1月13日の読売新聞1面コラム、田中明彦・政策研究大学院大学学長の「安倍外交7年 平和・繁栄・価値観で成果」から。
・・・しかし、そもそも現代世界において外交の評価とはどのように行うべきなのか。外交とは国益を最大化するための非軍事的手段による国際関係の処理である。そうだとすれば、本来、日本の国益とは何かが明確にならなければ評価のしようもない。現代における日本の国益とは何か。
抽象的にいえば、民主主義国の国益は、その民主主義プロセスが明示的・暗示的に定義する国の諸目的の実現にほかならない。多くの人々が大事だと考えること、これが国益である。
具体的に日本にあてはめてみれば、その国益は比較的はっきりしている。
第一に平和であり、日本の安全保障が侵害されないことである。
第二に繁栄であり、日本国民の生活水準を維持・向上させることである。
第三に国民が大事だとみなす様々な価値――自由、平等、法の支配などが維持・向上されることである。
いうまでもなく、細部を吟味していけば、いろいろと意見の違いはあるだろう。しかし、国益の大きな方向性としてそれほど異論はないのではないか・・・