟期へという社会の大きな変化に、政府も官僚も対応できていないという問題意識があります。しかし、これからの官僚はどうあるべきかについては、十分に議論されてきませんでした。今回からは、行政と官僚の役割の変化に応じて、官僚の仕事をどのように変えればよいか、また官僚をどのように育成すべきなのかについて検討します。

官僚をどのように採用して、どのように育成し、選抜するのか。これについて、制度はもちろんありますが、雇い主である政府の考えを明らかにした人事政策は、最近までなかったように思います。役所の仕事はどうあるべきかについても、共通した方針が示されていたとは思えません。
その原因は、それを考える人事管理部門が重視されなかったせいですが、さらに言えば、人事政策を考える必要がなかったことにあると考えます。
採用後の人事は各省に委ねられ、そして各省には人事政策の専門家がいなかったのです。