8月11日の朝日新聞経済面、伊藤裕香子記者の「社会へ投資、税金に信頼 高負担のスウェーデンを訪ねた」から。
・・・民間調査機関Sifoの官庁ごとの信頼度調査で、国税庁の信頼度指数(2018年)は49だった。政府機関の平均値30を上回る。「信頼される役所」の上位の常連だ。
調査担当のソニア・フォン・ローコフさんは「税金を納めることで社会全体がうまく機能するという安心感が、広く国民の側にあるのでしょう」と話す。
大半の人が所得税を負担し、日本の消費税にあたる付加価値税の税率は25%、食品なども12%で、日本よりはるかに税負担は高い。
一方、教育費や20歳未満の医療費は基本無料で、高齢者への手当や有給の育児休暇なども充実する。
安心感は、本当なのか?
ストックホルム市とその近郊で会った人たちに「税金とは何ですか」と、ひたすら尋ねてみた。応じてくれた43人の半数以上の答えは、「投資」だった。「社会に対する補助」「将来への貯蓄」など表現は違っても、趣旨は同じだ。
大学で事務の仕事をするバレンティンさん(30)は「税金は社会に対する投資です。国や自治体は問題がゼロではないけれど、信頼はある。予算は適切に使うし、使い込みなんて全くないと思う」と話した・・・
・・・人口1012万人のスウェーデンは、総選挙の投票率が毎回80%を超え、政治への信頼も高い。憲法にあたる統治組織法には「公権力はすべての人々の平等な価値と個人の自由及び尊厳を前提として、行使されなければならない」と記されている。この理念を支える原資として、税金がある・・・
税金を「お上に取られるもの」と考えるのか、「社会を機能させる投資」「私たちの生活を支える会費」と捉えるのか。国民の国家や行政に対する見方、信頼度によって異なるのでしょう。政府を「彼ら」と捉え批判するのか、「私たち」と考えて参加するのかという意識の違いも、その基礎にあるでしょう。