5月25日の日経新聞オピニオン欄、村山恵一さんの「シェア経済、小国が抱く大志」から。
・・・20世紀に社会にたまった非効率や固定観念を取り払う突破口にシェアはなり得る。久しぶりに訪ねた国でそう感じた。オランダだ。運河が目を引く首都アムステルダムを中心にシェアの試みが進む。
マイホイールズは25年の歴史を持つカーシェア会社だ。創業者はヘンリー・メンティンク氏、65歳。1980年代末、生産に膨大なエネルギーを使うという米国車の記事を読んだのが転機となった
放置せず、自分にできることから始めようと、車1台を隣人と3人でシェアした。輪は拡大し、いま5万人が3千台を使う。大半がシェアを申し出た個人の愛車だ。
大量生産・消費の象徴である自動車に挑んだシェア界のレジェンドに続けと若い起業家も動く。
ピアバイは工具やパーティー用品などを近所で貸し借りするサービスを担う。最高経営責任者のダーン・ベッドポール氏は火事で家を失い、友人らの助けでしのいだ経験を持つ。「私たちの所有物は月1回以下しか使わないものが80%」と所有という常識を疑う・・・
・・・オランダと「分かち合い」の風土は切り離せない。経済が沈み失業率が高まっていた82年、政労使の「ワッセナー合意」でワークシェアに踏み切り危機を乗り越えた。水害に直面しながら協議・協力して干拓地(ポルダー)をつくってきた国民の伝統が背景にある・・・