「千に三つ、役所と企業の違い」(9月8日)の続きです。このような企業と行政との思考の違いを、広げてみましょう(これもまた、下書きをしたまま、放置してありました)。
一つは公平な取扱いです。
企業の場合は、買ってくれる層を対象とします。買わない人は、相手にしません。しかし、役所の場合は公平原則で、対象となる人は全員平等に扱います。もっとも、企業であっても「公共的サービス」は、平等に扱うことが求められます。
時間についての、意識の差も出ます。
企業は、他の企業に先駆けて新しい商品やサービスを売ろうとするので、なるべく早く作るのが良いことです。完璧を期す必要はなく、やってみてダメだったらやめればよいのです。これに対し、役所の場合は税金で行うので、新しいサービスを作る際に検討することが多くなり、時間と手間がかかります。
もっとも、役所のすべての事業や仕事の進め方を、このような基本的条件の違いで説明することは問題でしょう。
「お役所仕事」という批判です。そこには、遅い、融通が利かないという指摘が含まれています。企業との違いを前提としつつも、そのような批判に説明できるように、しなければなりません。
あなたがやっている仕事について、それが正しいかどうか。その「試験」は、簡単です。あなたが、住民の立場に立ってみることです。
あなたBが申請者であって、市役所の担当者であるあなたAに向かって、「それはおかしいだろう」と言うようでは、あなたAの仕事ぶりは失格です。「公平原則」や「慎重な検討が必要なのです」は、言い逃れでしかありません。