4月28日の日経新聞「経済論壇から」で、小峰 隆夫・大正大学教授の「なぜ財政出動は繰 り返されるのか」(週刊東洋経済4月28日号)が紹介されていました。詳しくは原文をお読みください。
・・・私が長い間抱き続けている疑問の一つは、日本ではなぜこれほど経済対策 (景気対策)と称する財政出動が繰り返されるのかということだ。
ざっと計算したところ、1990年以降、昨年までの経済対策の事業規模合計は優に 400兆円を超える。これには金融措置など水増し的な部分も含まれており、すべ て政府の歳出増加になったわけではないが、「それだけのおカネを使えばもっといろいろなことができたのではないか」「これがなければ現在の財政赤字はそうとう減っていたはずだ」と考えてしまう。政府はかなり巨額の機会費用を払って経済対策を繰り返してきたといえる。
先進諸国の中で、これほど頻繁に、かつ巨額の経済対策を実行してきた国はない・・・
その理由の一つとして、「お上依存型」の「社会主義的経済観」が残っているのではないかと指摘しておられます。
経済がうまくいかないと、「政府が対策を講じるべきだ」と期待 し、「政府は政策によって経済をコントロールできる度合いが大きい」と考えすぎているのではないか。
また、経済学者の意見が反映されていないのではないか、とも。
正統的な経済学では、財政で景気変動を平準化するのは非常時に限り、平時には金融政策でこれを行うべきだと考える。財政政策で成長率を引き上げることはできるが、その効果は一時的なものにとどまるから、持続的な成長は実現できない。