釘貫亨著『日本語の発音はどう変わってきたか 「てふてふ」から「ちょうちょう」へ、音声史の旅』が面白かったです。お勧めです。
題名の通り、奈良時代から現代までの、日本語の発音の変化を説明したものです。奈良時代には母音が今より多かったこと、漢字を輸入した時期によって読み方が異なることなどは知っていましたが、この本でよくわかりました。
どうして、奈良時代の発音がわかるか。レコードもなかったのに。江戸時代から始まったその謎解きは、推理小説でもあります。
室町末期に宣教師が来て、アルファベットで日本語を表記しています。これは、有力な手がかりになります。すると、羽柴秀吉は、ファシバフィデヨシと発音したのです。
私たちは、ひらがなを50音図で表記します。縦に母音を5つ並べ、横に「あかさたなはまやらわ」を並べて、すべての(濁音などを除く)ひらがな(日本語の発音)を表記するのです。これは、偉大な発明です。これを作ったのが、江戸時代の契沖です。それまでは「いろは歌」で音を覚えたようです。では、この「あいうえお」の順番はどのようにして決まったか。インドからの輸入だそうです。
学問の成果を新書程度の短さにまとめて、素人にわかるように解説することは、難しいことです。でも、私たちには、とても役に立ちます。