年別アーカイブ:2021年

電子メールでのやり取りの作法

2021年10月11日   岡本全勝

電子メールは、便利ですよね。電話と違い、相手の都合を確認することなく、発信者の都合のよいときに打つことができます。そのことによる、受け取る側の迷惑について、そしてその対処方法については、『明るい公務員講座 仕事の達人編』で書きました。

電子メールでのやり取りが定着してきて、その作法も磨かれてきました。やたらとCC(同報)しない、親しい人とは冒頭の挨拶文を省略するなどです。
今日の話は、時に悩む次のようなことです。
親しい人に、お願いのメールを送ります。急ぎの場合は、「○日までにお願いします。可能でしょうか」とか、「返事ください」といった文言を入れておきます。
問題になるのは、「急いでいません。○日までで結構です」といった内容の時です。しばらく返事が来ないときがあります。多くは、作業をしていてくれるのですが、返事が来ないと、「届いてないのかな」「何か返事できないことがあるのだろうか」と心配になります。

私は、依頼があった場合は、直ちに返事できるものは、すぐに返事します。しばらく時間がかかりそうな場合は「メール受け取りました。しばらく時間ください」と、まずは受け取ったことの返信を送っておきます。

子どもを産みにくい日本

2021年10月11日   岡本全勝

10月3日の日経新聞1面「チャートは語る」は「育児男女差際立つ日本」でした。わかりやすい図が着いています。ご覧ください。

・・・様々な社会要因のなかでも男性の育児や家事など家庭進出の度合いが出生率に影響があることは大きなヒントとなる。
女性に家事や育児の負担が偏るのは、程度の差こそあれ多くの国や地域で根強い。見逃せないのは、その差が男女で大きくなればなるほど少子化が進みやすいことだ。
経済協力開発機構(OECD)のデータ(19年)で日本と韓国の男女差が際立つ。日本の女性が家事や育児に割く時間は男性の4.76倍、韓国は4.43倍にのぼる。ともに男性の参加時間は女性の2割ほどの計算だ。両国とも急速な人口減少につながる出生率1.5を下回り、韓国は20年の出生率が0.84まで低下した。男女差が2倍以内の国ではおおむね出生率1.5以上を維持している・・・

・・・日本の場合、子育て支援に注ぐ予算が十分とはいえないことも問題視されてきた。OECDのデータ(17年)では、児童手当や育休給付、保育サービスといった日本の家族関係の公的支出は国内総生産(GDP)比1.79%。比率ではフランスやスウェーデンの約半分の水準にとどまる。
支出が多い国は出生率も比較的高い。問題はその使い道だ。ドゥプケ教授の研究では、保育所整備などを通じて母親の負担を減らすほうが父親への給付金支給より出生率の押し上げ効果が高いうえ、政策に要するコストは約3分の1に抑えられるという。
男性が家事育児に参加しやすい環境づくり、そして子育て関連予算の充実と効率的な配分――。日本の出生率向上にはこの両輪が欠かせない・・・

部下の前に上司を育てる

2021年10月10日   岡本全勝

10月4日の日経新聞に、「働きがいは何ですか(3)ライオン、まず上司を育てる 上下の壁壊し 能力発揮 全管理職に半年間の実習」が載っていました。管理職には、ぜひ読んでいただきたい内容です。

・・・管理職は本当に部下を理解し育てているのか――。2019年に「働きがい改革」を始めたライオンは、全管理職600人に、部下との関係を6カ月かけ再定義する「関係性向上プログラム」参加を義務付けた。職場の人間関係が働きがいを左右すると考える企業はライオン以外でも増えている・・・

・・・約130年の歴史を持ち「社員の愛社精神も非常に強い」(関屋氏)ライオンが働きがい改革を始めたのもそのためだ。同社の考える働きがいは、社員が企業人、家庭人として充実した生活を送り、自ら成長していくというもの。上下の関係性を改善して認め合い「部下が本音で話す心理的な安心感が必要だ」(関屋氏)。「100年後も歯磨きの会社でいいのか」との問題意識も強く、働きがいを感じ、能力を発揮できる若手を増やすことが事業変革につながると期待する。
新任管理職を対象とした以前の研修で「(さらに上のクラスの)上司が変わらねば新風土は醸成できない」と指摘され、関係を築けぬ上司が阻害要因になる危険性は分かっていた。
そこで同社は(1)部下の考えを取り込みながら未来を示す「オーセンティック(信頼感のある)リーダーシップ」を打ち立てる(2)異なる職場でも部下への接し方に差がないようにする――を目標とする独自プログラムを今夏から始めた・・・
・・・上司が変われば部下との関係性は改善するか。研究開発本部ではその効果を示すような経験があった。
同本部人事担当の田淵照人副主席研究員は「18年の調査で『キャリアへの助言が不十分』などの声が出て、若手の働きがいの低下が判明した」と話す。対策として管理職に部下への関心を高めるために、部下に対し1~2週に一度のインタビューを継続させたところ「上司の壁が低くなり改善が確認できた」・・・

