12月17日の日経新聞経済教室、「脱・株主至上主義の行方(中) 」広田真一・早稲田大学教授の「資本主義・企業の多様性重視」でした。
そこに、次のような記述があります。
・・・社会経済学者のピーター・ホール氏、デビッド・ソスキス氏らは、世界の資本主義は「自由な市場経済(LME=Liberal Market Economies)」と「調整された市場経済(CME=Coordinated Market Economies)」の2種類に分かれると主張する。この見方は「資本主義の多様性」と呼ばれる。
LMEの国とは、経済・ビジネス活動が市場での取引を中心に行われる国だ。金融取引の面では発達した株式市場があり、労使関係は契約ベースの労働市場で特徴づけられる。政府の経済への介入は少なく、資本の配分による経済的な効率性が重視される。一般に個人主義的な文化を持つ。代表的なのは米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどだ。
企業には「株主の利益」を最大化することが期待され、株主の権利を保護する法制度が整備されている。企業のパフォーマンスも短期的利益や株式価値で測られる傾向が強い。その企業観は標準的な経済学やコーポレートファイナンスの教科書に出てくる企業像(利潤最大化、株主価値最大化の企業)にぴったり合う。
一方、CMEの国とは、組織・ネットワークを生かした形で経済・ビジネス活動が行われる国だ。金融では銀行が中心となり、労働に関しては共同体的労使関係が特徴だ。政府の経済への介入の程度が高く、社会での平等性が重視され、共同体主義的な文化を持つ。代表的なのはドイツ、フランス、オランダ、オーストリア、スイス、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、日本などだ・・・