5月14日の読売新聞、トーマス・イルベス・エストニア前大統領の「私のデータ 私に所有権」から。
・・・エストニア人は半世紀にわたり、ソ連という警察国家で全体主義的に統制され、プライバシーを侵害された。だから、(1991年の独立後に進めた)行政のデジタル化では、透明性を確保して国民の信頼を得る必要があった。
全ての国民は健康や徴税、財産など自分に関する全てのデータの所有権を持たなければならない。具体的にはまず、誰があなたのデータを見たか知ることができなければならない。自分のサイトで、誰があなたの情報を見たのかが分かるようにする。
誰がどのデータを見れば合法的で、誰がどのデータを見れば違法になるのかも決める。例えば、私は自分の医療データを見ることができるが、医者以外の人は見られない仕組みにする。警察は私の交通違反の記録を見ることができるが、健康に関する記録は見られないようにする。
これらを保障するためには、データがどのように入手されたかが記録されていなければならない。こうした透明性の確保やデータ保護を進めるかどうかが、民主主義国家と権威主義国家の大きな違いだ・・・