「被災者の私有財産への公費投入」の続きにもなります。著作や講演で使っている図を更新しました。
東日本大震災の復興に携わって、何が必要かを考えた際に整理した図です。
「1インフラ・住宅の再建」は、皆さんもおわかりでしょう。私は当初、これを復旧すれば、大震災からの復興は終わると思っていました。
しかし、現地に行くと、まず孤立防止が課題になりました。これは従来は、地域での助け合いに任せていました。しかし、それではうまくいかないことが、阪神・淡路大震災でわかりました。そこで、「3コミュニティの再建」のうち「見守り」が行政の仕事になったのです(この時点では、まだコミュニティの再建ではありませんでした)。
担当する省庁がないので、被災者支援本部、復興庁が担いました。実施は、自治体を通じて、NPOなどにお願いしました。
次に、津波被災地では商店が流されて、買い物ができませんでした。従来は商工業の復旧は、事業主に任せていました。政府がやったのは低利融資です。日本は自由主義・資本主義国ですから。しかし、現地は放っておくと、商業の再開は見込めませんでした。近くの町も、お店は流されています。住民は、ものを買うことができないのです。これでは、暮らしは戻りません。阪神・淡路大震災との違いです。そこで、仮設店舗の無料提供を始めました。これが、「2産業・なりわいの再生」です。
また、商工業を復旧してもらうために、グループ補助金をつくって、施設設備の復旧に公費を投入しました。これも、初めてのことです。それぞれ、経済産業省がつくってくれました。
さらに、この表には出ていませんが、二重ローン対策もつくりました。新しく工場や商店をつくるには、借金が必要です。その前に、流された土地や建物を担保に借りた借金が残っています。返し終わっていない借金の上に、もう一つ借金をしなければならないのです。
この項続く。