朝日新聞『秘録 退位改元』

朝日新聞取材班著『秘録 退位改元 官邸VS.宮内庁の攻防1000日』を紹介します。
本屋で手に取ったときには、「連載記事を本にしたもの(記事は読みました)」「事実を追ったもの(政治構造を分析したものではない)」と考えて、読みませんでした。
関係者から「次のような視点で読んでください」と助言をもらったので、読みました。
そのような視点で読むと、納得できました。ご関心ある方は、読んでください。

・新聞社がどのような形で取材しているか、取材の過程を明らかにしている
新聞社が日ごろどのように取材しているかは、取材源の秘匿を重視する立場からなかなか明かせないものです。しかし、この本ではできる限り、取材の過程、記者の奮闘、記事にするかどうかの判断についても触れることで、歴史的場面に立ち会う記者の動きや葛藤も含めてリアリティを追求した本となっています。

・内幕と人間模様を描く
新しい元号「令和」が決まるまで、天皇陛下(いまの上皇さま)が退位の意向をにじませてから3年間に起きた出来事について、政府、宮内庁、学者、メディアそれぞれの内幕や人間模様を描きながら、動きを追ったものです。副題が「官邸VS.宮内庁の攻防1000日」となっています。

・天皇と政治の関係
天皇陛下による政治介入か、官邸による天皇の政治利用か、といった微妙な問題と、政権の支持基盤や永田町の権力構造との関連性に触れています。