記事には、「仕事の満足度左右 上司→部下の理解不足」の数値も載っています。
ある調査では、上司から理解されていないと感じる従業員で「職場に満足」と答えた割合は6%です。反対に、上司に理解されていると感じている従業員は68%が満足しています。
では、どの程度の上司が部下を理解しているか。「上司は自分を理解している」と答えた部下は42%、「理解していない」が25%、「どちらでもない」が33%です。
部下が上司に理解してほしい点の上位3つは、「これまでの業務」「業務への希望・不満」「性格」です。(カオナビHRテクノロジー総研、2018年末の調査)

秋のアサガオ

2021年10月9日   岡本全勝

10月というのに、わが家のアサガオは、まだ花を咲かせています。さすがに、花は立派ではありません。

アサガオというと、小学生の夏休みの宿題を思い浮かべ、真夏のものと考えます。でも、季語は秋ですよね。10月まで咲いても、おかしくないとのことです。

高齢者雇用、必要な働き方改革

2021年10月9日   岡本全勝

10月1日の日経新聞経済教室、八代尚宏・昭和女子大学副学長の「高齢者雇用どう進めるか 40歳代からの働き方改革を」から。

・・・日本の20~64歳人口は、2000年のピーク時からの20年間で約1千万人減少した。一方、この間に65~74歳人口は約450万人増えている。この年齢層が労働市場で活用されれば、人手不足の改善だけでなく、年金給付の節約や高齢者の健康維持など幅広い効果がある。これを妨げている大きな要因が他の先進国では原則禁止の定年退職制だ。
定年制の本質は、個人の仕事能力に大きなばらつきがある高齢労働者を一律に解雇する「年齢による差別」だ。雇用契約で個人の仕事の範囲が明確に定められる欧米方式では、その契約条件を満たす社員を、年齢だけを理由に解雇できない。
これが日本で容認されるのは、雇用と年功賃金が保障される下で、どのような業務でも無限定に担う正規社員という「身分」が、定年年齢で失効するためだ。未熟練の新卒者に多様な仕事を経験させて育てる日本の働き方では、個々の仕事能力についての評価が乏しい。代わりに年齢という客観的基準で、包括的な雇用契約を打ち切る「形式的平等性」が尊重されてきた。

政府は、定年制は維持したままで、65歳までの雇用を企業に義務付ける高年齢者雇用安定法を改正し、さらに70歳まで努力義務として延長した。だが定年後の再雇用は1年間の雇用契約を更新することが多く、能力が高くても企業内で責任あるポストに就くことは困難だ。その半面、賃金が抑制されても雇用は守られるため、定年を契機に企業外で活躍する機会費用を高める「飼い殺し効果」もある。
日本企業にとって現行の仕組みのままでの定年制廃止は困難だ。定年制をなくすには、40歳代から社員の多様な能力を自発的に生かすキャリアを形成し、高齢者の雇用がコスト高にならない仕組みに変える必要がある。それを支援する政府の役割が同一労働同一賃金原則と解雇の金銭解決ルールの制定だ。この働き方改革は安倍政権では腰砕けになり、旧来の雇用慣行を正当化するだけに終わった・・・

・・・日本企業は新規一括採用などの雇用慣行の下で、若年労働者のスキル形成のために長期間の訓練投資を行ってきた。だが今後の低成長期に、60歳まで訓練を続けるのは過剰投資だ。少なくとも40歳代からは一般の社員は自ら選んだ専門的職種に専念する。その生産性と賃金が見合う限り、企業にとって定年退職を求める理由はなくなる。
他方、今後の管理職を含むタレント社員には、より無限定な働き方が要求される。一般社員の仕事範囲が限定されれば、緊急な仕事への対応を誰かに押し付けられない。管理職が自ら対応せざるを得ないため、それに見合った高い仕事能力が必要だ。将来、経営を担うタレント社員には、年齢にかかわらず昇進か退職かの二者択一が迫られる。

大卒社員なら、誰でも職種や地域を問わず無限定に働く代わりに、定年までの雇用と年功賃金が保障される。この働き方は、過去の高い経済成長と人口構造の下で適した慣行だった。
それが維持できなくなった以上、単に定年後の雇用対策でなく、少なくとも40歳代からの現役の働き方改革が求められる。タレント社員を目指すか、専門職にとどまるか、どの職種の技能蓄積か、などの企業内でのキャリア形成は人事部任せでなく、自ら選択できる。
そうなれば日本の雇用慣行を維持しつつ定年制を廃止し、高齢者をその多様な能力に応じて活用できる。企業による強制ではなく、自ら望む時期に退職することが、高齢化社会での望ましい働き方になる・・・