五百旗頭先生、防災復興庁の提案

5月20日の日経新聞経済教室は、五百旗頭真・ひょうご震災記念21世紀研究機構理事長の「災害からの安全保障 常設の防災復興庁が不可欠」でした。

・・・復興庁は発災から10年を経る21年3月に設置期限を迎える。そこで廃止してよいのか。福島を中心になおケアすべき復興課題が残る。それに加え筆者は、今後予想される大災害に備える防災復興庁として再発足させることを提案したい。
平成から令和に移行したからといって、日本列島に大災害の時代が終わるわけではない。18年は大阪と北海道が地震に見舞われ、岡山、広島、愛媛で豪雨災害があった。活発な地震活動と地球温暖化に伴う水害は今後も続く。それに備え「災害からの安全保障」を強化することは、国の国民に対する根幹的任務だ。
おそらく列島の地震活動期は、全国各地に直下地震を起こし、南海トラフの巨大地震に行き着くまで終わらないだろう。首都圏、大阪、京都など大都市に地震が起きれば、想像を絶する悲惨となる。大災害が起きてから、どんな機関をつくるべきかなどと時間を費やすのを繰り返すべきではない。常設の防災復興庁を持ち、あらかじめ対処法を準備して、発災とともに直ちに動かねばならない。
災害の現場へ走る第一線部隊の自衛隊、警察、消防、海上保安庁、医療救援の災害派遣医療チーム(DMAT)、国土交通省の緊急災害対策派遣隊(テック・フォース)など、分権化された日本の機関は極めて優秀だ。だがそれらは総司令部を欠く個別部隊である。全部隊を投入しても足りない大災害で、全体対処をどう決めるのか、日ごろからの研究と準備が不可欠だ・・・