制度を所管するのか、問題を所管するのか。3

制度を所管するのか、問題を所管するのか。2」の続き、補足です。

制度を超えて新しい政策を考えるか、それを避けるかには、もう一つ「人間性」が関わってきます。
「楽しい仕事」は取り組みやすく、「しんどい仕事」は避けられがちです。「楽しい仕事」とは、前向きで日の当たる仕事です。物をつくったり、成果が見えやすい仕事です。「しんどい仕事」とは、日陰の仕事、面倒な仕事です。
さらに「今直ちに変えなくても大丈夫だよな」という発想になると、新しい取り組みは先送りされます。企業なら、それでは競争相手に負けるのですが、「地域独占企業」である役所では、それでもすむ場合があります。

「問題を所管すると考える」場合にも、2つの場合があります。
一つは、制度を所管しつつ、それが対象としている問題を考える場合です。もう一つは、制度を所管せず、問題を考える場合です。
前者は、その制度で対応できない問題が見えやすいです。しかし、制度を所管していると、制度を守ることに精力を注ぎ、周辺の問題に取り組まないことも起きます。
他方で、制度を所管していない場合は、何を問題と考えるか、漠然としていて視点が定まらないことがあります。それは、次のような事例にも現れます。
総合政策局といった、制度を所管せず広く政策を考える組織が作られるのですが、うまくいかない場合もあります。焦点を絞らない「政策企画」は、難しいのです。

制度を所管すると、その予算の配分や権限行使に力を入れ、満足してしまいます。組織では、法律と予算を持っていないと、「力がない」と考えられるようです。
行政改革や地方分権などで、役人が予算と権限を手放さないことは、しばしば指摘されます。